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インタビュー

完全新作で戦場の再現を目指す、ω-Forceの新たなるチャレンジ「BLADESTORM 百年戦争」開発者インタビュー(2/2 ページ)

「真・三國無双」シリーズでおなじみのコーエー開発チーム「ω-Force(オメガフォース)」が、満を持して送り出す「BLADESTORM 百年戦争」。“鎧袖一触(がいしゅういっしょく)”という新たなコンセプトの元、今までにない爽快感を与えてくれるというこの完全新作について、チームを代表して鈴木亮浩氏に話をうかがってきた。

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戦場の最前線をクローズアップした作品

傭兵として両国の戦場最前線に赴く

―― ちなみに兵科はどのくらいの種類が用意されてるんですか?

鈴木氏 40種類以上です。さらに、武器の種類などで細かく分けると100種類以上になります。それと、先ほど話に出ましたが、各兵科間に相性の概念を設けてます。これがないと、兵科の特徴が消えてしまうんですよね。どの兵科を使っても同じになってしまう。だから、例えば騎兵は長槍に弱いという相性……ルール付けすることで、ゲームにメリハリを付けてます。実はこの相性というのは本作の一番重要な部分でして、これを落とし込んでいくことはかなり難しかったんですが、いい形で表現できたのではないかと思います。

―― そのあたりが戦略性を高めているんですね。

鈴木氏 そうです。相手が長槍を持っていれば、「今自分が指揮しているのは騎兵だから、突っ込んでいくのはマズイかも」なんて戦略が浮かぶと思います。それならば、近くにいる長槍に対して有利な部隊を指示するように切り替え、戦えばいい。こんな感じで、その場その場で戦局を自分の中で作りあげ、その中で戦い、高い戦果を上げていく。その流れを楽しんでいただきたいですね。周りの味方部隊がどのように展開しているのか、それに対して敵部隊がどのように動いているのか──。全体の戦況を確認しながら、自分も部隊を切り替えていくわけです。弊社の「決戦」というゲームは、舞台が戦場のどこにいても切り替えて動かせました。ですが、本作はプレーヤーは1人の傭兵隊長という設定なので、自分の周囲の戦況しか変えられないわけです。そういう意味では、戦場の最前線をクローズアップした作品ですね。

左より「メイス兵」、ラクダ騎兵と戦う「鎌兵」、「長槍(パイク)兵」

―― ところで、Xbox 360版も発売が予定されてますが、PS3版との違いなどはあるんでしょうか?

鈴木氏 基本的には同じですね。

―― そうすると、オンライン要素もないんでしょうか?

鈴木氏 残念ながらありません。当初は構想していたのですが……。ゲーム性を出すのに苦労したというのもありますし、オンラインの面白さは、元のゲーム性が決まってないと考えられませんから、今回は断念しました。まあ、現状でも構想自体はあるんですけど。

長く繰り返し楽しめる“百年戦争”

―― 本作はタイトルにもありますように、英仏の百年戦争をモチーフにされているわけですけど、その理由をお聞かせください。

鈴木氏 今回の企画を立ち上げた時にまず、新ハード用のソフトでもあるわけですら、会社として「舞台をワールドワイドに、世界に通じるタイトルを作ろう」という目標を立てたんです。そのため、今回は三國志などのアジアの歴史ではなく、全世界に通じる題材を探そう、ということになりました。百年戦争に行き着いたのは、モンゴルによる世界制覇のあとの、全世界のさまざまな文化が融合した時代だったからですね。そういう部分でゲームにしやすいと思い、百年戦争という題材を選びました。日本ではそれほど有名ではないと思いますが(笑)。

―― 世界観を構築する上で、いろいろなものを参考されたかと思いますが。

鈴木氏 確かに、中世ヨーロッパを題材にした映画などはよく見てましたけど、そういったものを忠実に持ってきた、ということありません。実際にフランスとイギリスへ行って、現地で取材し、それをゲーム内のフィールドや建物などに活かした、という感じです。アザンクール(フランス北部の古戦場)なんかには資料館がありまして、現地で作った、当時の戦争映画風の映像がDVDとして売ってるんですよ。そういったものをたくさん集めて参考にしましたね。

―― 結果(フランス軍が勝利)は別としまして、戦争の課程はおおよそ忠実に描かれているのでしょうか?

鈴木氏 個々の有名な戦いをモチーフにしたものは出てきますが、1本の筋道として歴史を追ってはなく、ゲームとしてアレンジは加えています。そのアレンジの中で、ユーザーにとって一番いいだろうという結末を考えて作ってます。当然、そこがエンディングになるわけですが、「百年戦争」とうたっているように、“NEW GAME”で始めたら繰り返し長く遊んでいただくことがテーマになってますので、エンディングを迎えた後も違うストーリーが展開し、結果、やり込みの要素が増えていくことになります。

―― マルチエンディングということでしょうか?

鈴木氏 マルチエンディングではなく、メインとなるストーリーは1本です。ただ、メインのほかに20種類くらいのサブストーリーを用意してまして、メインストーリーをクリアした後でも、サブストーリーを消化していく展開という流れになってます。

―― ストーリー展開で1つ思ったのですが、傭兵であるプレーヤーは、1回の戦闘ごとにどちらの国に付くのか任意に決められますよね。そうすると、例えばイングランドに付いて勝利し、フランスの勢力が下がった後、次はフランスに付いて巻き返すと、両国の勢力が均衡し続けてしまうと思うのですが……。こうなると、ストーリー展開にも影響が出るのでは?

鈴木氏 戦況は常に動いていますし、均衡すること自体はまったく問題ありません。プレーヤーの目的は、戦果を上げて“傭兵将軍”を目指すことですから。ストーリー展開についても、先ほどお話ししたように、史実を元にはしていますが忠実に再現しているわけではありませんから。百年戦争というシチュエーションで、“鎧袖一触”を堪能していただく、というスタンスです。

―― 勢力の大小によるメリットはないんでしょうか?

鈴木氏 勢力が大きい側につけば、それだけ戦闘が楽になりますよね。一方、相手国の勢力が大きければ、攻め落とす拠点が多くなり、高名な隊長もどんどん出てくるため、それだけ戦果を上げられるチャンスが増えるわけです。戦果を上げて名声を高めていけば、フランスであればジャンヌ・ダルク、イングランドあれば黒太子エドワードと一緒に戦うといったストーリーも展開されます。

オルレアン解放のため立ち上がったジャンヌ・ダルクの鼓舞に応えるのもよし
出陣するそのほとんどの戦闘で勝利をおさめるエドワード黒太子で勝利を味わうもよし
傭兵として戦場でともに戦い、時には対峙するキャラクターも。ホークウッドもそんな傭兵のひとり

―― では最後に、発売を期待している人たちにメッセージをお願いします。

鈴木氏 “鎧袖一触”というコンセプトの元、今までにないアクションゲームの爽快感を実現できたと自負してます。現在、PS3版の体験版をダウンロード配信中ですので、ぜひプレイしていただけたらと思います。繰り返しになってしまいますけど、今までにないモノを目指して作りました。「無双」シリーズとはまったく違う爽快感、なぎ倒しの連続による高揚感を絶対に味わえるので、ぜひ部隊を率いて日が暮れるまで遊んでください。

―― ありがとうございました。

「BLADESTORM 百年戦争」
対応機種プレイステーション 3
ジャンル部隊アクションゲーム
発売日2007年8月30日
価格(税込)8190円
CEROB区分(12 歳以上対象)
(C)2007 KOEI Co., Ltd. All rights reserved.
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