2012年、今年もあんなことやこんなことがいろいろあったゲーム業界。昨年に引き続き、筆者が独断と偏見でピックアップした今年のゲーム業界10大ニュースの解説を、笑い話や毒などもちょっぴり交えつつ楽しくお伝えしたいと思います。
仕事納めや忘年会の帰り道でのヒマつぶしや、大掃除の休憩時間をご利用のうえ、最後までどうぞごゆるりとお楽しみください!
1:RMT、コンプガチャが相次いで社会問題に
年々規模が拡大するオンラインおよびソーシャルゲーム市場。2011年度のオンラインゲーム市場は1405億円、ソーシャルゲーム市場は2794億円であったことが、7月23日に発表されたJOGA(日本オンラインゲーム協会)の調査で明らかになりました。文字どおり景気のいいお話ではありますが、それと同時に2012年はさまざまな問題点も浮き彫りになった年として長く記憶されることになるでしょう。
まず2月には、いわゆるRMT(リアルマネートレード)による問題が表面化しました。GREEのソーシャルゲーム「探検ドリランド」において、ゲーム内のカードを複製できるバグが発見され、希少価値の高いいわゆるレアカードがネットオークションに大量に出品されていることが明らかに。これを受けて、運営元のグリーは3月12日に利用環境向上委員会を設立し、同16日にはRMT関連行為の有人でのチェック体制を導入に踏み切りました。さらに3月30日には、規約で禁止されているRMT是正のため、専門業者に出品の停止と削除を書面要請の行いました。
4月23日には、ディー・エヌ・エーが運営する「Mobage」で18歳未満のユーザーには月額1万円、15歳以下は月額5000円までの上限を6月を目処に導入すると発表。同じくグリーも、未成年ユーザーは全決済サービスで利用金額を15歳以下は月額5000円、16〜19歳は月額1万円にすることを決定しました。
しかし、筆者は上記の課金制限は無意味であると考えます。なぜなら、18歳未満において1万円というのは明らかに“大金”であり、普通の子どもが1カ月に使える小遣い以上の金額に設定したところで何の役にも立たないからです。よって、社会人として働いている人は例外として、1カ月での上限を1000〜2000円程度にするなら妥当と考えますが、みなさんはどうお考えでしょうか?
さらに5月には、ソーシャルゲームにおけるコンプガチャが、景品表示法によって禁止された“カード合わせ”の懸賞方法にあたるのではないかとして、消費者庁が規制を検討していると報じられて大きな話題となりました。これにソーシャルゲーム運営各社は即座に反応し、同月末にはソーシャルゲーム6社連絡協議会、および各メーカーが自主的にこれを取りやめました。そして最終的には消費者庁が同法に抵触するとの判断が下り、7月からのその規制を明確化しました。
そして11月8日には、従来の「ソーシャルゲームの利用環境向上等に関する連絡協議会(6社連絡協議会)」「ソーシャルゲーム利用環境整備協議会(仮称)」を前身として、新たにJASGA(ジャスガ:一般社団法人ソーシャルゲーム協会)が発足しました。
- 参考:消費者庁のコンプガチャの見解(PDF形式)
- 「自浄」目指すソーシャルゲーム 新ガイドラインは「反省の証」か?
- JOGA、ガチャ運用のガイドライン発表 確率操作禁止、レアアイテムは5万円以内に
- バンナム、KONAMIもコンプガチャ中止。家庭用ゲームメーカーも続々と自粛へ
- 通称はJASGA(ジャスガ) 「一般社団法人ソーシャルゲーム協会」発足
- スクエニ「ブレイブリーデフォルトPB」で内部データ流出 「ガチャ操作」疑惑にプロデューサーが緊急コメント
それにしても、今年のソーシャルゲーム関連業界の動きを見ていると、かつて“不良の温床”として社会の目の敵にされたゲームセンターが、1985年の風営法の改正をきっかけにさまざまな営業規制を受けた当時の状況に酷似していると思うのは筆者だけでしょうか? 子どの無駄遣い、射幸心をあおるゲームの存在、行政側からの注意、そして慌しい業界団体の設立……本当にそっくりそのままです。これからも健全化への努力を続けなければ、もしかしたら歴史が繰り返すという事態になってしまうかもしれません。
当時の状況を知る、アーケードゲーム業界のある関係者に話を聞いたところ、「昔は業界内でまとまった団体がなく、行政との調整がうまくいかなかった。もしみんながまとまっていれば風営法の規制は防げたかもしれない」と証言しています。これからはJASGAなどが音頭を取り、各サイトの健全運営の徹底をぜひともお願いしたいところです。風営法による規制が入ると、日々の営業がいろいろとタイヘンになりますよ!!(※元ゲームセンター店長:筆者談)
2:任天堂が新ハード、Wii Uを発売
任天堂の新型ゲーム機、Wii Uが12月8日に発売されました。タッチパネルを搭載したタブレット型コントローラーを使用するというアイデアと、自社の看板シリーズである「New スーパーマリオブラザーズ U」をはじめ、「モンスターハンター3G HD Ver.」「FFIA13 ワールドクラスサッカー」などのローンチタイトルを用意してユーザーに訴求した結果、発売2週目でWii U本体は43万5千台が売れました(※メディアクリエイト調べ。以下同)。これは同期間での旧Wiiの販売台数(43万6千台)とほぼ同じであることが分かりました。
また、昨年発売されたニンテンドー3DSは、今年の2月に国内販売台数が累計で500万台を突破したと発表。同じく、7月28日から発売されたニンテンドー3DS LLは11月11日までの集計で早くも100万台を突破。ちなみに、3DSの500万台突破は、歴代ハードの中でも最も速い達成記録とのこと。任天堂は史上空前の円高も相まって、2012年3月期は432億円の最終赤字となりましたが、今年10月の発表によれば2013年3月期の連結最終損益は60億円の黒字になる見通しだそうです。
ただ、筆者が気になるのはWii U本体の販売方法。当分の間は予約販売が中心になるという報道があったとおり、現在でも予約販売のみという小売および量販店を見かけます。”予約だけ”と店頭で聞かされて購入意欲を失い、年末年始のまたとない書き入れ時に機会ロスが出なければいいのですが……。
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