25回も続いてよかったね(実は26回目だけど)記念――くねくねハニィのつれづれなるくねくね話 Part2:くねくねハニィの「最近どうよ?」(その26)(2/2 ページ)
またオフィス前の平坦な場所ですっ転んで足を引きずるくねくねハニィがお送りする「最近どうよ?」第26回目です。小ネタを並べただけって話もありますが、「いろんな話題に触れているので読んでみて、よろしこ」とのこと。
業界の再々編?
日本でもテクモの件でスクウェア・エニックスやコーエーを巻き込んだ業界の再々編とも思しき動きがあるけど、EAのTake2のTOBは結局不調に終わり、ハニィの読み通りEAがあっさりTake2をって話ではありませんでした。すいません。何回も延長し続けたTake2に対するEAの提案(約2億ドル:25.74ドル/ストック)の最終期限が8月中旬に切れたましたの。天下のEAもTake2のあまりの抵抗に手を焼いたみたいで、だからと言ってEAがあきらめたわけでもTake2がこのままEAを退けるつもりでもなかったりで、あまり進展しなかったのですが、この度買収案を撤回した様子。
Take2も「GTA IV」の発売まではよかったですけど、決して株価が安定しているわけではないですし、市場の評価としては今後のタイトルが予定通り発売されるのか? 売れるのか? 様子見してたんでしょうね。
再編は、大前提としてどちらかが経済的に困難な状況になっている場合にサクサク進むことが多いんですが、その裏にはそれぞれの企業の思惑があるわけです。バンダイとナムコは「IP管理が得意なバンダイと自社IPと開発力のあるナムコがお互いに補完しあえる」というメリットを両者が感じていたからだし、スクエニがテクモに魅力を感じていたのはXbox 360をはじめとするハイスペック現行機に対する開発能力の高さだろうし、EAがTake2に対して動いたのは、対Activison Blizzard対策であり、GTAシリーズの取得であり、スポーツライセンスの集約だとハニィには見えたのだけどね。
企業が大きくなっていくとどんどんダイナミズムが失われるってこともあって、あんまり再編が進んじゃうと「ハリウッド化」はもちろん、マスに向けた高コストタイトルばっかりが出てくることになっちゃうんじゃないかなとちびっと心配しているハニィですの。世の中バランスってもんがある。水モノのエンターテインメントはあんまり偏っちゃいけないんじゃないかしら? と言ってみてもしょうがないことを考えちゃう。
iPhoneの開発が熱い?
E3のリポートに書き忘れてたんだけど、ほとんどのパブリッシャーが「iPhone」を1つのプラットフォームとして大きく捉えたプレゼンをしていたんです。モバイルコンテンツの1つっていう位置づけでもなく、どちらかと言うとハンドヘルドゲーム機のような扱いをしていたの。
今やゲーム業界はiPhoneへと肩入れしているように見える。ゲームソフトを提供する立場としてゲーム専用機ハードに依存するのは理解できるんだけど、音楽/映像プレイヤーも兼ねた、さらには電話機を兼ねた単体のデバイスに対して、ゲームを大量に投入することになるのね。アップルがいろんな意味で台頭していて、iPodやiPhoneに対して新しい道を切り開いていることも間違いないけど、ハニィとしてはハードに依存する時代はちょっとナンセンスな気が。
もちろん、iPhone向けのコンテンツを否定しているつもりはないの。日本のメーカーも含め、どのプラットフォームに向けてコンテンツを供給していけばいいか? って悩んでいるところだと思うから。過去にN-GageやGismondoなどへのコンテンツ展開の失敗を経験しているメーカーたちですから、「iPhoneは違う!」と読んだのでしょうな。実際にアップルがやると何だかイケてる感じもするし(笑)、やはりきらりと光るビジネスモデルなんでしょうな。
話を戻すと、ちょっと前にはGoogleのアンドロイドが話題になったけど、iPhone向けのソフトを作るとハード依存するって話から考えると、ケータイ電話全体にオープンにしているアンドロイドの大きな可能性は否めないと思うわ(あ、ケータイ電話のプラットフォームをキャリアが独自に握ってる日本と韓国では、アンドロイドもちょっと難しいかもだけど、あくまでもグローバル視点で話してます)。余談だけど、オープン化されていないクアルコムのBrewは短命だったってことなのか? って疑問にもつながるけどね。
iPhone向けにしろアンドロイドにしろ、オープン化という流れは避けられないんだね。ハードからシステムまで1人占めって発想自体がもうすでに古いのかもしれない。こういうところってなかなか頭が固いおっさん&おばはんだと「世の中の流れについていけない」ことになるのかもね、なんてちょっと胸が痛いハニィでしたよん。
ダウンロード化の流れは止まらず……日本は?
