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ガーミン、ForeAthlete610でランニング! 心拍数、健康維持に適切な運動についてスポーツ生理学の専門家に聞く散歩するガジェット(1/3 ページ)

腕時計タイプのGPS内蔵ランニングコンピュータ、ガーミン、ForeAthlete610とオプションのハートレートセンサーを使って健康維持のための運動にトライ! 運動と心拍数の関係や、健康維持のための適切な運動とは。

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腕時計タイプでタッチパネル対応

 電動アシスト自転車ビビ・チャージWで走行した際には、ガーミンのGPS内蔵サイクルコンピューターEdge800Jを試用しましたが、今回は腕時計タイプのGPS内蔵ランニングコンピュータの最上位モデル、ガーミン ForeAthlete610とオプションのハートレート(心拍)センサーを使って健康維持のための運動にトライします。筆者は、取材と近所の買い物に行く以外はほぼ座りっぱなしで、原稿を書いているかネットで情報収集しているか、商売半分趣味半分でゲームをしているかなので、かなり運動不足で生活改善したいと思っています。年末年始、ビビ・チャージWで走り回っていたときは、慢性的な肩こりも軽くなっていたということもありますし、ランニングの効果にも期待してしまいます。

 ということで、ForeAthlete610なのですが、ランナー向けのモデルということもあり、小型軽量、ちょっと大きい腕時計といった製品になっております。ForeAthlete610本体とオプションのハートレートセンサー(プレミアムHRセンサー&ストラップ)を使用して、とりあえず自分の心拍数を計測してみました。ハートレートセンサーは、Edge800Jで使用したものと共通の胸部に固定する無線のものです。一番最初に使う際にはForeAthlete610とハートレートセンサーをペアリングするなどの設定が必要ですが、一度設定してしまえば次からはForeAthlete610の電源を入れると心拍数が表示されるようになります。

 筆者の場合、まず安静時が78から80、徒歩で87から84、早歩きで91から96、ゆっくり走って107から114、普通に走って146から150、かなりがんばって走って158から164ぐらいでした。でも、これっていったいどういった意味を持つのでしょうか? 実はEdge800Jを試用したときも、心拍数を計測してみたものの、それがどういう意味を持つかまで踏み込むことができなかったという反省がありました。そこで、今回はちゃんとした情報を読者諸兄姉にお伝えしたいということで、スポーツ生理学の専門家に基本的なことから実践的なことまでうかがってまいりました。

画像 ガーミンの腕時計タイプの最上位モデルGPS内蔵ランニングコンピュータ、ForeAthlete610。日常生活防水なのでアウトドアウォッチ感覚で使用できる

画像 多くのGPS機器と同じように電池は内蔵式で、充電には同梱のチャージングケーブルを使用する。クレイドルに置く方式ではなく、本体背面にソケットを磁石で吸着させ通電するようになっているのでコンパクトだ

画像 同梱のUSB ANTスティックを使用すれば、パソコン(Windows、Macintosh対応)へデータを無線転送することができ、専用ソフト「Gamin Training Center」で閲覧が可能だ

画像 オプションのハートレートセンサー(標準小売価格9870円)を胸部に巻き付ければ、心拍数を確認しながらトレーニングできる。さらにトレーニング後にパソコンにデータを転送して、この時間の心拍数はどれぐらいだったのかなどと確認することも、日々のデータを管理し成果を比較することも可能だ

画像 男性用のアウトドアウォッチといったおもむきのForeAthlete610。筆者(男性)は腕が太いほうではないが、装着していて特に邪魔にはならなかった。マニュアル片手に初期設定をする際には手の甲の側でなく、女性が腕時計をするように、てのひら側に装着したほうがタッチパネルの細かな操作がしやすかった

スポーツ生理学の専門家にお話をうかがった

 今回、スポーツ生理学の専門家、帝京平成大学 現代ライフ学部 人間文化学科 トレーナー・スポーツ文化コース 准教授で医学博士の藤牧利昭先生にお話をうかがいました。運動と心拍数の関係など、スポーツ生理学では基礎的な部分なのでしょうが、筆者を含めてスポーツ生理学を学んだことのない者には、「なんとなくそうなんだろうなあと思っているけれども、実際、本当のところはどうなんだろう?」という部分が多々あります。そのあたりを、特別な知識を持たずとも分かるように専門用語をなるべく避けて、平易で分かりやすい解説をしていただきました。

