PSPのSkypeはどこまで使える!?(2/2 ページ)
1月から延期となっていたPSP-2000のSkype対応が、3月18日のファームウェアアップデートでようやく実現された。そこで、PSPのSkypeがどの程度使えるものなのか試してみた。
機能は音声通話機能に特化、使い勝手は悪くない
PSPのSkype機能は、PCなどに用意されているSkype機能とは異なり、音声通話機能に特化したものとなっている。表に機能をまとめているが、Skype IDを持つユーザー同士の無料通話と、一般電話および携帯電話との間の有料通話(SkypeIn、SkypeOut)がおもな機能となる。また、通話の付加機能となるSkypeボイスメールや通話転送機能などもサポートされている。ただし、Windows/Mac用のSkypeに用意されている、インスタントメッセージング機能やビデオチャット機能などは、PSPのSkypeでは対応していない。
機能 | Windows/Mac | PSP |
---|---|---|
Skypeユーザー間通話(無料) | ○ | ○ |
インスタントメッセンジャー | ○ | × |
ビデオチャット | ○ | × |
SkypeOut(有料) | ○ | ○ |
SkypeIn(有料) | ○ | ○ |
Skypeボイスメール | ○ | ○ |
通話転送 | ○ | ○ |
では、実際の使い勝手はどうか。
PSPのSkypeを利用するには、クロスメディアバーの「ネットワーク」に用意されている「Skype」を選択し○ボタンを押せばいい。この時、ネットワーク接続のメニューが表示されるので、登録されているアクセスポイントを選択して接続すると、Skypeが起動する。初起動時にはアカウントが登録されていないので、ログインメニューが表示される。ここで、既に登録済みのアカウントを利用してログインするか、新規にアカウントを作成してログインする。アカウントを登録し、「自動ログイン(パスワードの保存)」にチェックを入れておくと、その後は登録したアカウントで自動的にログインしてSkypeが起動するようになる。
この時、PSPにマイクロホンやヘッドセットが接続されていないと、「音声通話をするには、PSP対応の音声入力機器が必要です。」という警告メッセージが表示される。とはいえ、Skype起動後にマイクロホンやヘッドセットを接続しても問題はない。ちなみに、音声通話中にマイクロホンの抜き差しを行ってみたが、マイクロホンを抜いた状態では相手に声が届かなくなるものの、通話が切れることはなく、再度マイクロホンを接続すればまたこちらの声が届いた。また、通話中にマイクロホンを抜きヘッドセットを接続しても問題はなかった。
電話を掛ける方法は、「コンタクト」に登録されているコンタクトリストから電話を掛けたいユーザーを選択するか、「ダイヤル」から電話番号またはSkypeIDを入力して行う。コンタクトには、SkypeIDを持つユーザーだけでなく、SkypeOutも登録可能で、携帯電話の電話帳とほぼ同等の感覚で活用できる。PSPにはテンキーがなく、全てスクリーンキーボードを利用した入力となるため、SkypeIDや電話番号の入力は少々面倒だが、一般電話や携帯電話など、頻繁に掛ける番号もコンタクトに登録しておけば簡単に電話が掛けられる。
通話の品質は、WindowsなどでSkypeを利用する場合とほぼ同等だ。ネットワークの状態に左右されるものの、日本国内でのSkypeID間の通話およびSkypeOutに関しては、遅延など感じることもなく、おおむね携帯電話と同等またはそれ以上の通話品質が確保されている。ちなみに、筆者宅(東京都調布市、インターネット回線はGyaO光 マンションLANタイプ)とITmedia(東京都千代田区)の固定電話間でSkypeOutを試した限りでは、固定電話よりも優れた品質が得られているという印象だった。
ただし、PSPのスピーカを利用した通話は、非常に難しい。スピーカから聞こえる相手の声が、ボリュームを最大にしても小さく聞き取りづらいのだ。また、マイクがスピーカの音を拾ってしまい、相手側に相手の声がエコーのように届いてしまう。そのため、通話時にはヘッドホンまたはイヤフォンの利用がほぼ必須と考えていい。
