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気の向くままにリズムを刻め。必要なのはスキルではなくパッション「大合奏!バンドブラザーズDX」レビュー(2/2 ページ)

“バンブラ”の愛称で知られる、ニンテンドーDSの音楽ゲームシリーズ続編。前作からの改良点はというと……いや、そんな紋切り型の紹介など止めよう。初めてでも従来からのファンからでも、どちらだっていい。音で遊ぶ。その気持ちがあれば他に何もいらない。

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攻略「ロビンソン」その2――曲をよく知る編

 繰り返し曲を聴いてもいいのだろうが、せっかくだし、別の機能も試しながら勉強してみることにした。「大合奏!バンドブラザーズDX」には、大きく3つのモードがある。今までやっていた“歌う”以外では、“演奏”、“作曲”という楽しみ方ができるのだ。というよりは、本来そっちが王道ともいえる。

 そこで演奏モードを選ぶ。ここでは曲を構成するさまざまな楽器、すなわちパートごとに演奏ができるようになっている。“ロビンソン”の場合ならば、メロディ部分を担当するクラリネットをはじめ、ピックベース、ストリングス、パンフルート、OD(オーバードライブ)・ギター1、OD・ギター2、フォークギター、ロックドラムの8つのパートがある。これらのパートはそれぞれ個別のプレイヤーで受け持つことが可能なので、ニンテンドーDSをたくさん持ち寄れば、手軽にセッションも楽しめる。これはこのシリーズの大きな楽しみなのだが、とりあえず今は深夜だし、急にメンツが集まるはずがないので、1人で演奏することにする。しかし、何となくむなしい。かつ寂しい。できればみなさんには人数を集めてのジャムセッションをお奨めしたい。

 それはともかく、メロディラインを覚えたいのでまずはクラリネットを担当する。演奏の方法にも、ビギナー、アマ、プロ、マスターの4ランクがあって、上へ行くほど実践的な演奏ができるのだが、ここは余計なミエなど張らず、ビギナーで。どうせミエを張っても誰もいないから意味ないし。

 さてそんな感じで始めたところ、これがなかなかいい。手軽で簡単なのだが、きちんとリズムを捉えていないとタイミングがずれて高得点が取れない。逆に言えば、リズムを捉えられるようになると自然と点数も上がっていくようになっている。達成感を感じられて楽しい。

 ついでなので他のパートも一通り試す。やはりOD・ギター1&OD・ギター2が一番難しい。他のパートが80〜90点を取っているのにOD・ギターは60点台。まあ、ギターなんだし、当然だろう。

ビギナーで演奏した場合は、丸いマークがあるところでボタンを押すだけでいい。赤いバーが延びている箇所はボタンを押しっぱなしにする。簡単だが、リズムを掴んでいないとジャストフィットさせるのは難しい
一度でも演奏したことがある楽器はリストに登録される。全58種類の楽器があるので、そのコンプリートを目指すのも楽しみのひとつ

 そんなこんなで少しは分かってきたので「歌う」モードに戻る。で、3度目のチャレンジ。……57点。あまり進歩がない。だが、リズムや音程は前よりもよくなっている。なのになぜ、と思ったら、バーバラから“声が小さい”との指摘。こうなっては仕方ない。やはり深夜に大声で歌うことにためらいがあるのだろう。が、そんなことで怯んでいられない。今度はカラオケボックスにいる気分で歌う。70点。だんだんまともになってきた。ところがまたバーバラに“ビブラート効かせすぎ”。ああ、そうだった。うぐぅ〜。

 ノドの揺らしを抑えめにしてもう一度歌ってみるとビブラートはようやく“ちょうどいい”になった。だが、点数は71点。なかなか一朝一夕にはいきそうにない。いささか疲れてきたので気分転換をすることに。歌唱モードには今までやってきた“歌トレーニング”以外に、“歌声タイプ診断”というのがある。今度はこっちを試してみようというわけだ。人間というのは実に恐ろしいもので、しばらく歌っていると、深夜だとか、1人だとか、聞いている人がいないとか、そういう不自然さが気にならなくなってくる。むしろ、歌うことへの欲求が高まって止められなくなってくる。カラオケで20曲ぐらい歌うと妙にハイになることがあるがあれに似ているかもしれない。