 藤牧先生は常々、ちゃんと説明すれば誰にでも理解できるような部分まで省略してしまって、安易に答えだけ提示するようなメディアの紹介方法は、「スポーツ科学への不信感」を招きかねないという懸念を抱いておられたそうです。そこで記事では、読者諸兄姉に誤解がないようにきちんと説明したい、という趣旨をご説明して取材を快諾いただきました。

 それから、あくまでも健康を維持するために運動するうえで知っておくべき、基礎的な事柄をうかがったのであって、今回、取り上げている機器がどの程度有効であるかテストしていただいたのではない、というのはご注意いただきたい点です。

画像 スポーツ生理学の専門家、帝京平成大学 藤牧利昭准教授にお話をうかがった。先生は、ランニング学会の理事長も務めておられ、自身もアメリカ・コロラド州のボルダー・ボウルダー10キロレースに参加されるランナーだ。著書に「図解スポーツトレーニングの基礎理論」(西東社、横浜市スポーツ医科学センター編、共著)などがある

運動と心拍数の関係

―― まず、運動しているとき心拍数は上がるというのは分かるのですが、運動の種類によっても違うといいます。どのような違いがあるのでしょうか?

藤牧先生 心臓が全身に血液を送り出すとき、1分間に拍動する回数を心拍数(拍/分)といいます。楽な運動なら心拍数はあまり高くならず、活発な運動で高くなり、激しい運動ではさらに高くなります。歩くのでも、散歩より早歩き、早歩きよりも階段の上りで心拍数が高くなり、山道を荷物を背負って上ればさらに高くなります。ランニングがいちばん分かりやすいのですが、1キロメートルを7分で走ったとき心拍数が110の人が、1キロメートルを6分で走ると心拍数が130だったとすれば、1キロメートルを6分30秒で走るなら心拍数は120ぐらいになります。それが、1キロメートルを5分間で走ると150を超えます。

 サッカーやバスケットボール、テニスなどのスポーツでも同じで、攻防の激しい試合をすれば心拍数は高くなり、一般に運動している時の心拍数が高ければ、その運動がハードだということになります。ただし、心拍数が高くなるには、運動を開始してから少し時間がかかりますので、短時間で終わってしまう運動では、運動がきつくても、心拍数はさほど高くなりません。

 心拍数は運動強度(激しさ、きつさ)に依存し、時間には依存しません。少し走り慣れた人が、1キロメートルを7分のペースでジョギングを5分行ったときの心拍数が110だとしたら、そのまま、ジョギングを30分続けても、心拍数は110からほとんど上がりません。

―― 年齢でも、運動時の心拍数は変わってくるのでしょうか?

藤牧先生 心拍数には最高心拍数という上限があり、一般的に、年齢とともに最高心拍数は下がります。最高心拍数は、「220マイナス年齢」で推定できますので、40歳なら180とされます。しかし、個人差も大きく、標準偏差は10です。40歳のうち、約3分の2の人の最高心拍数は170から190の範囲ですが、170以下の人、190以上の人もそれぞれ6分の1程度います。この「220マイナス年齢」は良く出てきますが、1960年代ぐらいから国内外の数々の研究成果、統計に基づいて導き出されたスポーツ生理学では広く知られた数値です。

 こういった数値が出てくると、「それが絶対正しい」「常識だから」と思い込んでしまう人がいるのですが、あくまでこれは平均的に見てこうなったということです。グラフで表したときも、1本の線になるのではなくて幅のある帯になるんです。こういった数値には個人的な誤差がつきもので、ちゃんと誤差の幅が示されるんですね。そういった情報を正しく読み取ること、グラフでも縦軸と横軸の単位がなんなのかというのを誤解してしまうとまったく意味が違ってしまうので気をつけたい点ですね。

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