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成るか怒涛のオーバーテイク! 「エキゾースト・ヒート」ゲイムマンの「レトロゲームが大好きだ」(1/2 ページ)

連載第90回は「エキゾースト・ヒート」。といっても声優の子安武人さんが作った「Backlash 恋のエキゾースト・ヒート」ではなくて、セタがスーパーファミコン用にリリースしたレースゲームの方です。

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前世紀GPX 普通のフォーミュラ

先日F1日本グランプリが行われた鈴鹿にて。5年前にも来たことがあるが、スタンドはまったく新しくなっていた

 「エキゾースト・ヒート」(セタ)は、1992年に発売された、スーパーファミコン用レースゲームだ。

 スーパーファミコンではローンチタイトル(ゲーム機と同時発売されたソフト)として、レースゲーム「F-ZERO」(任天堂)が登場している。この連載でも過去に取り上げているが、ハードウェアの持つ、画面の拡大・縮小・回転機能をうまく使ったゲームだった。500年以上先の未来で、時速500キロを超えるマシンで争う、架空のレースが行なわれているという設定。

 一方、1990年代前半といえば、F1ブームの真っただ中。この連載でも過去に取り上げた、「ファミリーサーキット」(ナムコ)や、「スーパーモナコGP」(セガ)をはじめ、F1をモチーフにしたレースゲームが、数多く発売されている。

 F1ブームの頃は多くの人が、チームによってマシンの速さがかなり違うことや、下位のチームで目立つ成績を上げたドライバーが、上位のチームに移籍することを知っていた。RPGのレベルアップに似た要素だったこともあり、レースゲームにもチームの移籍ができるものが多かった。


レーススタート直後の画面。8台のマシンが全16戦で速さを競う

 「エキゾースト・ヒート」は、「F-ZERO」と同じ3D視点のレースゲームだが、多くのF1レースゲームと同じように、遅いマシンでのスタートから、ゲームを進める間に、少しずつ速いマシンに乗れるようになる。ただし、移籍によるステップアップではない。レースの賞金で、いいパーツを買いそろえていくのだ。

おねだん以上、ニトロ

 買えるパーツの種類は多い。シャシー、ミッション、ブレーキ、サスペンション、ディフューザー、フロントウイング、リアウイング、タイヤ、エンジン。あと、一時的にスピードを上げるニトロもある。

 パーツ購入画面では、マシンが大きく表示され、パーツを変えるとそのマシンに新しいパーツがセットされる。奥にあるパーツがセットされる場合は、その手前のパーツがいったん外される。例えばミッションを買ったときは、リアウイング、サス、タイヤ、ブレーキ、ディフューザーが外されていき、ミッションが交換された後、それらのパーツがすべて元に戻されるのだ。普通だったらその時間がわずらわしく感じられるものだが、パーツのつけ外しが小気味よく行なわれるので、むしろ一連の動きを見ているのが何だか気持ちいい。

 レースで得られる賞金は、もちろん順位によって変わる。だから高いパーツを早く買うために、1つでも上の順位を目指そうというモチベーションがわく。パーツの種類が多いだけに、どれを買うか考えるのも楽しい。また、初期状態のマシンでも頑張れば表彰台には立てるので、レース後すぐにパーツを買うか、それともお金を貯めて、次のレース後にもうワンランク上のパーツを買うか、これも頭を悩ませる要素。

 予選終了後、決勝の前に参加料として1000ドルが徴収される。所持金がそれ以下の場合でもマイナスにはならないので、1000ドルを切ったら何か買えるものを買っておいた方がいい。わたしは消耗品のタイヤやニトロで調整した。

 あと、コースの壁や敵車にぶつかるとマシンにダメージを受けるが、その修理費用がレース後、賞金からマイナスされる。あまり大きな額ではないとはいえ、慎重な走りを心掛けたくなる。

この画面でパーツを購入する。値段もさることながら、コースに合ったものを選ぶことも重要
すべてのパーツを最高ランクの物にした状態。隣の写真と比べてみよう。マシン自体にも細かな変化がある
レース後、獲得賞金と修理代が表示される。画面いっぱいに札束が飛んでいる

ブレーキの壊れたレースカー

 レースは全16戦。この時代までのレースゲームは、現在主流のリアルなものとは異なり、コーナーのほとんどをアクセル全開で回ることができた。「エキゾースト・ヒート」も、ヘアピンカーブや一部のシケインを除けば、フルスロットル、もしくはちょっとアクセルをゆるめる程度で楽に回れる。ましてやブレーキを使う場面など皆無に近い。

 わたしはここ数年、まったくレースゲームをやっていないのだが、こういうゲームバランスに慣れてしまっているので、リアルな挙動のマシンがコントロールできないのだ。実際の車であれば横Gがかかるから、「これ以上のスピードで進入したらやばい」というリミットが感覚でわかるはずなのだが、ゲームではそれもないし。

 「エキゾースト・ヒート」では、プレイヤーがゲームに慣れやすいようにという配慮からか、きついコーナーのないイタリアのコースからスタートし、同じく高速コースのイギリス、ドイツと転戦。アクセルベタ踏みではコーナーを回れないアメリカやモナコは終盤で、最終戦は日本だ。

 でも実は、きついコーナーではほかのマシンがより速度を落とすから、テクニカルなコースの方が順位を上げやすい。わたしはハンガリーがいちばん走りやすかった。

これくらいのコーナーだったらフルスロットルで回れる
敵車はコーナーで律儀にスピードを落とすので、そこで追い抜くことができる
雨の日はレインタイヤが必須。セッティングに入る前に天気が表示されるが、小さくて気づきにくいのが難点

 ランオフエリアが広いことも、ぬるいゲーマーにはありがたい。多少コースを外れてもいいので、のびのび走れる。サーキットによっては、この広いランオフエリアを使ったショートカットが可能。特にフランスとオーストラリアで有効だ。

 本戦(3周)の前に予選が2周あるのだが、予選の順位はあまりレースに影響しない。マシンは8台しか出ないから、最悪でも8番グリッド。決勝で挽回できる。むしろスタート直後は敵車に抜かれることが多く、予選で上位に入るメリットも薄い。予選は必ず2周走る必要があるが、1周でやめられるようにしても良かったかもしれない。

フランスではいちばん鋭角なコーナーで、大胆なショートカットが可能
モナコやアメリカといったストリートコースでは、ランオフエリアが狭くなる。壁にぶつかると大幅なタイムロス
敵車にハードヒットするとさすがにスピンする。復帰する際、逆走しないよう注意が必要

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