 歌声診断でも引き続き、「ロビンソン」の世話になる。歌う気があるのとよく知らない歌をこれから覚えるのはまた別。ここは少しでも勝手の分かっている歌を選んでおく。

 さて相性度は55%と出た。高いのか低いのか、まあ、あまり高いとは思えない。微妙な感じだ。それはそれとして歌声診断では曲との相性だけでなく、歌声のタイプも診断してくれる。こちらは“ムード歌謡”タイプと診断された。ムード歌謡ねえ……何だか喉に不気味な変化が起こっている気がする。怖くなったので、もう一度、今度はここまでやったことを多少気にしつつも、基本的には好きに歌ってみることにする。相性度は50%と下がったが、歌唱タイプはR&Bになった。やれやれ。どうにかパンク方向に戻ってきた。ひと安心。

高得点を取るのはなかなか大変。「カラオケの練習に」という宣伝キャッチは決して嘘ではない
ムード歌謡タイプとの診断が下った時。自分の歌がムーディーだったとは知らなかった。新たな自己発見?

上手いか下手か。そんなことはどうでもいい

 ここまで“歌う”と“演奏”について説明(になっているといいが)してきたが、もちろん第3のモード、“作曲”も忘れてはならない。それどころか、この、”作曲”こそが最大の盛り上がりを呼んでいるとさえいえるのだ。 その理由は「投稿」というシステムにより、DSをWi-Fiコネクションに接続すれば、、ユーザーが自作した曲を任天堂のサーバーにアップロードすることがでるようになっているのだ。また、その曲を他のユーザーが聴いたり、ダウンロードして演奏することが可能になっている。

(完全なオリジナルは不可。日本音楽著作権協会が審査できる曲に限られる)。

 こうした楽しみは音楽を好きな人にとってたまらなく大きいだろう。筆者もそれには賛成する。ただ、あえて言うが、こういう時にある種の弊害が生まれる可能性は否定できない。つまり、上手い人だけが楽しめるソフトなのでは、という錯覚が生まれてしまうことだ。

 音楽のセンスは人それぞれだから、優劣で競えば序列が付くのは避けられない。しかし、このソフトはトーナメントやランキングをやっているわけではなく、あくまでも娯楽なのだ。筆者はさっきも言ったようにカラオケが大好きだ。だが、作曲などできない。楽器も弾けない。だから筆者がこのソフトを紹介すると、上記のような、なんとも珍妙な文章になってしまう。しかし、夜中にひとりで歌を歌い、点数に一喜一憂している時は素直に楽しかった。ハイスコアを取るのは簡単ではないが、それは二の次。まず歌を歌うという行為自体が楽しい。次にそれを上手く歌うようあれこれ試すのが楽しい。楽器が弾けないから、作曲ができないから、など、何の問題にもならない。

 演奏が上手かったり、作曲が得意な人は、世間全体から見たら少数派だろう。「大合奏!バンドブラザーズDX」がそうした才能ある人たちを楽しませてくれるだけの潜在力を持っているのは疑いようもない。しかし、それ以外の、圧倒的多数の普通の人々にとっても、このソフトの面白さは何ら失われるわけではないのだ。

 例えば“ハナウタ作曲”モード。マイクに向かって鼻歌を歌えば、それをそのまま楽譜にしてくれるという機能がなぜ付いているのだろうか。五線譜を読んだり、書いたりできる人に必要な機能とは思えない。そのメインターゲットは間違いなく、格別の才能を持たない、普通の音楽好きなのだ。

“ハナウタ”と同じく、演奏をそのまま楽譜にしてくれる“鍵盤作曲”。昔、ピアノを習っていたという人なら当時の練習曲を弾いてみるのも懐かしくていいかも

 上手い下手など気にすることはない。音を楽しむ気持ちがあれば、それだけで「大合奏!バンドブラザーズDX」は面白い。シリーズ第2弾だとか、楽器なんて弾いたことがないとか、作曲なんてできない、なんて思いはすべて捨ててしまえ。そして、バーバラ・バットの待つ「GBミュージック」へと足を運んでみよう。

「大合奏!バンドブラザーズDX」
対応機種ニンテンドーDS
ジャンル音楽ソフト
発売日2008年6月26日
価格(税込)4800円
(C)2004-2008 Nintendo


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