ヨガから和太鼓まで、「Lespas」で気軽に運動を楽しめる秘密(1/2 ページ)
「Lespas」というサービスをご存じでしょうか。定額の月額会費を払うだけで、全国の1000以上のスタジオの500超のレッスンが自由に受講できる、アクティブに運動を楽しみたい人向けのサービスがあるのです。
ジョギングやウォーキング以外に、本格的にスタジオやジムなどで運動しようと思ったら、どこかのスポーツクラブなどに入会し、入会金や月会費を払って毎月同じ場所に通う、というのがこれまでの常識でした。ですが、今や毎月9800円(税別)の会費を払うだけで、全国に1000以上ある提携施設の予約が取れ、自分の行動範囲や興味に合わせて500以上のレッスンが選択できるサービスが存在します。それが、「Lespas(レスパス)」です。
Lespasは、いきなり入会するにはハードルが高いスタジオやクラスを気軽に体験できるほか、普段はなかなか経験する機会がないスポーツにも手軽に挑戦できるなど、“運動したい”ニーズに細かく応えてくれるのがポイントです。通勤・通学の途中で見かける気になるスタジオも、もしかしたらLespasで予約が取れるかもしれません。
そんな便利でユニークなサービスであるLespasを提供するのは、グリーの子会社のレッスンパスという会社です。このサービスが生まれた背景と利用者の実態、そして今後の展望を社長の出村太晋氏に聞きました。
新規事業コンテストから生まれたLespas
グリーというと、SNSやゲームの会社、というイメージが強いですが、一方で、さまざまな新規サービスを手がけており、「えっ、このサービスもグリーが?」と感じることもしばしばあります。レッスンパスのLespasもそんなグリーの新規事業の1つです。
出村氏によると、Lespasは「2014年の10月ごろに、グリー社内で開催した新規事業コンテストから生まれたサービスで、事業の検討を3カ月ほど行い、2014年末に事業化を決定」したそうです。会社は1月に立ち上げ、最初は6人くらいのメンバーで、六本木を中心に、都心の限られた地域で営業をかけ、事業性を探ったとのこと。
その後、4月6日に正式サービスを開始したのですが、「立ち上げてみたらその時点で都心だけで100店舗くらい加盟店が集まり、ユーザーの利用頻度も高くて、早々にグリー本体の注力事業に決定しました」(出村氏)と、順調な滑り出しとなりました。
グリーが立ち上げる新規事業は、どれもスモールスタートで、本来なら事業がある程度立ち上がってから最終的に注力するかどうかを判断するそうです。ですがLespasは、ユーザーが月額の料金を払うサブスクリプション型のビジネスモデルで、当時日本にはほかに類似のサービスが存在しなかったことと、米国でClassPassという類似サービスが急拡大していたことから、早期に本格的に取り組むことになったといいます。
素晴らしいレッスンを提供するスタジオが集客に利用
なぜここまで急速にサービスが立ち上がったのでしょうか。それは、スタジオやジムが抱える、「どんなにいいプログラムを用意しても集客には苦労する」という課題を、Lespasが解決できたからだと出村氏は指摘します。
前述のとおり、Lespasは入会金不要で、月額料金を払うだけで、さまざまなスタジオやジムのレッスンを自由に(同一サービスのレッスンは月3回まで)予約して受講できるという、ユーザーから見るとかなりお得なサービスです。レッスンを受ければ受けるほど単価は下がるので、ユーザーはより多くのサービスを利用しようとする、モチベーションが高い人が中心です。
レッスンを提供するスタジオからすると、そうしたモチベーションが高い人たちが集まる場所にレッスンの告知が出せて、予約が入ったときだけLespas向けの価格でレッスンを販売すればよいため、空きがある時間帯を有効に活用できます。
「Lespasの加盟店にはヨガスタジオなどが多いのですが、そうしたところはインストラクターさん個人が経営されていることも多く、集客手段もそんなに多く持っていらっしゃるわけではありません。いい設備やいいサービスがあっても、新しいユーザーにリーチする手段がないので、結局限られた数のユーザーで運営していくことになりがちです。例えばどこかに広告を出すにしても、その費用を捻出するのは大変ですし、効果が出るのかどうか分からないものにお金を出すリスクを負うことになります。
Lespasには加盟することによるリスクはほとんどありません。初期投資や固定費なしで、スタジオの空き時間枠を提供するだけで、新たなユーザーを獲得できる可能性があります。スタジオの収益改善にもつながるのではないでしょうか。」(出村氏)
Lespasに加盟すると、自力ではアプローチできない新しいユーザーに対して、スタジオに来てもらう機会が作れる。Lespasはスタジオにとってもメリットのあるサービスだったわけです。
ちなみにインタビューの時点で、すでに1000以上のスタジオがサイトで掲載されており2015年内には2000スタジオほどをカバーする計画です。また現在サービスは東名阪エリアに限られていますが、順次全国の主要都市にも展開していく予定です。
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