E3 2011に行ってきた(前編)――復習してみるマイクロソフト:くねくねハニィの「最近どうよ?」(その41)(2/3 ページ)
6月第2週に米国ロサンゼルスLAコンベンションセンターで行われた世界最大のゲームビジネスショー「E3 2011」に行ってきた! 新ハードとそれに伴うタイトルの発表ラッシュを総括してみますのでよろしこ。
今年のE3はどうだった?
今年もE3は盛況、参加者は4万6800人との発表がありました。昨年の4万5600人からは微増。ユーザーをターゲットにした東京ゲームショウやドイツで行われるGamesComとは明らかに違うのは、E3がビジネスショーだから。業界関係者のためのショーなんですね。
そういった意味では参加人数は世界最大じゃない。だって業界関係者しか入れないから。それに、どんな手を使っても17歳以下は入れないという催しで、さらに3日間のパスで500ドル(約4万円)もするしね〜(それでもGDCよりは相当安い……)。ただ、敷地の広さ、発表ネタの多さを考えると、やっぱり世界最大のゲームイベントと言えますね。とにかく、業界関係者だけで5万人近くが世界中からロサンゼルスに集中した3日間だったのだ。
では、ビジネスショーってどういうこと? 改めて説明すると、メーカー(パブリッシャー)がこれから発売するタイトルをお披露目&アピールする場ってことですよ。メディア、マスコミに対してはもちろん、小売に対しても、年末またはそれ以降の新規タイトルをこれでもかとばかり見せるってのが目的。東京ゲームショウで言うとビジネスデーだけなんですね。
ここで年末タイトルの小売からの受注の方向性や、メディアのタイトルの評価がある程度下るわけですから、パブリッシャーがそれぞれ本気を出して展示したり、ミーティングしたりするわけです。
だから、大きなスクリーンでトレーラーを流してたり、試遊台が置いてあるだけじゃなくて、ブースの中にミーティングルームがたくさん配置されているんです。ブースでは見せない様なものも一部小売やメディアにコッソリ見せてくれたりする。こういうのを「クローズドア」で見せるなんて言い方をします。これは、ドアを閉めて見せるってことで、「フツーの人には見せないけどね、あんただけ特別だよ」っていう心をくすぐる見せ方とも言えますよね。
なんと約200タイトルものソフトが発表されたという今年のE3は、6月7日(火)〜9日(木)に例年通り米国ロサンゼルスのLAコンベンションセンターで行われました。前述の通り、天気が悪くて寒かった。3日間と言いましたけど、Expo自体は初日が午後からなんで2.5日と言うべきかな。
でもね、前日(6日)の午前中にMicrosoft、午後にSCEAのプレスカンファレンスがあって、業界関係者は現地に日曜から入ってるってケースも多かったようですね。7日の午前中は任天堂のプレスカンファレンスがあったので、結局4日間大忙し。しかも、Expo会場で行われることはなく、近隣(とはいえ歩いては行けない)のイベント会場で行われるため、民族大移動がみられます、はい。
世界最大のゲームビジネスショーだから、みんなこぞって「サプライズ」を貯めて発表する唯一の場とも言えます。だって年末商戦を考えると、8月のヨーロッパGamesComや9月の東京ゲームショウでは遅すぎるし、世界最大の市場として君臨する北米マーケットでの大きなショーだから、皆さん力を入れるのは至極当然のこと。
だからプラットフォーマーだけじゃなくて、各ソフトメーカーさんもブースで展示のほかに近隣のホテルやイベント会場を借りて大きなプレスイベントをしてますの。メーカーさんによっては夜にパーティをしたりして、まぁ、業界の大きなお祭りですよね。
Expoホールはどんなんだった?
