トッププロの三浦八段も参戦決定――コンピューターvsプロ将棋棋士「第2回電王戦」が3月より開催
東京・六本木のニコファーレで開催された記者発表には、三浦弘行八段をはじめとする参戦棋士5名と、コンピューター将棋開発者5チームが参加。先手・後手を決める「振り駒」も行われた。
日本将棋連盟とドワンゴは12月15日、2013年に開催されるコンピューター将棋とプロ将棋棋士で行われる棋戦「第2回電王戦」について記者発表を行い、開催スケジュールおよび出場プロ棋士を発表した。
第1局はプロ棋士が先手に
「電王戦」は、今年1月に第1回が開催され、その際は元トッププロ棋士の米長邦雄永世棋聖(日本将棋連盟会長)と2011年の「世界コンピュータ将棋選手権」優勝プログラムのボンクラーズが対局。ボンクラーズが勝利を収めている。この結果を受け、第1回の対局終了直後、第2回では現役プロ棋士5名と「世界コンピュータ将棋選手権」上位5プログラムが対戦することが発表されている。コンピューター側の代表を争う「世界コンピュータ将棋選手権」は5月に東京・電気通信大学で開催され、激戦の末GPS将棋・puella α・ツツカナ・Ponanza・習甦が代表と決定。受けて立つプロ棋士側がどのような代表を送り込んでくるのかが、将棋ファンの間では注目を集めていた。
六本木のイベントスペース「ニコファーレ」で開催された発表会見には、日本将棋連盟で本棋戦を担当する北島忠雄理事、棋戦を主催するドワンゴの川上量生社長が登場。新たにプロモーションビデオの上映後、参加するプロ棋士そしてコンピューター将棋プログラム開発チームが紹介された。続いて、川上社長による先手・後手を決める「振り駒」が行われ、第一局の先手番がプロ棋士側に決定。第2局以降はコンピューター側と交互に先手・後手を入れ替えて対局し、それぞれの対戦は以下の通りと決まった。ちなみに、現在のところ将棋では先手が若干有利とされており、先手番が3局あるプロ棋士側にとっては待望の振り駒となった。
対局日 | 対局者・ソフト(左側が先手) | |
第1局 | 2013年3月23日(土) | 阿部光瑠四段−習甦 |
第2局 | 2013年3月30日(土) | ponanza−佐藤慎一四段 |
第3局 | 2013年4月6日(土) | 船江恒平五段−ツツカナ |
第4局 | 2013年4月13日(土) | Puella α−塚田泰明九段 |
第5局 | 2013年4月20日(土) | 三浦弘行八段−GPS将棋 |
ここで、今回参加するプロ棋士がどのぐらいの強さなのかを、簡単に紹介しておく。プロの将棋棋士は、原則として上位から順にA級、B1級、B2級、C1級、C2級の5リーグに分かれ、1年をかけたリーグ戦「順位戦」を戦い、最上位のA級で1位の棋士が名人へ挑戦するシステムとなっている(一部、リーグ戦を戦わない「フリークラス棋士」も存在)。この所属リーグが棋士の現在の強さを表す「格」とされており、今回対局する5人の所属リーグは次のようになっている。
- C2級: 阿部光瑠四段・佐藤慎一四段
- C1級: 船江恒平五段・塚田泰明九段
- A級: 三浦弘行八段
阿部四段は、佐藤四段、船江五段はそれぞれプロ2年目、4年目、2年目の「期待の若手棋士」。塚田九段は「塚田スペシャル」という戦法で一世を風靡した元A級棋士で、「実力いまだ健在のベテラン」。そして、三浦八段はA級に12年連続在籍中で、2010年にはA級1位となり名人挑戦も果たしている「現役トッププロ」である。三浦八段は、今回の参戦を決めた理由について、次のように語っている「オファーがあった時点で、トップクラスを1人という話だったので、誰かがやらなくてはいけない。いずれコンピューターと戦うのであれば早いほうがいいだろう、ということで今回参加することにしました」。
また、質疑応答のなかで、今回の対戦ルールについても説明が行われた。なお、コンピューターの使用電力制限については東京将棋会館の設備上から来るもので、リモート接続されるマシンについての制限はない。
第2回電王戦 対局ルール
- 対局会場は東京将棋会館で午前10時開始
- 持時間は各4時間(切れたら1手1分)
- コンピューター側の使用電力は最大2800W(リモートマシンは制限なし)
- 千日手の場合、持ち時間が少ない段階で成立した場合には指し直しなしで無勝負
- 対局の結果に関わらず第5局まで実施
なお、各対局はニコニコ生放送で対局開始から終了まで生中継が行われる(中継サイトはニコニコ生放送内「電王戦特設サイト」からのリンクを参照のこと)。
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