風を感じる浮遊感を味わえる「Flower(仮題)」――開発者インタビュー:東京ゲームショウ2008 SCEJブース
東京ゲームショウには各国からゲーム開発者が参加している。今回、SCEJブースに出展されているPS3ダウンロード専用タイトル「Flower(仮題)」の開発者にどんなゲームか聞いてみた。
花びらが舞い、ポエムを心に描く
夢の中で1枚の花びらとなり、各世界で花を咲かせていくポエティックアドベンチャーと称する、PLAYSTATION Network専用コンテンツ「Flower(仮題)」が東京ゲームショウ2008のソニー・コンピュータエンタテインメントジャパンブースに出展されている。禅をテーマとした「flOw」を作り上げたスタッフが新たにつづる詩的世界とはどんなものなのか?
「Flower(仮題)」は、そっと頬をなでるような風となり、空中を自由自在に飛び回り、ステージに設けられているポイントを通過することで、次の展開に続いていくというのが基本だ。筆者が遊んだのは草原を一陣の風となり、花のつぼみに触れることで花を咲かせ、花びらを舞わせるというステージ。
起伏のある草原にはところどころ岩がのぞいている、いわば“なにもない世界”。しかし、その草原には草が枯れてる場所が見て取れる。プレイヤーは風となり、その枯れた土地に生命の息吹を与えるのが目的のようだ。その方法こそが、風を操作して枯れ草に芽吹くつぼみにそっと触れていくということなのだ。
操作はいたってシンプルだ。DUALSHOCK3(モーションセンサー/振動)に対応しており、風の方向は傾きで決定する。使用するボタンはどれでもいいから1つのみ。ボタンを押し続けることでスピードが増し、その浮遊感が気持ちいい。なるほど、ぼんやりと風になりながら、その世界を漂うという感覚はどこか前作と共通しているものを感じる。
このゲームを開発したthatgamecompanyのケリー・サンチアゴさん(以下、敬称略)に会場でインタビューをする機会を得た。ケリーさんが所属するthatgamecompanyは、「FlOw」のデベロッパーでもある。
―― なぜ、「Flower」のようなゲームを作ろうと思ったのですか?
ケリー thatgamecompanyは、従来のゲームで表現できていないさまざま感情をユーザーに感じてもらえる新しいゲームを作るという目的で設立されました。前作の「FlOw」の経験を生かしてさらに、いいゲームを作りたいと思ったんです。「Flower」では、ゲームでポエムが作ったらどういう風になるんだろうと思ったのがきっかけです。その中で町や都市と自然の対立をメッセージとして組み入れてみました。
―― 今回、東京ゲームショウでは草原に花を咲かせていくという内容でしたが、ほかにはどういったステージがあるのでしょうか?
ケリー 操作などゲーム性そのものは同じなのですが、7つある各ステージそれぞれテーマのようなものがあります。色使いも見せ方も異なります。しかし、どれも環境に生命を与えるというものが表現されています。花びらを操作するのはいっしょで、効果や反応が違うといえば分かりやすいでしょうか。
―― ユーザーにはどう受け取られると思いますか?
ケリー プレイヤーにはどんな感情でも、思ったことが一番正しいことですので、さまざまな感情を抱いてもらいたいですね。多少重たいと思うこともあると思いますが、それもすべてプレイヤーに任せています。
―― とても絵画的だし、映画的手法も取り入れているようですが。
ケリー カメラなどをパノラマにしてますし、開発するにあたり映画的手法にインスパイヤされています。ワタシは、USCのインタラクティブ・メディアディビジョンという学科を出ているのですが、そこではいろんな手法を使って人に感情を抱かせる、といった研究を行っていました。プレイヤーの感情をインタラクティブ性であったり、サウンドであったり、ビジュアルであったりと、さまざまな手法を使って抱かせるという研究成果のひとつと思ってください。
―― 前作の「FlOw」もそのひとつというわけですね。そういえば、「FlOw」にerをつければ「Flower」なんですね。何か狙って命名したとか?
ケリー 実は……(笑)狙ったわけではありません。このゲームはまず、草原を作りたいというところから始まりました。インターネットで「花」に類する言葉を検索すると、たいがい世界共通でいい感情を抱かれているんです。そういうプラスの感情が多く含まれているのはなかなかありません。そこで「Flower」と命名することにしたんです。でも、続編ではないにしろ、同じメンバーで作っているので同じ遺伝子を受けついでいると感じてもらえると思います。
―― “さまざまな感情を抱かせるゲーム”の次なるアイディアのようなものはあるのですか?
ケリー 次回作のイメージは頭の中にあります。実は、SCEとの契約が3本ということになっているので、きっと近いうちにPLAYSTATION Networkで配信する作品を作ることになると思います。前作のファンの方も、次回作に期待する方もぜひ遊んでもらいたいです。
―― ありがとうございました。
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