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男なのに美男子に惹かれてしまいました マンガ家あき先生が描く耽美な世界にどっぷりハマろう虚構新聞・社主UKのウソだと思って読んでみろ! 第8回

美男子を描かせたら横に並ぶ者なしと社主が太鼓判。あき先生は画力と作劇能力の両面においてただ者ではないぞ……!

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 ねとらぼ読者のみなさん、こんにちは。「科捜研の女」でまんまとネタにされた虚構新聞の社主UKです。今のところまだ殺人事件は起こしてません。

 まずはお詫びを。前回の連載で「次回はうんこをモグモグ食べるようなマンガを紹介しようかな」と書きましたが、その後本棚を探したところ、残念ながらうんこを食べる作品は知る人ぞ知るお下劣マンガ「電撃ドクターモアイくん」(岩村俊哉/全5巻)しか見つからなかったので、うんこモグモグマンガの紹介は取りやめとさせていただきます。うんこマンガを楽しみにしてくださった読者のみなさまにおきましては、そのご期待を裏切ることになり、誠に申し訳ありませんうんこ。


8年間も掲載していたが……

 ところで今ちょうど、三谷幸喜監督の映画「ステキな金縛り」を見ながらこの原稿を書いているのですが、この映画の深津絵里さんはたまらなくキュートですね。社主はいつの日か深津さんとお近づきになるべく、昨年まで8年間、本紙尋ね人欄に「深津絵里さん 連絡求む 社主UK」と掲載していたのですが、悲しいかな、今のところ深津さんからの連絡はありません。ついにはテレビ局方面からも攻めるべく、日本テレビの番組に出演したのですが、ディレクターさんから返ってきたのは「芸人さんはともかく、深津さんは難しいっすねー」という残念なお返事。もしねとらぼ読者の中に深津さん関係者がおられたら、ぜひ本紙までご連絡ください。

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 えー、これ以上紙面を私物化すると、またねとらぼ美人編集M女史に怒られそうなので、そろそろ本題に入ります。

面食いな社主があき先生をオススメするワケ

 さっきも書いたように、社主はいつか深津絵里さんとお友達になりたいのですが、以前ほかの好きな女優さんについて聞かれたときに「真木よう子さんも好きです」と何人か挙げていったところ、「UKさんはかなりの面食いなのではないですか」と言われたことがあります。社主自身その自覚はないのですが、ただマンガに関してだけは「面食いである」と断言しても構いません。絵の美しさだけがマンガの魅力ではないですが、社主のマンガ観において、絵の美しさは欠かすことのできない大事な要素の1つです。

 そんなわけで今回はとんでもなく絵が美しいマンガ家・あき先生の作品を特集で紹介します。まずは社主が最初に買ったマンガ「オリンポス」(全2巻/一迅社)の表紙絵をご覧ください。

太陽神アポロン(1巻、左)とトロイアの王子・ガニュメデス(2巻、右)

 これ、どうですか。華やかに装飾された衣装に身を包み、挑発的な目つきで見つめてくるアポロンに一瞬目を奪われてしまいそうになりませんか。少し不安げに遠くを見つめる王子ガニュメデスに惹かれませんか。

 いわゆる「ジャケ買い」で読みはじめた同作ですが、読み進めていくにつれ、「これはえらいマンガを引き当てた……」と、当時ゾクゾクしたことを今でもハッキリ覚えています。面食い社主としては「まあ絵がキレイだから、ストーリーの出来は多少目をつむってやるか」と上から目線で読み出したのですが、ページをめくっていくにつれ「何だこれは」と。「オリンポス」は、そんな油断した脳天をフランスパン(パン渡り30センチ)で殴打するような恐るべきマンガだったのです。

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ストーリー紹介

 大国トロイアで、幸せな日々を過ごしていた王子ガニュメデス。だが成人の日、さらわれて箱庭と呼ばれる不思議な空間に閉じ込められてしまう。時折訪れる、嘘を言えない神々……美しくとも2度と出られない場所……押しつけられた永遠の命……。ガニュメデスの試練の日々が始まった――。

 満天の星空と美しい花弁に覆われた地面を持つ「箱庭」という汚れなき無限空間に閉じ込められ、しかも永遠の命を与えられたために死ぬことさえも許されないという、人間にとっては死ぬより残酷な運命を背負わされたガニュメデスと、それをもてあそぶ太陽神アポロン。我々には図りしれない神の論理で生きるアポロンが、ガニュメデスやいけにえとして差し出された娘ら人間と関わっていくにつれ、人の心に目覚めていくハートフルなストーリー……と行けば、どれほどよかったことか

 多少ネタバレ感はありますが、全2巻を通してアポロンが人間性に目覚めて改心することはなく、またガニュメデスも最後まで箱庭から脱出できません。神と人は分かり合えない、と言うより、そういう考え方そのものを否定しています。まさに「人間ごときが超越者の真意をはかり取ろうなどおこがましい」と言わんばかりです。これはマンガではないですが、アンドレ・ジイド「贋金づくり」やサミュエル・ベケット「ゴドーを待ちながら」に通じるような、感情論を排した理知的な背景を感じさせます。

「オリンポス」で引きこまれた漫画家あきの世界

 実を言うと、社主は初見でこの作品が理解できませんでした。美しいイラストに惹かれて読んでみたら、いつの間にか禅問答の世界に巻き込まれてしまった、な……何を言っているか分からねーと思うが(以下略)、食虫植物のごとく蠱惑(こわく)的なマンガです。その後、含蓄ある諸々のセリフを何度も何度も読み返して反芻しながら、自分なりに「こうかなあ」という解釈はできたものの、社主にはマンガ友達がいないので、それが合っているかどうか今でもわかりません。

