10年の歳月を経て描かれる、ファイナルファンタジーVIIにつながる“コア”な物語:「クライシス コア -ファイナルファンタジーVII-」レビュー(2/2 ページ)
PSPで発売された「クライシス コア -ファイナルファンタジーVII-」は、「FFVII」の発展的作品群・コンピレーション オブ ファイナルファンタジーVIIの最新作。「FFVII」10周年にあたる今年、本編の7年前の出来事を描く本作では、ソルジャーのザックスを中心に、クラウドやセフィロスの過去が描かれる。
剣と魔法で敵をなぎはらえ そしてスロットに己の運を任せよ
本作はアクションRPGというジャンルそのままに、ザックスを縦横無尽に操って敵を倒していくプレイが楽しめる。
フィールドを移動していると突然敵にエンカウントすることもあるし、フィールド上に見えている敵に触れて戦闘に入ることもある。いずれの場合も、その時にいるフィールドがそのまま戦場になり、バトルが始まるというシステムだ。戦闘が始まるたびにActivaiting Combat Modeと画面に表示される。右下にコマンドが表示されるので、Lボタン、Rボタンで“戦う”“ブリザド”“ケアル”“回転攻撃”“アイテム”などのあらかじめ装備した能力などのコマンドからいずれかを選び、○ボタンでコマンドを選択していくという流れだ。
コマンド選択形式ではあるが、ザックスも敵もフィールド内を自由に動けるなかで、近くにいる敵がターゲットになるようになっているし、□ボタンによる回避や△ボタンによる防御はタイミング次第で成功したり失敗したりするので、アクション要素は十分にある。慣れてくると雑魚相手には“戦う”の○ボタン連打だけで勝ててしまいルーティンワークになったりもする。しかし、ちょっと油断するといつのまにかけっこうダメージをくらってしまうということもあるし、手強い敵や弱点属性がある敵にはそれなりに考えつつアクションを繰り出すことでより効率的に勝てたりもする。ボス戦に至っては、強大な攻撃を出すタイミングを読んで防御や回避がうまく決める楽しさもあるのだ。
アクション性のあるコマンド選択形式の戦闘ということなら、過去にいくつでも例があるが、本作の戦闘における独自のシステムと言えるのがデジタルマインドウェーブ(D.M.W)という要素だ。これはバトル中に左上に常に3つのスロットが回っていて、その絵柄と数字が揃うことによってさまざまな効果が現われるというもの。
最初はアンジールやセフィロスなど何人かの登場したキャラの絵柄しかないが、プレイが進行すればエアリスやクラウドなどのキャラも絵柄として登場し、果ては召喚獣であるイフリートや、人気のサブキャラであるチョコボなど多彩なキャラがスロットの絵柄として登場する。組み合わせによって一定時間MP消費ゼロで魔法を使える、などの効果を発揮し、さらに左と右の絵柄が揃うと、戦闘中に突如スロットがアップで表示される。真ん中の絵柄や数字が揃うことで、マテリアのレベルが上がったり、揃ったキャラに応じたリミット技や召喚獣の技を繰り出すことができるのだ。
このスロットの絵柄と数字が揃うかどうかに関しては、パチスロのように目押しすることができない。ザックスの回想シーンが表示されることで絵柄が揃う確率が上がるなどのエフェクトはあるが、運の要素が強いのだ。パチスロよりはパチンコに近い感覚だと思った方がいいだろう。このD.M.Wが途中に入ることでアクション性の高い戦闘にさらなるメリハリが生まれているのは間違いない。しかし、残念だったのはリミット技の短いエフェクトムービーを飛ばすことができないという点。召喚獣のエフェクトは長くて見応えがある分飛ばせるようになっていていいのだが、その他のリミット技も短いなりに慣れてくると飛ばしたくなった。個人的にはテンポのよい戦闘を若干阻害しているように感じた。また、スロットに関しても運の要素が強いので目押しができればいいなと思うことがあった。クセの強い戦闘システムではあるが、他のRPGでは見られないオリジナリティーあふれるオモシロさは評価したい。
やり込みながら“コア”に迫れる、ファンにはオススメの一作
本作のやり込み要素と言えば前述した300もあるミッション、そしてFFVIIではおなじみの“マテリア”を使ったマテリア合成だ。
物語の途中からザックスはマテリア合成ができるようになる。プレーヤーはザックスしか操作できないので、ザックスは剣にせよ魔法にせよオールマイティーにこなせるようになっているのだが、本作における魔法や技の多彩さはかなりのもの。同系統の魔法を合成することでより強力な魔法になったり、魔法と技を合成することでMPを消費するタイプの技が誕生したり、さらにアイテムをかけあわせて合成することでステータス上昇の効果を付与できるなど、合成でできることはさまざまだ。
レベルが高いマテリアほど合成後の結果もいいのだが、マテリアのレベルは装備して戦闘中に上げていくしかないので、どのマテリアを装備すればいいのかと迷ってしまうこともあるだろう。その迷える、選べる、組み合わせを発見できる、というやり込みの楽しさが、RPG系の正しい楽しさにつながっているように思った。偶然見たことがない魔法や技を見つけたときの「おおっ」という感覚がたまらない。攻略情報に頼ってもいいが、自分で組み合わせを試行錯誤してみるのをオススメしたい。
ミッションをクリアしていき、マテリアを増やし、召喚獣を見つけ、そんなやり込みを楽しみつつも重厚なFFVIIの世界を堪能できる。これはもう、FFVIIファンには「やっとけ〜!」としか言いようがない。新型PSPも登場したことだし、ファンなら本体ごと買いでもいいのではなかろうか。
そういえば旧型でプレイしつつ途中で新型PSPでのプレイに乗り換えた筆者であったが、新型PSPでの本作のロードについては“旧型よりも若干速い……かな?”と、ほんのり体感できるほどだった。元より本作のムービー前などのロードは割と長い。携帯型ゲーム機でこれだけのクオリティのものを出してきているのだからしょうがないと言えばしょうがないが、それにしてもロードが長いのは残念なことだ。まあそれを差っ引いてもファンには強くオススメできる出来にはなっている。本作でFFVIIの“コア”の部分に触れ、10周年の年月に思いをはせてみてはいかがだろうか。
「CRISIS CORE -FINAL FANTASY VII-」(クライシス コア ‐ファイナルファンタジーVII‐) | |
対応機種 | PSP |
ジャンル | アクションRPG |
発売日 | 2007年9月13日 |
価格(税込) | 6090円(同梱版:2万5890円) |
CHARACTER DESIGN:TETSUYA NOMURA
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