GT、FELT、2013年モデルに見る最新自転車トレンド
自転車好きにはお馴染みのGT、FELTの2013年最新モデルから、最新のトレンドと昨今の自転車を取り巻く事象にそれらがどのように関係しているのかを紹介します。
ピスト風だが、安全装備付のクロスバイク
まずは、GT Bicyclesのクロスバイクを紹介します。GTは、ゲーリー・ターナー氏がアメリカでBMXやマウンテンバイクのフレーム製造をしたところから始まっているメーカーということで、製造する自転車のフレーム強度には定評があります。それがもっとも分かりやすく見てとれるのが、トリプルトライアングルフレームといわれる独自のフレーム形状にあります。
通常、マウンテンバイクなどのフレームをサイドから見ると2つの三角形で構成されていますが、GTの場合はそれに加えてシートポスト付け根のあたりにも小さな三角形がもう1つあります。それらがトリプルトライアングルを形成し、フレーム強度を高めているのです。
そのGTが2013年モデルとして送り出すのが、豪州のカスタムオートバイショップDEUCEとのコラボレーションで生まれた、ピストを強く意識したクロスバイク「BALL」シリーズ。ピストというのは、アメリカのメッセンジャーがメンテンナンス性を上げ低コストで走るために、最小限……というよりも必要な装備をも削ってしまった自転車のことで、変速機はおろかブレーキも付いていません(ブレーキがなければブレーキシューやブレーキワイヤーの交換も必要ないという理屈)。子供の三輪車と同じで停止する際は、足を止めることでタイヤも止めるという仕組みです。何かが飛び出してきても急停止ができません。非常に危険なため、日本では公道を走ることを禁止されており、一時期ピストによる事故のニュースが多かったのを記憶している読者諸兄姉もいるのではないでしょうか。
ピストを愛する人がなぜ危険をかえりみず乗ってしまうのかですが、その極限まで切り詰めたシンプルなデザイン性、美しさによるものだということです。それならば、ピストのようなフォルムで安全装備を持つ自転車を作ってしまおう、ということで誕生したのが「BALL」シリーズです。
自動変速機を装備したクロスも
「BALL」シリーズには、自転車パーツメーカーSRAM(スラム)の最新型自動変速機、SRAM Automatixを装備しているものもあります。これは文字通り、スピードに合わせて自動的に変速してくれる内装変速機です。少なくとも筆者は、クロスバイクに自動変速機が装備されているのを始めて見ました。
MTBは29erがスタンダードに?
MTB、29er(ツーナイナー)は、今までMTBでは一般的だった26インチホイールのものよりも大きい29インチホイールのMTBの総称です。昨今のMTBの販売実績では29インチホイールのものが26インチホイールのものに迫る勢いだということで、新規購入する際に検討するユーザーが増えているそうです。
それではその29erの魅力とはなんでしょうか。タイヤが大きいので悪路での走破性が高いということと、走り出しこそ重いもののひとこぎで進む距離も長いので速度がのってくれば長距離走行にも有利。そのことから、26インチホイールのMTB、クロスバイク、どちらを買うか迷ったときの第3の選択肢にもなっているのです。
見た目はロードだが、悪路もOKなシクロクロス
FELT bicyclesは、ジム・フェルト氏がトライアスロン用自転車を設計したのが最初という自転車メーカーで、自転車レースのツールド・フランスを走るモデルも製作しています。そのFELTのシクロクロスがこちら。シクロクロスというのは、舗装路を走るロードバイクのような自転車を使って未舗装路を走る競技。そのため、ロードバイクよりも耐久力のあるフレームや太めのタイヤが使われています。ロードバイクでは走りにくい悪路にも入って行くことができるので、自転車レースの選手がオフシーズンの練習用に使うこともあるそうです。
アメリカンテイストのBMX
GTが創業当時から手がけていたBMXももちろんラインアップされています。こちらはアメリカンテイストあふれるBMXでアクティブな乗り方をしなくても、乗っているだけで楽しくなるようなデザインが魅力です。一口に自転車といっても、いろいろなシーンに合わせた種類があります。シティサイクル、いわゆるママチャリで十分だから……といわずに自転車販売店で実車を眺めてみるのもおもしろいのではないでしょうか。
MTBに装備可能なスリックタイヤ
タイヤというのは重要なパーツで、自動車でもオートバイでもタイヤを変えるだけで乗り心地ががらりと変わるものです。これは自転車にも当てはまり、MTBの未舗装用ブロックパターンタイヤを舗装路用のスリックタイヤに交換することで摩擦抵抗が減り、アスファルト上でスムーズな走行が実現したりします。最近のMTBは、最初からスリックタイヤやブロックパターンの少ないものを装備しているものもあり、舗装路での走行を考慮したものも増えています。しかし、ちょっと前のMTBではオフロード用のブロックパターンが深いタイヤのものがほとんどでした。もし、そんなMTBが乗らずに置きっぱなしになっているような場合には、スリックタイヤに換装して街乗り仕様で蘇らせてみるのも一興ではないでしょうか。
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