毎年脚が痛くなるけど、今年もWestホールとSouthホールの間を行ったり来たりしましたよ。ホールをつなぐ通路は2つあって、コンコース(いわゆる建物の中を通って渡る廊下)と、外の橋を渡って向かう通路があるんだけど、まぁ、急いで歩いても4、5分かかるかな。すんなり行ければいいんですけど、ここで必ず複数の知り合いに会うという特典があるため、余裕を持って移動しないと必ずミーティングに遅れてしまう……。
当日は展示ブースがごった返しているとまではいかなかったけど、盛況と言える人出でした。ハニィはミーティングの合間を使って表面的にしか見れなかったんだけど、元気ありますね、北米は。ココで北米市場の5月の速報が入って、2006年10月ぶりの市場規模に転落ってニュースが対照的でズッコケましたけど。
任天堂ブースではショー開幕直前に発表された「Wii U」に触れようとものすごい行列が! 4時間待ちって、殺生ですな。行列が、大きな任天堂のブースをぐるりと回ってました。Wii Uの行列は、ショー自体の終了時間のだいぶ前に「本日終了」が掲げられて、並ぶのも止められてた状態。ハニィは時間がなくて並ぶことさえもできませんでした……。
SCEAのブースでは、NGPもとい「PlayStation Vita」にも注目が集まってましたね。北米では初めてのお披露目になるので話題性も上々。日本からはカプコンの「Street Fighter X Tekken」がフィーチャーされていたけど、欧米では大人気の「Uncharted」フランチャイズがVita向けに! との発表もあったので盛り上がってましたよ。
Microsoftは余裕(?)のKinect展示に終始してたと言えますな。新ハードの発表などはなかったものの、こちらも盛況でした。昨年のE3でも話題になった「Kinect Star Wars」は試遊ができる状態になっていたけど、ホント「スターウォーズ」って名前のタイトルは無条件にユーザーを刺激するみたいですわ。
EA、UbiSoft、THQなども大きなブースを構えていたけど、なにげに今年からActivisionがE3に復帰していたのも特筆もの。昨年までESAに対してボイコットをしていた同社ですけど、やはりココまで盛り上がると無視もできないんでしょうね〜。
新プラットフォーム(Wii UとPlayStation Vita)は、プラットフォーマーのところでの展示がメインだったので、各メーカーさんは既存プラットフォームへの大型タイトルの展示に必死になってました。うん、やっぱり欧米メーカーさんは既存プラットフォームに対しては開発に慣れてきましたね。秀逸のタイトルが伺えますね。
ソフトメーカー各ブースの目玉タイトルを紹介だけしておきますね!
EA
「Battlefield 3」(PC / PS3 / Xbox 360)のプレイアブルが大盛況で長蛇の列ができていました。Microsoftカンファレンスでも紹介された「Mass Effect 3」(PC / PS3 / Xbox 360)の特設エリアにも毎日長い間皆さん並んでいました。
Activision
ブースは大きく、タイムスケジュールに合わせてイベントも行われてたみたいだけど、シアターのみでプレイヤブルはなし。「Call of Duty: Modern Warfare 3」(PC / PS3 / Xbox 360)も公開済みムービーが流れるだけと何とも簡素なもの。クローズドアの奥では、プレイシーンも見られたとか。「Prototype 2」(PC / PS3 / Xbox 360)や「Call of Duty:Elite」サービスのトレイラーが流れてましたよ。
UBI
- 「Brothers in Arms: Furious 4」(PC / PS3 / Xbox 360)
- 「Far Cry 3」(PC / PS3 / Xbox 360)
- 「Driver: San Francisco」(PC / PS3 / Xbox 360)
- 「Assassin's Creed: Revelations」(PC / PS3 / Xbox 360)
- 「Ghost Recon: Future Soldier」(PC / PS3 / Xbox 360)
- 「The Adventure of Tintin: The Game」(PC / PS3 / Wii)
- 「Ghost Recon Online」(PC / WiiU)
この他にも、もちろん大ヒット続編「Just Dance 3」(Wii)、「Your Shape: Fitness Evolved 2012」(Xbox 360)なども並んでたりなど、タイトルを集約している他社ブースに対して、ハードコアユーザーから家庭的なものまでバラエティに富んだ展示をしていたのが印象的だったよ。
THQ
- 「Warhammer 40,000: Space Marine」(PC / PS3 / Xbox 360)
- 「Saints Row: The Third」(PC / PS3 / Xbox 360)
- 「Metro 2033」(PC / Xbox 360)
- 「Metro: Last Light」(PC)