加えて、USB接続のマイクロホンを使っている限り、PSP本体をある程度口の近くに近づけてしゃべらなければならないという点もつらい。説明書などでは、マイクロホンを口から約10センチほどの距離でつかうように指示されているが、そうなると常にPSPを手に持って通話しなければならない。もちろん短時間の通話ならそれほど気にはならないかもしれないが、長電話をするときなどはたまったものではない。一応、ネックストラップを付けて首からPSP本体をぶら下げた状態を想定し、お腹のあたりにPSP本体を持ってきて通話を試してみたところ、なんとか相手に声が届いていたので、ネックストラップを使うという方法もありかもしれないが、それでも口元にマイクがないというのは不安になる。もちろん、ヘッドセットが利用できれば、こういった懸念は払拭できるので、日本でもぜひともヘッドセットを販売してもらいたい。
ところで、PSPにACアダプタを接続している状態では、こちらの声にブーンというノイズが乗った音が相手に届くように思えた。それほど大きいノイズではないようだが、ヘッドホンやイヤフォンをしていると気になるようなので、できればACアダプタを外した状態で通話を利用したい。
ちなみに、フル充電状態の標準バッテリでどの程度連続通話が可能か試してみたところ、3時間45分ほどでバッテリーが切れた。これは、無線LANを機能させた状態でゲームをプレイしている場合とほぼ同等で、妥当な数字だろう。
基本的に家で発信専用に使うのが吉
PSPのSkypeは、機能的には申し分なく、十分活用できる機能ではあるだろう。しかし、実際に活用できるシーンを考えてみると、少々微妙という気がしないでもない。
まず、こちらから電話を掛ける場合には、まったく問題はない。もちろん、インターネットにアクセスできる環境にいるという制約はあるものの、Skypeユーザーとの間では無料で通話できるし、SkypeOutを利用する場合でも、相手が固定電話であれば通話料は1分2.66円なので、携帯電話を利用するよりも安く電話が掛けられる。携帯電話やIP電話に対してのSkypeOutは、通話料が1分17.5円とやや割高だが、携帯電話の料金プランによってはこれより通話料が高い場合も少なくなく、使い方によってはお得になる場合もあるだろう。
ただし、着信に関してはほとんど使えないと考えざるを得ない。それは、着信を受け取るためには、常にSkypeを起動している状態でなければならないからだ。
WindowsやMacのSkypeでも、ソフトを起動していなければ着信が受けられないのだから同じでは、と思う人もいるかもしれない。しかし、WindowsやMacでは、Skypeを起動している状態でも他の作業を行えるが、PSPではSkypeを起動していると他のことが一切できなくなってしまう。Skype起動中は、ゲームはプレイできないし、音楽を聴いたり映像を再生させることも不可能なのだ。これはあまりにも痛すぎる。PSPをSkype専用端末として考えるのならそれでもいいかもしれないが、普通はそうではないはず。ゲームもプレイしたいし、音楽や動画を再生させたいこともあるはずだ。そうなると、とたんに着信用途でSkypeは利用できなくなってしまう。
そしてもう1つ、使える場所が非常に限られるという点も大きな問題。Skypeはインターネットにアクセスできる状態でなければ利用できないという、Skypeの基本的な仕様のため、屋外では利用できるシーンが大幅に限られてしまう。公衆無線LANを利用すれば、外周先でもSkypeが利用可能とはなるが、公衆無線LANの接続料金を考えると、お得に使えるかどうか微妙となる。もちろんこの点に関しては、PSPのSkypeに限った問題ではないが、PSPのSkypeを携帯電話と同じ感覚でとらえていると厳しいだろう。
このように考えると、PSPのSkypeは、家の中での発信専用と割り切れば、結構便利に使える機能だ。例えば、遠距離恋愛で長電話が多い場合には、(マイクロホンやヘッドセットは購入する必要があるが)通話料金が一切かからないため、かなり魅力的はなず。また、PSPを持っている友人との電話も、携帯電話ではなくPSPのSkypeを利用するようにすれば、携帯電話の通話料を減らせるだろう。もちろん、海外旅行に持って行って、ホテルのインターネット接続サービスなどを利用して日本に電話したり、海外の友人との電話に活用するというのもいい。とにかく、PSPのSkypeに携帯電話と同じ機能を求めてはいけない。使える場所は限られるし着信もほとんど使えないけど、安く電話が掛けられるもの、と割り切って使っていれば、その魅力が見えてくるはずだ。
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