BLは愛です! 理解するんじゃない! 感じるんだ!――「がる★パラ!」で「腐女子カフェ」を立ち上げた腐女子たち(3/3 ページ)
ガンホー・オンライン・エンターテイメントが5月にオープンした「がる★パラ!」。この中の企画「腐女子カフェ」では、BL系の書籍で有名なリブレ出版と共同で運営を開始し、「腐女子の腐女子による腐女子のためのサイト」が着々と出来上がりつつあるようだ。そこで、ガンホーとリブレ出版の担当者に「がる★パラ!」と「腐女子カフェ」について聞いてみた。
「萌BOOKSプロジェクト」はさらに広がる
――今後の展開について教えてください。
杉浦 1つはリブレさんと進めている「萌BOOKSプロジェクト」という投稿ページの拡充です。
稲石 今年8月に「腐女子の品格」の続編となる「腐女子の本懐」が発売されますが、そこに「萌BOOKSプロジェクト」の投稿の採用が決まりました。
――「萌BOOKSプロジェクト」の投稿欄で、面白いコメントはありましたか。
稲石 第1回目が「腐女子趣味をより一層楽しむための裏技を教えてください」というテーマだったのですが、「手帳の端と端に好きな受けと攻めのキャラクターのシールを貼って、閉じたらカップリング」なんていうのはすごくいいなと。中には道の出っ張りで受けとか攻めとかいうのもありました。ああ、これは上級者だなと(笑)。
川島 昔から交わされてる議論ではあるんです。消しゴムと鉛筆はどっちが受けか攻めか、机と椅子は、とか。このネタを語るときに必ず引き合いに出されるんですけど。あと、地下鉄とか新聞とか(笑)。
――「森川智之のレディオ ベルと作る萌RADIOプロジェクト」のほうはいかがですか。
杉浦 RADIOプロジェクトは、リブレさんの監修の下、シチュエーションをまずは学園に置いて、入学式から始まり、1年間のストーリーを作り上げる予定です。あるワンシーンの設定に投票するようになっていて、コメント欄に、言ってほしいセリフ書いてくださる人もいます。この投稿をレディオ ベルで読み上げていただいたり。リスナー投稿と同じですね。ゆくゆくは1本のドラマとしてまとめていきたいと思っています。
――ガンホー社内の反応はどうですか。
杉浦 広報担当者によると、社員に質問されることは「『がる★パラ!』は一体、何をやってるの?」「これから何をしようとしてるの?」。あと「エロはやめて」ですね(笑)。
――広報の方は男性ですが、プロジェクトメンバーなのですか? BLの本も読んだんでしょうか。
杉浦 読んだらしいです(笑)。で、結論としては「読まず嫌いだった」と。男性のものとは違って、BLはエロじゃなくて、ストーリーやシチュエーションを重視しているものが多いんです。周りの男性にも「BLを理解するために読んでみて」と勧めているようですが、なかなか読んでくれないそうですけど(笑)。
――男性でも意外と読めるものなんですね。
杉浦 彼の場合、心は乙女ですから(笑)。
――ちなみにエロの基準って明確なものはあるんですか。
川島 男性のコンテンツは分かりやすいんですけど、そもそもBLって“18禁”はほとんどないですからねえ。
――そうなんですか?
杉浦 そうですよ! BLはエロじゃありません! 愛です! 男性からは「理解できない」とも言われるんですけど、「理解するんじゃない! 感じるんだ!」と(笑)。
――まさかそれを社長にも……?
杉浦 はい、もう何十回も(笑)。男性社員たちも「がる★パラ!」のことは気になっているようなんですが、わたしではなく広報担当にばかり、こっそり質問しているようですね。
――興味はあるけど、女性には直接聞きにくい、というところでしょうか。
杉浦 精神論に入っちゃいますしね。「がる★パラ!」自体はソフト路線で“より多くの人が許容できるゾーン”を狙っていますが、ユーザーさんが参加する「腐女子カフェ」は、楽しんでいただける程度まで深くはしたいと思っています。
――ところで、このサイトは何を収入源にしていく予定ですか。
杉浦 まずは広告収入ですね。バナーは来月以降に始めますが、サイトのポリシーにあったタイアップの特集をするといったオファーもすでにいただいています。あとは、チケットなどもアフィリエイトの導線を引いてます。ゆくゆくはEコマース、モバイル展開も視野に入れています。夏までには10万ユーザーを獲得することが目標ですが、現状では順調に推移しています。
――ユーザーの傾向や、最近の流行などはありますか。
杉浦 若年層が多いと思っていましたが、ふたを開けてみると意外にも30〜40歳代の方も多かったですね。主婦の方も。また、60歳というユーザーさんもいるようです。
川島 うちの読者には、60歳代の方で「親子2代で読んでます」という方もいらっしゃいますね。
ところで、最近こんなのもあるんですよ。(といって写真を見せる)
――これってまさか……。
稲石 「ふじょランチ」です!
稲石 もうすぐこれも「腐女子カフェ」で募集して、良いものがあれば、リブレの「MAGAZINE BE×BOY」などで取り上げたいと思っています。
――力作ですけど、会社では食べられません!(笑)。「キャラ弁」ははやりましたが、こう来るとは思いませんでした……。さて、腐女子という言葉がずいぶんメジャー化してきましたが、競合としてはどういった相手を想定していますか。
杉浦 BL系のサイトはさまざまありますが、実をいうと競合は、他のサイトよりも雑誌だと思っています。雑誌のほうが情報元との関係が深いので、情報が早くて濃いんですよ。うちは商品情報だけじゃなくイケメン情報にまで手を広げているからなかなか大変で。将来はむしろ雑誌と提携していくという可能性もあるかもしれませんね。
――では最後に読者へ一言。
杉浦 ぜひ「腐女子カフェ」にご参加いただきたいですね。思いっきり弾けてください(笑)。
また、近日中にあらたなコンテンツとして、「腐女子カフェ」にコラムと特集を追加する予定があります。コラムは、腐女子の世界を、腐女子初心者にも、上級者にも楽しめる形で表現できたらと。そんな静的な記事と、双方向のやり取りのある動的な投稿コーナーをのバランスよく配置しながら、サイトを盛り上げていこうと思っています。お楽しみに!
稲石 わたしたちもどんどんネタを募集して、書籍や雑誌に盛り込んでいくつもりです!
川島 腐女子ライフをこっそり楽しんでいる方も、堂々と楽しんでいる方も(笑)、思いのたけを「腐女子カフェ」にぶつけていただけると嬉しいです。そこから書籍やラジオにとどまらない、腐女子の新たな世界がひらけるのではないかと、期待しています!
社長を動かした腐女子の熱意。そして、一人の腐女子が手を挙げれば、我も我もと現れる新たな腐女子。この底知れぬパワーこそが、腐女子の神髄といえるのかもしれない。
そんなパワーが結集した「がる★パラ!」はこれからどこに向かうのか? 今後に注目したいサイトである。
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森川智之のレディオベル
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「腐女子の品格」
(c)腐女/腐女子の品格制作委員会2008
「腐女子の本懐」
(c)腐女/リブレ出版 2008
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