 ただ1つ確信を持って言えるのは、作者・あき先生は画力と作劇能力の両面において、ただ者ではないということ。また現在発売中の作品全てがファンタジーであることを考えると、特にこのジャンルにおいて、その実力を発揮されているようです。ともあれ、この「オリンポス」ショックをきっかけに、社主は彼女の作品にずるずると引き込まれていくことになりました。

 その後、「歌姫」「花祭」「A・D―天使の嘘―」(いずれもリブレ出版)と読み進めていったのですが、どの作品にも麗しき美男子が登場(逆に「嫁」になりそうな美女はほとんど出てきません)。腐女子の妄想がズンドコ捗りそうな、魅力ある美男子キャラが、彼女の作品の特徴である「コマを飾る華麗な花々」に彩られ、一層引き立てられています。

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 社主もいろいろマンガを読んでいますが、美男子を描かせたらあき先生を置いて横に並ぶ人がいないのではないかと思います。もっと言うと「あれ? ひょっとして美しかったら男でもアリなんじゃないか……」と、自分の中の大事な部分が揺らぎそうになるほどです。まあ、とにかく絵においてもストーリーにおいても全ての作品にハズレがない。これは本当に驚くべきことです。

社主のお気に入りはコレ!

 ここまで書いてきたように、あき先生のマンガはどれも読みごたえがあるのですが、特に社主が気に入った作品を2点紹介します。

 まず1つ目は、現在季刊誌「コミックZERO-SUM増刊WARD」(一迅社)で連載中の「アルオスメンテ」(1~3巻、以下続刊)。


アルオスメンテ。信託士・レグナ(左)と、レグナの夢に現れる賢者(右)

ストーリー紹介

 神の言葉を代弁する信託士・レグナがある日受け取った「死んでしまえ」という、皇帝に対する強烈な殺意。その殺意を発した主とその真相を探るべく、レグナは賢者が夢の中に現れるという占い「賢者の夢(アルオスメンテ)」を試す。夢の中に現れた自分そっくりの賢者は、10枚のタロットカードが指し示す人物を正しく当てはめることができれば、おのずと真実が明らかになると言うが……。

 現在連載中ということもあって、まだどういう結末を迎えるかは分かりませんが、あき先生の作品としては登場人物も多く、また彼らの1人1人がそれぞれ隠された事情を抱えており、一見したところ整然と統率されている皇帝の側近たちのうち、いったい誰が皇帝を殺そうとしているのか、レグナと同じ視点からストーリーを読み進めていく、ミステリー小説的なおもしろさも魅力です。

 もう1作は、夢幻アンソロジー「幻想異界」「haruca」(祥伝社)で連載されていた「エルハンブルグの天使」。

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(C)あき/祥伝社

ストーリー紹介

 王マディスと王の良き友人の剣士ラルヴァン。微妙なバランスの元、一見固い絆で結ばれていたはずの2人は、プリマ嬢の登場と生まれた息子ペルセスによって、その均衡が崩れ去る。自らの出生に疑問を抱くペルセスは、ラルヴァンの元を訪れるが……。


(C)あき/祥伝社

 こちらは1巻完結ということもあって、マディスとラルヴァンの2人を軸にしてストーリーが進んでいきます。タイトルにもなっているエルハンブルグの天使は、反乱軍を率いてクーデターを成功させ、エルハンブルグ城に入城してきたマディスに「祝福のキス」を与えます。しかしその天使を見ることができるのはマディスではなく、友人ラルヴァンのみ。

 「なぜ天使が見えるのに、自分は祝福されないのか……」。カリスマ性を持つが学のないマディスが太陽ならば、それを陰で支えるラルヴァンは月のような存在。その後ラルヴァンはマディスの婚約者プリマとの密通を疑われたため、自ら城を去ります。

 「オリンポス」における神々と同様、この作品においても「天使」という超越的な存在が物語を引き締めます。ファンタジー作品において「天使(または神)の祝福」と言うと、支配者を権威づける根拠となるおめでたい出来事ですが、本作では「そんなものは人間が勝手にそう思っているだけに過ぎない」と、にべもなく切り捨ててしまいます。

耽美な世界にどっぷりと

 今回紹介したあき先生の作品は、舞台設定と言い、耽美なキャラクターと言い、どれを取っても紛れもないファンタジーなのに、その一方でファンタジーにはつきものの「神や精霊の加護」を、人間の不遜な思い込みとして一蹴してしまう、何ともな異端具合です。しかしそれこそが先生の作品の大きな魅力であり、またほかのファンタジーマンガとは一線を画する部分でもあります。

 「オリンポス」で衝撃を受けて以降、常々社主はもっともっと高く評価されるべきマンガ家の1人として挙げてきましたが、まだそれほど話題になっていないのが不思議で仕方ありません。今回の連載で初めてその名を知ったねとらぼ読者も多いと思いますが、これも何かの縁だと思って、ぜひ実際に手に取って読んでみてください。そしてあき先生の耽美な世界にどっぷりとハマってみてください。

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 あ、今ちょうどいいタイミングで「ステキな金縛り」が終わりました。やっぱり深津さんは至高だわ……。それでは今日はこの辺で筆を置きます。

 今回も最後までお読みくださりありがとうございましたうんこ。

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