GCのところでも書いたけど、欧州ではPS3の160Gバイトモデルを発表しました。これに伴って北米では、ソフト同梱版PS3の160Gバイトモデルを11月から499ドル(約5万5千円)で販売するとSCEAが公表したの。DualShock 3コントローラはもちろん標準でついてるんだけど、同梱予定のソフトは「Uncharted: Drake's Fortune」と「Pain(ダウンロード用ソフト)」のバウチャー(要はタダでダウンロードできるってこと)が! いよいよ大容量の時代になってきましたね。
パッケージを買わないでダウンロードを中心にソフトを購入していった場合、確かに40Gバイトとか80Gバイトとかではすぐにいっぱいになっちゃうから、160Gバイトって話も別に自然の流れということでしょうかね。
アメリカではXbox、PS2の時代からオンライン対戦を含むゲームが多様化していたけど、オンラインでのダウンロードという流れは思っているよりも急速に進んでいるみたい。国土の広い北米ではお店にわざわざ買いに行く手間も省けるっていうユーザーメリットもそうなんだけど、どちらかと言えばメーカー側の都合の方が大きいかも。
パッケージ販売の場合、在庫リスクを持ちつつ小売店のバイヤーの顔色を伺い、広告宣伝費を高額に払い、売れなきゃ値段を下げさせられ、返品にまで応じてと、苦労しっぱなし&リスキーなビジネスだったわけですよ(あ、日本の場合は違いますけどね。日本を除くグローバルなお話)。
しか〜し! ダウンロードにするとどうでしょうか? 在庫リスクなし、リピートリスクなし、製造コストもなく、マニュアルなどの印刷代もかからず、なんとエコな! そしてそして一番のメリットは、小売店に惑わされることなくユーザーに直接販売することができるってことですよね。
また、日本で先ごろSCEがやっとPSPへの直接ダウンロードサービス(PCやPS3を介さないで直接PSPがWi-Fi経由でダウンロードできるサービス)を始めますな。PSPがニンテンドーDSに対して大きく差別化できるところと言えば、Wi-Fiが直接つながりメモリ媒体(メモステ)に格納できる、ってことだろうと思うんですわ。PSPが発売された当初から、そういうことができると期待していたので、遅すぎるくらいなんですけどね!
PSPは小売での棚(販売スペース)も少なかったし、パブリッシャーとしてはソフト供給したいハードであったにもかかわらず、ビジネス的(対小売)に断念していた部分も多いはず。まさにPSPの直接ダウンロードは、欧米のパブリッシャーたちが待ち望んでいた形ではないでしょうか〜。
Wiiウェアもそうだし、Xbox LIVE Arcadeもそうだし、そしてPSPもいよいよ直接ダウンロード販売が始まったわけだし、日本のメーカーも積極的にダウンロードコンテンツに関して取り組んでいただきたいなと。いえ、もっと言うと、デベロッパー自らパブリッシャーを介さずに自ら発信するコトだってできるわけです。在庫を保管する倉庫も、お店に出かける営業さんもいらないんですから!
それにしても日本のPS3のメインは40Gバイト。北米では80Gバイトでも足りないってユーザーが騒いでたのに。これも日本のユーザーのオンライン移行へのハードルの高さを物語ってるのかな。ま、日本はパッケージ販売上のプライスプロテクション等のリスクがメーカーにないので、オンラインに急いで移行したいという気持ちが欧米に比べて薄いのかもしれませんね〜。
ハニィのあとがき
最近大手のパブリッシャーやデベロッパーと話すことが多かったんだけど、ハニィがしつこいくらい言っていた「オンライン」に関して、まだまだ国内では浸透していない、とのお叱り(?)がありましたじょ。「オンライン」とはスタンドアローンのゲームの上に乗っけることだと思っている方々がたくさんいる、ってことらしいんですな。うーん。オンラインの話はこれからも一生懸命誠意を持って書いていこうと思うハニィでした。
いよいよTGSも近づいてきて、海外から日本はどれだけ注目されているんだろうか? と気になるハニィでしたけど、この間あるパブリッシャーと話してて思ったんですけどね、確かに昔は海外のジャーナリストが「日本のゲームを取材するぞ!」といって、わんさかあっちからやってきたもんですけど、最近は皆さん自分の国のソフトのことで手いっぱい、おなかいっぱいなわけで、フォーカスされてないことも多いんですよ。相手が寄ってくるんじゃなくて、相手に来てもらう努力って、これからは必要だなと。
こういうことって認めたくないんですけど、日本のメーカーとしては日本での認知度アップやアピールも大事なんですけど、上にも書いたようなネット時代になるとテリトリで物事を語るのはナンセンスなんす(だじゃれか!)。そのためにもGCがそうであるように、世界に発信するTGSにしてほしいと。そのためには出展する各メーカーもそういう意気込みでお願いしたいもんだなと。
それにしても、最近「これだ!」ってネタがないんですよ。今回のような小ネタ集も楽しいってご意見や、「何かこれについて書いて!」ってことがあったら編集部ハニィ係まで(そんなのあるんか?)よろしこ。それではTGSで会いましょう!
くねくねハニィのプロフィール
1967年アメリカサウスダコタ生まれの日本人。
小学生からはゲームセンターに通いまくってやたら大きく育つ。
1990年に都内K大学を卒業後、大手ゲーム会社にて海外ソフト担当となり、2001年に退職。それ以降は自称フリーのゲームアナリストとして暗躍。暗躍しすぎたので名前を変えて表舞台に。くねくねと唐突に現れて「親父ギャグ」をかまして周りの人々のレベルを下げまくる困ったやつ。独特の語り口調ですが、もう慣れてくださいとしか言えません。言ってる中身は至極マジメなので。ちなみに「風来のシレン」が好物で、名前もそこから借用。なんだか公認してもらったそうです。
ハニィはこの原稿を書き上げるとすぐにベトナムへと向かったらしい。ええのー。ちなみにハニィの大学での第2外国語はロシア語。まったく覚えていないようで、数も2までしか数えられないそうな。ライプチヒではサラダを頼むのに20分かかったとか。というか、タイトル紛らわしいですが、普通に26回目です。別にナンバリングが飛んだわけではありません。あしからず。
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