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僕らが作っているのは「作品」ではなく「商品」――宮本茂氏が30年の仕事史を振り返る(3/3 ページ)

「DIGITAL CONTENT EXPO 2009」開催3日目となる10月24日、会場となった日本科学未来館では、「Asiagraph Award 2009」を受賞した宮本茂氏による記念講演「宮本茂の仕事史」が行われた。

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「今やれる最高のことだけを目指してきた」

 約1時間の講演の中で、個人的に印象に残ったのは、宮本氏の「僕らは作品ではなく商品を作っている」という発言だった。ゲーム開発者にとって、主役はあくまでお客さんであり、ゲームそのものではない。宮本氏は普段から、スタッフにも自分たちが作っているものを「作品」ではなく「商品」と呼ぶよう指示しているという。

 さらに宮本氏は次のように続ける。「僕らは常に、未来の理想に向けてではなく、今やれる最高のことだけを目指してきた。常にがむしゃらに、目先のことを追い続けてきただけなんです」(宮本氏)

 ユーザーから見れば「新しいもの」だったDSやWiiも、宮本氏にとっては「目先を追い続けてきた結果」でしかなかった。前や後ろに気を取られることなく、ただ目の前だけをまっすぐに追い続ける。楽天的と断じるのは簡単だが、実際にそれを実行し、結果を出せる人は決して多くないのではないだろうか。

「僕ももちろん、ひとつのことにひっかかって思考がループしてしまうことはありますよ。そんなときは泳ぎにいく。そうすると、泳いでるうちにしんどくて悩んでる余裕がなくなってくる。だからきっと明るいんでしょうね(笑)」(宮本氏)

 最後に宮本氏は「世界で一番売れる体重計を作って満足してしまったから(笑)」と笑いながら、「次はまた別の分野で、世界一売れる何かを作っていきたい」と、今後の展望について少しだけコメント。宮本氏の新たな「商品」がどういったものになるのか、今後も楽しみに見守っていきたいところだ。

「DIGITAL CONTENT EXPO 2009」の会場となった日本科学未来館
講演の開始前には、早くから入場待ちの列が長く伸びていた

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