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独断と偏見で選ぶ! 2012年、ゲーム業界今年の10大ニュース年末特別コラム(2/5 ページ)

極々私的にゲーム業界の1年の動きを振り返ってみました。

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3:日本マイクロソフトが「東京ゲームショウ」のブース出展を見合わせ

 9月20日(木)〜23(日)にかけて、毎年恒例の「東京ゲームショウ」が幕張メッセに行われました。不景気と言われて久しいこのご時世にありながら、4日間の合計入場者数は22万3753人と過去最高を更新したのは驚きですが、それ以上に筆者がびっくりしたのは毎年広い出展スペースを確保している常連中の常連、日本マイクロソフトが出展を見合わせたことでした。

 マイクロソフトといえば、言わずと知れたXbox 360の発売元。自社のハードおよびソフトのプロモーションのためにも、20万人以上の人が集まる場を利用しない手はないようにも思えるのですが、8月にドイツで行われた「gamescom 2012」でも出展を見送っていることから考えると、けっして日本でのビジネスにサジを投げたというわけではないでしょう。とはいえ、昨年のショウでは目玉商品であった「Kinect(キネクト)」を出展して来場者の人気を集め、新聞やテレビでも度々報道されていたのがまるでウソのようなお話です。

 ちなみに、「東京ゲームショウ」の来場者調査を見てみますと、Xbox 360を保有していると答えたのは全体の14.4パーセントで、トップのPSPの68.9パーセントとはかなり大きな差が開いています。また、最も多く使用するハードウェアがXbox 360と答えたのはわずか1.1パーセントで、購入希望のハードウェアだと答えたのは9.6パーセント(※2年前は23.4、昨年は10.3パーセント)という厳しいデータが出ています。この状況を払しょくするためにも、来年こそは堂々と(?)出展して来場者たちを楽しませるゲームの展示やイベントを実施し、ぜひとも日本市場で巻き返すぞという姿を見たいものです。筆者としては、特に海外製のゲームの面白さを来場者に伝える役割をこれからも担っていただきたいと願ってやみません。

画像 昨年の「東京ゲームショウ」より。Kinect効果で盛況だったブースがまさかなくなるとは……

4:アーケードゲーム市場大ピンチ!

 JAIA(日本アミューズメント産業協会)の「アミューズメント産業界の実態調査:報告書」によると、2011年度のアーケードゲーム市場の規模は6723億円。ピークだった2007年の8972億円以降は毎年右肩下がりで、当時から実に2000億円以上も縮小していることが明らかになりました。

 もっとも、2010年の市場規模は6690億円でしたから、前年比で見るとほぼ横ばいです。昨年はあの未曾有の大震災があったことを考えれば、2011年はまずまず健闘したようにも思えます。アミューズメント(アーケード)業界誌「アミューズメント・ジャーナル」の編集部にお尋ねしたところ、「今年は各オペレーター(※)とも不採算店舗の整理が落ち着いたこともあり、店舗売上の減少に関しては底を打った感がありますね」とのことでした。

 しかし、主なオペレーターが公表している今期の数字を見てみますと、既存店の売上高が前年割れを起こしているところがかなり目立ちます。つまり、大震災のあった年の前年比すら上回ることができない業界の現状は、まさに危機的な状況であると言っても過言ではないでしょう。

※筆者注 オぺーレーター:ゲームセンターを経営する業者のこと。

 市場規模が右肩下がりを続ける原因は、前述のオンラインおよびソーシャルゲーム市場に客を取られていることがまず考えられます。事実、筆者の友人で現役の某ゲームセンター店長も「携帯やソーシャルゲームに取られている実感はある。非常に厳しい」と証言してくれました。また、市場規模とともに店舗数も年々減り続けていることもあり、必然的に町でアーケードゲームに出会う機会も少なくなっています。基本プレイが無料のソーシャルゲームが当たり前に存在する昨今、お店に足を運んで100円玉を入れなければその面白さが分からないアーケードゲームは、昔とは比べものにならないほどハードルが高い娯楽になっているとも言えるのかもしれません。

 そして2014年4月からは消費税率が8パーセントに、2015年10月には10パーセントにアップすることが(残念ながら)決まりました。このまま旧来の内税方式で100円玉を徴収するコインオペレーション方式を続けていては、売上がどんどん目減りして経営をさらに圧迫するのが目に見えています。よって、1円単位でも価格設定が容易にできる電子マネーシステムの導入などの対策がそろそろ必要な気もします。しかし、「業界団体では、以前から電子マネーによる決済システムの導入の検討こそされていますが、本格的に実施されるのはまだまだ当分先でしょう」(アミューズメント・ジャーナル編集部)とのこと。近年ではシルバー世代の来店が増えたことを伝える新聞やテレビの報道を散見しますが、それでも業績回復の起爆剤とはまだまだなり得ていないのが現実なのです。

 とはいえ、「厳しいとは言いながらも、毎年約5000億円も売上のある娯楽産業はそうそうありません。そこは前向きにとらえてもいい部分です。」(同編集部)という力強いお言葉も聞かれました。時代に即したビジネスモデルを早急に確立して、今後も我々をワクワクさせてくれるアーケードゲームがたくさん遊べる環境を提供し続けていただきたいですね!

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