日本のヴァルハラゲームスタジオが開発中の「Devil's Third」(PS3 / Xbox 360)のトレイラーはハニィもびっくりのレーザーラモンHGが出演。日本の開発はココまで振り切った方がいいのかも、と考えさせられた。詳しくは動画で確認してください。
Take 2
- 「BioShock Infinite」(PC / PS3 / Xbox 360)
- 「Duke Nukem Forever」(PC / PS3 / Xbox 360)
- 「The Darkness 2」(PC / PS3 / Xbox 360)
カプコン
「Resident Evil: Operation Raccoon City」(PC / PS3 / Xbox 360)、「Dragon's Dogma」(PS3 / Xbox 360)の2本を大きく展示してました。
Warner Bros
「Batman: Arkham City(仮題)」(PC / PS3 / Xbox 360)の試遊コーナー&専用シアターが用意されていたんですが、結構な行列。バットマンの本国アメリカでの人気は不動でありました〜。
スクウェア・エニックス
もう、すっかりEidosな感じ。「Deus Ex: Human Revolution」(PC / PS3 / Xbox 360)「Hitman Absolution」(PC / PS3 / Xbox 360)、「Dead Island」(PC / PS3 / Xbox 360)がブースの半分近くを占めてましたね。「Wakfu」(PC)なるフランス産のMMORPGを出展してました。
国産で目立ってたのは「FINAL FANTASY XIII-2」(PS3 / Xbox 360)のみなんですが、人出はそれほどじゃなかったかなぁ。ブース前に並ぶドラゴンクエストやファイナルファンタジーのフィギュアも印象的でしたね。
セガ
- 「Aliens: Colonial Marines」(PC / PS3 / Xbox 360)
- 「Binary Domain」(PS3 / Xbox 360)
- 「MAX ANARCHY」(PS3 / Xbox 360)
- 「Rise of Nightmares」(Xbox 360)
- 「Sonic Generation」(PS3 / Xbox 360/ 3DS)
バンダイナムコゲームスブース
「Inversion」(PS3 / Xbox 360)の別ブースを構えてましたが、本体ブースにはD3パブリッシャーも入ってました! 「Ace Combat: Assault Horizon」(PS3 / Xbox 360)のプレイヤブルが目立ってましたが、日本発オリジナルタイトル(フランチャイズやIPものではないもの)で昨年一番販売本数を稼いだ「Demon's Soul」の続編と言われる「Dark Souls」(PS3 / Xbox 360)の試遊スペースには、常に行列が絶えませんでしたよ。
コナミ
- 「SILENT HILL Downpour」(PS3 / Xbox 360)
- 「NeverDead」(PS3 / Xbox 360)
バラバラになっても死なない主人公がインパクトのある「NeverDead」は新規IPの意欲作。「Metal Gear Solid: Snake Eater 3D」(3DS)、「Metal Gear Solid: Peace Walker HD Edition」(PS3 / Xbox 360)の2本の注目も高かったですね。
Bethesda
- 「The Elder Scrolls V: Skyrim」(PC / PlayStation 3 / Xbox 360)
- 「Prey 2」(PC / PlayStation 3 / Xbox 360)
- 「Rage」(PC / PlayStation 3 / Xbox 360)
日本メーカーでは、Namco Bandai(アメリカではバンダイナムコではない)がブースを構えながらも「Inversion」のブースを別に持つという面白い試みをしていましたよ。最近、日本のメーカーが海外のデベロッパーからアクイジション(Aquisition)する、または海外のデベロッパーに作ってもらうってケースがよく見られるんだけど、この「Inversion」もそのケース。これは別に記事を書こうと思っていますが、E3でも展示されてたカプコンの「Resident Evil: Operation Raccoon City(日本名:バイオハザード:オペレーション ラクーンシティ)」も海外製。日本のメーカーが海外デベロッパーとタッグを組むインターナショナルになって参りましたね。
ざっとしか見ていないハニィが語るのはなんですが、「集約」の方向ですね。雑多なタイトルをいろいろアピールするのではなく、大きなタイトルや話題性の高いタイトルを猛烈にアピールして収益確保をする。開発費が高騰してリクープをマストと考えると、効率的で当然な方向性ではあるんですがね……。
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