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第12回:「隠れキャラ」に隠された、プレイヤーをゲームのとりこにするヒミツなぜ、人はゲームにハマルのか?(3/3 ページ)

「なぜ、人はゲームにハマルのか?」をまじめに考察する不定期企画の12回目は、隠れキャラの魅力について。

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 極めつけは、デービーソフトが1985年に発売したファミコン用シューティングゲーム(※)の「頭脳戦艦ガル」に登場する「隠れキャラ」のバルバール。本作は、各ステージごとに1個だけ出現するパーツを合計100個集めて最終ステージに進むとボスのドラッグと戦えるというルールになっています。

 問題の「隠れキャラ」は、宇宙ステージの最終面(30面)の最終地点到達時にスコアの千点の位が奇数だったときに出現する青緑色をしたチョウ(セミ?)のような物体です。これにショットを1発撃つと1万点のボーナスが入り、以下2発目を当てると2万点、3発目で3万点……とどんどん高得点が稼げるのですが、実は合計5発撃ち込んでしまうと、それまでに集めたパーツをすべて没収されてしまうというトンデモないワナが仕組まれているのです。

 ムービーをご覧になる際は、スタート時とバルバール撃破後のパーツ表示の違いをよ〜く確認してみてください。筆者も最初にこれを知ったときには、ショックのあまりただ呆然とするばかりでした(もうホントに酷いヤツです!)。

※筆者注:本作はメーカーが「スクロール・ロールプレイングゲーム」というジャンル名で発売したのですが、ここでは便宜上シューティングゲームと表記しました。

(C)1985 db-SOFT

 このようなトラップの効果を持つ「隠れキャラ」は、筆者の知る限り上記以外の作品ではほとんど見かけた記憶がありません。せっかく発見してもペナルティを受けてしまうのではあまりにも意地悪過ぎるので、プレイヤーに少なからず不快感を与えることからこのようなアイデアを採用する作品は自然と消えていったものと思われます。

 もしも今、このようなワナを仕込んだ「隠れキャラ」を用意したゲームが新作として登場したならば、おそらくインターネットのニュースサイトや掲示板、あるいはカスタマーレビューなどを通じて多くの人に酷評されて大炎上してしまうのではないでしょうか? このような思い切った試みはビデオゲームの歴史がまだ浅く、なおかつ今ほどメディアが発達していなかった当時だからこそ許されたのかもしれませんね……。

 と、いうことで懐かしの「隠れキャラ」にフォーカスした今回の当コラムですが、みなさんお楽しみいただけましたでしょうか? もしよろしければ、ご意見・ご感想などお聞かせいただければ幸いです。

 次回もまた、今回紹介しきれなかった「隠れキャラ」に関するさまざまなヒミツについて詳しく迫っていく予定です。どうぞお楽しみに!

今回登場したソフトはココで遊べます!

  • 「ゼビウス」:Wiiバーチャルコンソール、PS「ナムコミュージアムVol.2」ほか
  • 「スターフォース」(※アーケード版):Wiiバーチャルコンソール
  • 「ロードランナー」:Wiiバーチャルコンソール
  • 「ソンソン」:Wiiバーチャルコンソール、PS2「カプコン クラシックス コレクション」
  • 「レッキングクルー」:Wiiバーチャルコンソール
  • 「チャレンジャー」:Wiiバーチャルコンソール
  • 「スーパーマリオブラザーズ」:Wiiバーチャルコンソール
  • 「ソロモンの鍵」:Wiiバーチャルコンソール
  • 「魔界村」:Wiiバーチャルコンソール

著者プロフィール

鴫原 盛之 Morihiro Shigihara

 1993年よりゲーム雑誌および攻略本などでライター活動を開始。その後、某メーカーでのグッズ・店舗開発や携帯コンテンツの営業、ゲームセンター店長などの職を経て、2004年よりフリーに。現在は各種雑誌やwebサイトでの執筆をはじめ、某アーケードゲームの開発なども手掛ける。著書は「ファミダス ファミコン裏技編」(マイクロマガジン社)、「ゲーム職人第1集 だから日本のゲームは面白い」(同)の他、共著によるゲーム攻略本・関連書籍を多数執筆。近刊は共著「デジタルゲームの教科書 知っておくべきゲーム業界最新トレンド」(ソフトバンククリエイティブ)がある。

 Twitterは「@m_shigihara」です。

著者近況

 現在、筆者は某所で「ゲームメディアについてあれこれ考えてみよう企画(仮題)」の公開イベントを実施すべく準備に奔走しております。近々正式なアナウンスができるかと思いますので、いま少しお待ち下さいませ!

 今回取り上げた「隠れキャラ」ですが、目の前の敵やボスをどうやって倒そうかと考えているときに、突然何の前触れもなく現われてビックリしたり感動した経験は、1980年代からゲームに興じていたみなさんにとってはもはや共通体験といっても過言ではないでしょう。ちなみに小生は小学生時代、「ゼビウス」初プレイ時に偶然ながらもスペシャルフラッグを出したのは今でもプチ自慢です(本当!)。なお、今回紹介し切れなかったその他の隠れキャラについては、拙著「ファミダス ファミコン裏技編」または「ファミダスライト ファミコン裏技編」でもご紹介しておりますので、もしご興味がありましたらぜひご一読下さい。


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