“グローバルバージョン”を育てていく開発理念――「ドラゴンネスト」の正式サービスに向けて:「ドラゴンネスト」運営チームインタビュー(2/3 ページ)
6月9日に正式サービスが開始されるNHN JapanのアクションRPG「ドラゴンネスト」の運営チームは、どうタイトルに向き合って、どうユーザーのことを考えてきたのかを聞いた。
―― いつ頃から開発にかかわっているのでしょうか?
山縣 2年ほど前から携わっています。ですので、テストプレイを通した提案事項を含めて、韓国のクローズドβテスト開始までに細かい内容を含めると、300以上の提案をさせてもらっています。もちろん日本のサービスを前提に最適化させたい意味もありました。
杉浦 プロモーションビデオ見たときにこのタイトルを日本でサービスしたいと思い、かなり早い段階からかかわってきたこともあり、むりやり入れ込むようなことをせずに済みました。
山縣 日本での違和感はなく、システム面でのローカライズが進んだ結果だと思います。例えば、現在は攻撃モーションが武器によって異なり計3つあるのですが、開発当初はそれぞれ別のものなのに、全部同じものだったんです。それだと韓国のお客様も満足しないし、もちろん日本のお客様だって満足しないと提案させてもらいました。韓国の開発陣もそのことには留意していたようで、「そうかなと思っていたが、確信できた」とそれぞれすべてにモーションをつけることになったんです。
―― 実際にゲームを遊んだユーザーからの反応はどうでしたか?
杉浦 まず声優陣について。4人のキャラクターがいる中で、一番使いやすいウォーリア−がもっとも人気が出るのは分かっていたのですが、2番目にアーチャーが使われたのは声優さんのパワーがあったのかなと思っています(笑)。クローズドβテストでは、多くのお客様に遊んでいただいたのですが、ストーリーについてネタバレを控えていただけたようで感謝しています。ちょうどこの記事が掲載されるころには、漫画も連載開始されているかと思いますが、いつかのタイミングで漫画で登場した武器を、実際にゲームアイテムとして実装できればとも考えています。オンラインゲームなので、漫画と連動してオリジナルキャラクターを登場させることも可能ですから。
―― ARでの連携はどうでしょうか?
山縣 ゲーム中で杖と宝玉を合体させると映像が出てくるシーンがあって、これを実際にできないかと考えたところから膨らんでいった企画です。画像認識がマーカーだったのが、今ではかなり自由度も増えてきました。キャラクターと紐づけたり、シリアルナンバーをARでしか表示できないなどの展開を現在は考慮しているところです。
杉浦 現状はKOKIAさんのCDジャケットと、今後はゲームパッドをパッケージで認識して表示されるようにする予定です。「ドラゴンネスト」の場合は、公式サイトでログインしてキャラクターデータと同期させて表示させる方法をとっています。今までのようにマーカーに1つの絵が対応しているのではなく、サーバのデータをアップデートするだけで内容を変えることができるわけです。そのため、今後は同じ絵でも時間によって「メンテナンス中です」などのメッセージを表示させたり、「イベントは何サーバです」などのアナウンスにも使えるかと思います。今後は実際にARに触れてもらって、その反応を見ていろんな施策を打てればと期待しているサービスです。
―― クローズドβテスト、エクストラクローズドβテストでのユーザー傾向などはありましたか?
杉浦 コアな方が多く集まってくれていたので、プレイスタイルはソロで難易度の高いダンジョンに行く傾向が予想されていたのですが、そのとおりになりました。オープンβテストでも同じようにパーティーを組まないといった行動を取ると推測されるので、パーティーを組んだ方が効率的にレベルアップできると運営側からアナウンスしていきたいです。
山縣 クローズドβテストということもあり、まずはお試しでこのコンテンツがどういうものなのか吟味する時間だったのと、ストーリーを見るのも1人のほうが気軽ととらえていた方が多かったのではないでしょうか。データも消去されますし。オープンβテストでは正式サービス後にもデータの引き継ぎは行われるので、行動も変わってくるのではないでしょうか。
杉浦 クローズドβテストの結果のひとつとしてお客様が離脱してしまうポイントがいくつかのレベル帯に存在していて、オープンβテストでは経験値テーブルが変更したり対処しています。今後は大きな離脱ポイントに関してはここからパーティー推奨といったメッセージを提示していけたらと考えています。初期の離脱ポイントに関しては、すぐにレベルが上がってしまうこともあり、パーティーを組んだところですぐに解散する可能性もありますから。そこはシステム面からの改善を図りたいです。
―― 今後、ユーザーに注目してもらいたいところは?
杉浦 オープンβテストからは転職が実装されています。アクション性もありますし、自分がどういう職業に就きたいかを念頭に置いて遊んでもらいたいです。でも、このタイトルに関しては常に自信を持って提供できると思っているので、何かを楽しんでくれと言及するのは違うかなという思いはあります。
山縣 韓国ですでに実装されているので、先駆けて情報を収集されている方もいると思います。韓国で一番人気はプリーストだったりするんです。クローズドβテストでは一番人気がなかったわけですが、けっこう防御系にも回復系にも転用できて、“使える職業”と向こうでは判断されています。転職後に関してはやはりプリーストが強いという認識を持っているので、今後は人気が上がると予想されます。調整については、アップデートなどで強い職業を弱体化させるのではなく、各職業のウィークポイントを強化する方向でのバランス調整を施していきます。ただ、4キャラクターのスロットもありますし、それぞれストーリーも異なることから、オープンβテストではすべてのキャラクターを等しく育てて遊んでもらって、違った視点で楽しんでもらえればと思っています。
―― トピックとしては3D対応も話題になりましたが。
杉浦 元々開発の段階で、3Dでうまく見えるようにしており想定内の開発で済みました。アクションということもあり、背景の細かい草などの表現も精巧で、3Dではさらに迫力を出せるようにしています。遊び方に関しては変化はありませんが、最新の技術に対応しているところを見せたかったんです。3Dの対応では、発表会でも触れていますが、3Dボイスチャットも実装される予定です。日本では8月〜9月頃になる予定です。
―― SNSについては?
山縣 オープンβテストではゲーム内のデータをWeb上にはきだして、そこからコミュニケーションをとってもらっています。「ひとこと」がつぶやけたり、日本側の企画として導入している「ミッション」(クリア条件を満たすと獲得できる実績)も組み込んでいます。ゲーム内のギルドはもちろん、友人や検索したお客様など、管理上表示可能にしているパラメータやミッションの解放状態といった個人データを参照することができます。ただし、ログイン状況は見れないので、そこはつぶやきなどを利用してもらいたいですね。
杉浦 ゲームデータはプライバシーにも触れる部分でもあるので、お客様に公開、非公開を委ねています。
山縣 また、セキュリティーの強化も課題だったので、OBTではキャラクターPASSを導入しています。これは、ゲームを起動する前にハンゲームIDとハンゲームPASSを入れてログインして起動するのですが、サーバにログインする際にキャラクターを守るためのPASSを入力してもらうようになっています。キャラクター選択画面で英数字4ケタを入力するのですが、これは昨今のID盗用などの問題に対応する施策だと思ってください。「ドラゴンネスト」ではIDを盗用されてもキャラクターを守るという強い意志の表れです。いつもテンキーと同じ配列ではないので、例え盗み見られても数字の配置が毎回変わりますので安心です。それだけだと、お客様の中には煩わしいだけと思われる方もいると思うので、キャラクターPASSを利用する方がステージクリアする際、常に経験値の5%をボーナスさせていただきます。レベルアップも早くなりますので利用してほしいです。
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