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第3回「なぜ、ゲームではステージ数の表示方法にこだわるのか?」なぜ、人はゲームにハマルのか?(2/2 ページ)

「ディグダグ」「ギャラガ」など、ステージ数の表示方法には、プレイヤーをついつい夢中にさせる驚きの仕掛けが!

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 もうひとつ、「ギャラガ」のステージ数の表示にはアーケードゲームならではのインカム(売上)をアップさせるための重要なポイントが隠されている。

 それは、ゲームオーバー後にデモ画面に切り替わった後も、ステージ表示が消えずにそのまま残っていることだ。この表示は、次のプレイヤーがゲームを新たに始めるまでずっと消去されないのである。つまり、あえてステージ表示を残すことによって、「前回遊んだお客様はこのステージまで到達しましたよ」と、次のプレイヤーに対する挑戦意欲を大いにあおり、インカムの向上へとつなげる効果をも持っているのである。

 この素晴らしいアイデアを最初に考えた開発者(営業マン?)は、掛け値なしに天才であると筆者は思うのだが、みなさんのご感想はいかがだろうか?

 また、カプコン草創期の名作シューティングである「1942」にもステージ数の表示に独自の工夫が見られる。このゲームは全部で32ステージで構成されているが、1面では「LAST 32STAGE」(※残り32面という意味)、2面は「LAST 31STAGE」……というように、最終面から逆算した数で表示されるのである。

「1942」の2面開始時のゲーム画面。“STAGE 2”ではなく“LAST 31 STAGE”と表示されるため、残りあと何ステージなのかが瞬時に分かる

(C)1984 CAPCOM

 これによって、プレイヤーは「もうあと○○面クリアすれば最終ステージだ!」などというように、自分の現在地点およびゲームの実力を客観的に判断することができるのである。また、ゲームオーバー後には「もうあと○○面で最終面まで行けたのに!」などと悔しい気持ちになり、ついつい何回も繰り返しチャレンジしたくなる(=売上アップにつながる)のである。

 いかがだろうか? このようにステージ数の表示ひとつをとっても、よりプレイヤーがゲームに夢中になれるよう、さまざまな工夫を施しているのがおわかりいただけるだろう。今さらながら、先人たちの素晴らしい知恵とアイデアにはただ敬服するばかりである。

 最近はこのような演出を見る機会は少なくなったように思うが、現代でもその名残は随所に見受けられる。端的な例としては、対戦格闘ゲームにおける勝利数の表示が挙げられるだろう。連勝したプレイヤーには「CHAMPION 10WINS」などというように画面に表示され、他のプレイヤーへ実力をアピールする格好の指標となっているわけだ。

なお、ステージ表示の仕組みについては、第1回目でも紹介したサイトウアキヒロ先生とライターの小野憲史氏による著書、「ニンテンドーDSが売れる理由」(秀和システム)の「ゲームニクス理論3」のところに詳しく解説が載っているので、興味のある方はぜひご覧いただきたい。

 それではまた!

著者プロフィール

鴫原 盛之 Morihiro Shigihara

1993年よりゲーム雑誌および攻略本などでライター活動を開始。その後、某メーカーでのグッズ・店舗開発や携帯コンテンツの営業、ゲームセンター店長などの職を経て、2004年よりフリーに。現在は各種雑誌やwebサイトでの執筆をはじめ、某アーケードゲームの開発なども手掛ける。著書は「ファミダス ファミコン裏技編」(マイクロマガジン社)、「ゲーム職人第1集 だから日本のゲームは面白い」(同)など。

 今回取り上げたタイトル以外にも、例えば「ギャラクシアン」や「ペンゴ」ではフラッグを、「パックマン」ではボーナアイテムの果物をステージ表示に使用していますよね。特に「パックマン」では、最高得点の「カギ」を表示させることができたプレイヤーは、どこへ行っても実力者として一目置かれる存在だったのではないでしょうか?


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