ITmedia ガジェット 過去記事一覧
検索
ニュース

ゲーム開発現場ではこう使われています――「ビックリマン」に見る2Dアニメーション「Game Tools & Middleware Forum 2008」

ウェブテクノロジ・コムの「SpriteStudio」を使用するフロム・ソフトウェアの「ビックリマン大辞典」開発スタッフを招いて、その使い勝手について紹介した。

PC用表示 関連情報
advertisement

「SpriteStudio」で2Dアニメーション作成の効率化

左がウェブテクノロジ・コムの田中圭一氏。右がフロム・ソフトウェアの井出健仁氏

 ウェブテクノロジ、オートデスク、シリコンスタジオ、Dolby Japan、ボーンデジタルといったゲーム開発向けツール・ミドルウェアメーカーにより主催される、開発者向けのセミナー「Game Tools & Middleware Forum 2008」において、ウェブテクノロジ・コムによる「SpriteStudio」(スプライトスタジオ)を使用した作成事例が報告された。

 ゲストに招かれたのは、ニンテンドーDSタイトル「ビックリマン大辞典」の開発に携わったフロム・ソフトウェアの井出健仁氏。「ゲーム開発現場ではこう使われています 〜SpriteStudioの現状と未来について〜」と題されたセッションでは、井出氏が実際どう「SpriteStudio」を使用したのかを実例を交えて紹介されたほか、後半には「SpriteStudio」の最新版である「Ver.2.0」も初公開された。

 セッションの進行を務めるのは、ウェブテクノロジ・コム 企画営業グループの田中圭一氏。田中氏はまず、昨年設立されたフロム・ソフトウェアの新ブランド「3 O’CLOCK」(スリーオクロック)によって発売された「ビックリマン大事典」について紹介した。本作は、ロッテの発売するビックリマンチョコレートの大人気シリーズ「悪魔vs天使シール」を計2000枚以上完全収録したシール図鑑をメインコンテンツとし、3000問から出題される「ビックリマン大検定」、友人との「シール交換」などを実装した、ビックリマンのコレクタブルデータベースソフトだ。

 「SpriteStudio」の導入について井出氏は、「従来の2Dアニメの作成には手間と時間がかかっていました。そんな時、OPTPIXでニンテンドーDSの開発に特化したバージョンがあると聞き、試してみると、直感的にドラッグ&ドロップで簡単に操作してアニメーションを作成できた」と、その使い心地に作業効率もクオリティも上がったと太鼓判を押す。

「ビックリマン大辞典」を使用して、ちょちょいと2Dアニメーションを作成していく

 セッションでは「ビックリマン大辞典」のシール紹介画面のアニメーションがどう作成されたのかを紹介してみせてくれた。データを読み込みベースイメージに格納し、フレームコントロールにレイヤーごと並ばせ、これにアニメーションをつける……。レイヤーごとまとめて指定でき、繰り返し設定すると、ものの数分でビックリマンシールとそのデータベースが画面上でアニメーション化されて動いていた。基本的にドラッグ&ドロップで作業し、場合によっては数値を指定し、文字や吹き出しを拡大・縮小もできる。実に簡単だ。ゲームを遊んでいると何気なく通り過ぎるこれらの2Dアニメーションだが、実際は実に手間と時間がかかるのだが、こうした作業効率の向上によって、ほかのクオリティアップにもつながると、一目瞭然のデモンストレーションだった。

 さて、このセッション中、前述したとおり「SpriteStudio Ver.2」が発表された。Ver.2では「アトリビュートごとのキーフレーム編集に対応」し、パーツごと個別にキーを設定できるように向上。これは同時にアニメーションデータの軽量化をも意味する。また、「パーツ参照位置の変更に対応」し、パーツが参照しているイメージの位置と大きさを、フレーム作成して任意に変更することができるようになった。また、「親子継承設定の編集に対応」しており、パーツごとに各アトリビュートの継承の有無と継承率を設定でき、アニメーション再生に反映されるようになった。

 今後は、「シーン編集モード」の実装を目指しており、アニメーションデータを組み合わせることで、1つのシーンを編集するモードを搭載するとのこと。アニメーションそれぞれを1つのシーンパーツとして扱い、それを移動・拡大縮小・回転などを組み合わせ、シーンを構築しようというのだ。

ペンギンを使用して拡大、回転を実践してみせる
親子継承で、同じ動きをしながらタイミングを遅らせたりもできる
パーツごとに切り替わって表示されていたものが、位置をずらすという発想だ

会場ではブース出展もされていた

 井出氏からは、従来からあるニンテンドーDSの開発ツールとの親和性を高めてほしいという要望も飛び出し、現場レベルでのやりとりも見ることができた。こうした使う側の意見を積極的に取り入れ、より効率的でクオリティの高い開発ツールが日々生み出されていくためにも、要求にどれだけ迅速に対応できるかによるのではないだろうか。開発者もそれを望んでいる。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

ページトップに戻る