海外ではハード別にどんなゲームソフトが売れるのか考察してみた:くねくねハニィの「最近どうよ?」(その27)(3/4 ページ)
「不思議のダンジョン 風来のシレンDS2 〜砂漠の魔城〜」をネット予約したくねくねハニィの連載27回目。ハニィ視点での海外ハード別ソフト傾向なんぞ語って見たのでお茶を飲みながらどうぞ。
Wii向けのソフト
Wiiのソフトは欧米のメーカーさんでもそれほど成功している、とは言えないかもね。やっぱり任天堂のソフトがものすごく売れているから、サードパーティは何をしていいのか分からんけど何か供給せねば! って状況になっとります。あ、これは日本のメーカーも同じ状況かもしれませんけど。
まず、コントローラが伝統的ゲーム操作ではないことから、ゲームアイデアを問われるハードであること、それからスペック的にPCからの移植が相当困難なこと。マルチプラットフォームを語るときに、Wiiだけ別路線で検討しなければならんのですよ。限定されたスペック、そういう意味では日本のメーカー、デベロッパーたちの腕の見せどころなんですな。
あくまでもステレオタイプですが、やっぱパーティゲームではないかと。ファーストパーティである任天堂が「Wii Sports」や「はじめてのWii」を発売している手前、もうパーティゲームはいらんでしょう? と読んだメーカーさんはいろいろなアプローチをしてみたんだけど、結局ふたを開けてみれば、パーティゲームを作ったメーカーたちが潤ってたりするんですね〜。Midwayの「Game Party」はほぼ90万本、Take2の「Carnival Games」に至ってはミリオン突破(約125万本)ってくらいの数字をあげているのですよ。
携帯ゲーム機(ハンドヘルド)のお話
PSPは北米だけでも月販20万台〜25万台を更新し続けて1000万台を軽く超えたPSP。あっぱれですな。でも、競合と言われるニンテンドーDSの勢いはまったく止まらないのだ。すでに2000万台を超えて、月販50万台を下ることはないの。
「台数はそこそこ行ってるのに、なぜソフトが売れないのか?」と嘆かれるPSPだけど、ハニィは当初ゲーム機として使われていないのではないか? と思ってたの。でも、どうやらちゃんと「ゲーム機」として遊ばれてるみたい。もちろんガジェットとしてマルチメディア機としてってのは、使用用途もあるから、全否定はできないけど、ユーザーはちゃんとゲームソフトを遊んでるらしいよ。
それではどうしてソフトが売れないんだろう? と聞いてみると、あったあった、違法サイト問題! カセットというメディアを使うニンテンドーDSでさえ、違法サイトでダウンロードして遊ぶのがアンダーグラウンドで横行しているという話を皆さんご存知でしょうけど、PSPなんてその温床ってくらい多いらしいの。そもそもPSPは何でもできる、って最初から間口を開いてるから、この上なく利用しやすいハードなんですってよ。
大容量のメモリースティックがあれば、PCでダウンロードしてPSPでプレイなんてことも容易にできちゃうし。そんな違法サイトが北米だけで50以上、人によっては100以上あるよ、って言うくらい幅を利かせてるみたい。
違法サイト側はもちろん有罪。ただ、今まで日本では、たとえその違法サイトで著作物をダウンロードしたとしても自分で使用する分には問題ないと言われていたの。しかし、今までは今まで。これからはこれらをダウンロードした場合も違法として取り締まっていく動きが取られている。ゲーム業界は中古の件では屈さざるを得なかったけど、違法ダウンロードに関しては断固として立ち向かって行こういう流れだ。
あ、話がズレちゃったわ。ってことで、北米だけで2300万台も販売されてるDSはもちろん、PSPだって1200万台を超えてるんだから(Xbox 360よりも出回ってるハードなんだよ!)供給プラットフォームとしては十分なもの。しかもゲーム機として認知されてるんだったら作りましょ、的確なソフトを的確なハードで!
PSP向けのソフト
残念なのは、PSPのオリジナルタイトルが最近少ないこと。9月はDSが40タイトル新作で発売されているのに対して、PSPは8タイトル(しかも今年になってから1ケタ更新していたからそれでも増えたんだよね……)。マルチプラットフォームで展開したタイトルのPSP版ってのがやたらと多いのも特徴。映画版権モノ、スポーツライセンスモノが主流です。日本でのモンスターハンターのような「キラータイトル」の出現がいまだに見られないのが残念だなと。北米で一番売れたPSPタイトルは、「Grand Theft Auto: LIBERTY CITY STORIES」(9月末現在で200万本を超えています)ってのはちょっと物寂しいなと思うハニィですよん。
モンスターハンターが日本で売れているように、協力プレイや対戦ってのは携帯ゲーム機であれど楽しいもんよね〜。でもここでの落とし穴が「アドホック」ってやつね。残念ながら北米ではアドホックってやつが日本ほど重宝されないの。な〜んでか? って聞いて見たところ、PSPがターゲットとする高校生以上の方々は「つるまない」んですねぇ。
学校に通うのも自分の車(州によって違うけど、大体16歳くらいで運転免許が取れてしまうのだ。ユタ州だと14歳だった気がする)なわけで、通勤も車の確率が高いってことは放課後に電車やバスでつるんで帰る、じゃ、帰りに遊んで帰ろうか? ってことはあんまりないんですな。
アドホックがダメならインフラストラクチャモードで、ってことであんまり考えすぎると、国土が広すぎてWi-Fiインフラが整えきれない北米で外でネットにつなぐってのは相当なコアユーザーかもね。となると家でつなぐってのが一般的。家にはPCやXbox 360やPS3っていうネットに繋がれた競合があるから、真っ向勝負してもしょうがないと思われますね。いっそのことスタンドアローンか(普段、ネットネットって叫んでるハニィにとっては珍しい発言でしょ?)、部屋でサクっとネットで遊べるものが好まれるのでは? スポーツモノやレースなんかが売れ行きがいいのそのせいかしら? EAの「Need for Speed:Most Wanted」は100万本を軽く超えましたね。でも! 携帯ゲーム機ではあれどハイスペックなPSPですから、当然グラフィックの美しさは問われますのね。
日本でもローンチされましたけど、PSP直接ダウンロード(PSP本体でダウンロードコンテンツを購入できる)が期待されますぅ。現在のところUMDで販売するものをダウンロードでも購入ができます、ってスキームではあるけど、いずれオンラインオンリーで発売されるタイトルが出現してくると、在庫リスクもプライスプロテクションリスクもなく、メーカーが開発費だけの負担でタイトルをユーザーの手元に届けることができるのだよ!
パブリッシャーが長い間苦しんできた小売リスク(マークダウン、プライスプロテクション、在庫、リピート、機会損失などなど)も排除できて、さらにハイスペック機向けタイトルの開発費高騰での苦しみも軽減されるわけで、下克上の可能性もあるわけですわ。
これを機にデベロッパーがネットだけのパブリッシャーになる! ってことも可能なわけで、停滞していた業界の縮図も変化する可能性を秘めている、非常に興味深い流れですわ。それもこれもプラットフォーマーとしてのソニーさんの腕にかかってますよ! PS1時代のダイナミズムをもう一度! って考えてるのはハニィだけかしら?
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