「マビノギ」を今、あらためて振り返ると長い時間だなぁと思う:マビノギ3周年インタビュー(2/2 ページ)
4月12日に行われたばかりの「マビノギ3周年記念オフラインイベント」に合わせて来日していた、韓国 devCAT studioのメンバーに、ジェネレーション8の見所と今後の方向性についてインタビューを行ってきた。
―― 逆にどの国もここは一緒だなという傾向はなんでしょう。
チェ 街中の焚き火を囲んでチャットを楽しんだり、交流を図る姿はどこの国でも変わりませんね。
―― マビノギのサービス初期はテーマにもなっているファンタジーライフの部分が強調され、日本でのキャッチコピーは「マビノギで暮らす」でした。その後大陸が実装されたときに、生活系MMOという基盤は崩さずに新たに探検・冒険というテーマが掲げられました。本アップデートも引き続き、この探検・冒険というテーマがキャッチフレーズになっているのでしょうか。
ハン そうですね、マビノギのメインシナリオは大きく2つのチャプターで構成されています。G8はチャプター2の中の1つですので、引き続き冒険や探検がテーマとなります。新規エリアが広がる時には、必ず何か新しい要素を入れるように心がけていて、今回も気球による空中戦闘などを取り入れました。
―― 確かに他のMMORPGですと、新マップと新モンスターとエリアボス、それに各種装備アイテムさえあればいいだろうとばかりに、安易なアップデートを行うタイトルもありますが、マビノギの場合はひとひねりしたユニークなシステム、例えばクルクレ地方で体験できるイカダでの川下りなどが必ずありますね。個人的な興味で聞いてしまいますが、こういったアイディアは一体どこからわいてくるのでしょう? 発想のヒントを得るために普段から皆さん、週に1度は必ず本を読むですとか、あるいは映画を見るように心がけたりしているんですか?
ハン 自分たちで言うのもおかしいですが、スタッフ同士のコミュニケーションはかなりスムーズな方でして、職場の友達同士や時にはチーム全員で、映画や博物館にいったり、写真撮影に出かけたりしているんです。
―― ちなみに最近はどこかに行かれましたか? 特に印象に残ってるものや、実際にゲーム開発に反映されたものがあったら教えて下さい。
ハン氏 とても個人的な話になってしまいますが……意識してみているのは車業界なんです。車もMMORPG同様に飽和状態にもかかわらず、シーズンごとに新モデルを発表しアップグレードを行い、ユーザーにアピールし続けることに成功しています。そういった部分をマビノギに取り入れられないかと考えています。もう1つ最近では、ニンテンドーDSの「ゼルダの伝説」なんです(笑)。タッチペン1本であそこまでやり込めるシステムとゲーム性は、非常に任天堂らしいですよね。そしてチュートリアルがとても自然にゲーム内に組み込まれているのも、参考になります。マビノギでもどうすれば新しいことが出きるのか、こういったところからヒントを得ようとしています。
チェ 私は映画と写真が趣味なので、そこからヒントを得ることが多いです。日本のみのゲーム内イベントに「お花見」というのがありましたが、桜の花びらが舞い散る風景は映画や写真集などを参考にしています。
―― ところで、日本でマビノギのサービスが始まってからもう3年が経過しました。資料によると、お2人ともマビノギの立ち上げから開発チームに加わっていらっしゃるとのことですが、この3年間は長かったですか? それとも短く感じられましたか?
ハン クローズドβから正式サービスまでの準備期間、約5カ月置きのアップデートのように区間をくぎって考えると、1つ1つはとても短く感じられますが、今あらためて振り返ってみると長い時間だなあと思います。
チョ 私は20代中盤から今に至るまでずっとマビノギに関わってきましたので、チーム長と同じく現場にいると短く感じられますが、振り返ると長かったと思います。
―― マビノギが韓国でサービスを開始した当初、お二人が思い描いていた理想のマビノギ完成図、目指していた方向性があったと思います。3年が経過した今、その通りになっていますか? それとも予想外の方向に展開したのでしょうか。
ハン 当時はMMORPGのタイトル数も少なかったですが、今はオンラインゲームが普及し、市場もユーザーの動向もかなり変化しました。さきほどチュートリアルが初期に比べて親切になったと言われましたが、これもその変化の1つでしょう。昔はチュートリアルがなくても、ユーザーは自分なりにとりあえず何でも試して、システムや世界観を少しずつ理解し、やがてそこに“マビノギならでは”の楽しさがあると気が付いてくれました。しかし今は少しでも難しい、分かりにくいと感じたらユーザはすぐにゲームをやめてしまいます。そういった点で方向性を修正する必要は多少ありましたが、マビノギ全体のファンタジーライフという部分は変わっていません。私個人としては今のマビノギには満足しています。
―― それでは最後に、マビノギファンに向けてのコメントと、もう1つ、長年関わってきたマビノギという作品への愛情を語ってください。
ハン 最後の質問が一番難しいですね(笑)。まずは今回のアップデートに関しては、エモーション機能やペットのラットマンなど日本だけに実装されたコンテンツを、日本のユーザーに楽しんでほしいです。マビノギは韓国のゲームショウで2002年に初めて公開され、私が開発にかかわった最初のゲームでもあります。ですから、とても大変な時期もありましたが自分の子供のように思っている存在です。これからもより楽しく、より可愛いものを開発してユーザーの要望に応えていきたいです。
チェ ドラゴンとの対決、そしてワイバーンとの空中戦闘を早くユーザーに体験してほしいですね。先ほどチーム長から2002年のゲームショウで公開されたという話が出ましたが、私もちょうどその時ゲームショウの会場でマビノギに出会い、いいゲームだなと思っていました。ただし、その時は一般のお客さんとしてです。ところが、次の年に入社してみればマビノギの担当ということで、まだ実際に結婚はしていませんが、やっぱり我が子のように大切に思っているタイトルです。おまけに私は今海外でサービスされているマビノギの開発にも関わっていますから、あちこちの国に何人も子供がいるような気持ちですよ(笑)。
―― 本日はありがとうございました。
マビノギのサービス開始から3年、というのはMMORPGとしてはそれほど長い期間ではない。しかし新規タイトルが毎年驚くほど発表される中で、移り気なゲーマーの心を捉えるためには、安定した運営にあぐらをかかず、常に魅力的なコンテンツを生み出し続けなければならないはずだ。4月12日に開催されたオフラインイベントでは、参加者同士が初対面にも関わらず発表されたアップデート情報について話あったり、サーバ対抗大会を本気で応援する様子には、なんというかマビノギというタイトルへの愛情が感じられ、3年が経過した今も開発元のdevCAT studioのメンバーがマビノギファンの要望を汲み取り、きっちり応えていることを証明したのではないだろうか。
インタビューではなかなか今後の方向性については言葉を濁して明かしてはくれなかったが、現役マビノギユーザーは先のことはdevCATに任せて気にせず、とりあえずジェネレーション8を心ゆくまで楽しんでほしい。
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