インタビュー

共に電王戦出場、世界最強の“同僚”――コンピュータ将棋ソフト開発者 一丸貴則さん・山本一成さん(前編)(4/4 ページ)

人間のプロ棋士とコンピュータソフトが対戦した「将棋電王戦」。「人間 vs. コンピュータ」という構図で語られがちなこの戦いは、プロ棋士と将棋ソフト開発者という「人間 vs. 人間」の戦いでもあった。

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 ソフト開発の傍らで大学院時代には就職活動も行い、大手IT企業に内定を得たが、「内定先の社長の書いた本を読んで読書感想文を書きましょう、っていう課題が出て。ちょっと自分には合わないかな、と(笑)」。結局その企業への就職は取りやめ、スマートフォンアプリなどを開発していたHEROZにインターンを経て入社する。入社後に携わったアプリ「将棋ウォーズ」は、既存の将棋アプリとは一線を画する派手な演出や、棋力の近い相手を自動で選んで対局させてくれる“ちょうどよさ”で、現在までに120万ダウンロードを超えるヒット作となった。

(左)将棋ウォーズ。将棋ソフトらしからぬド派手なエフェクトが特徴だ (中)対戦相手は自分の棋力に応じてリアルタイムで自動マッチングされる仕組み (右)対局画面。うっすらと見える「棋神降臨」の文字は、最強ソフト・Ponanzaに5手だけ代わりに指してもらえる機能で、自分が棋神を使っていることは対戦相手には分からない。急に相手が強くなったと感じたら棋神の可能性あり、だ

 当初はまったく山本さんの相手にならなかったPonanzaも徐々に実力を高め、ついには山本さんを負かす“父親超え”を達成。初めて負けた日にはさすがに「感慨深い気持ちになった」。コンピュータ将棋選手権でも年々順位を上げていき、2012年の同選手権では決勝リーグ4位に入賞。翌年の第2回電王戦への出場権を手にした。


 こうしてそれぞれに異なる道をたどりながらも、コンピュータ将棋開発の世界に足を踏み入れた2人。それまでは一部の人に知られるのみだった狭い世界は、人間のプロ棋士と戦う「将棋電王戦」によって、戦慄するほどの速度で拡張を見せ始める。

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 後編では、過去2回の電王戦を通して見えてきたもの、コンピュータ将棋の現在の立ち位置と課題、そして人間と共存していく今後の在り方について、引き続き一丸さんと山本さんへのインタビューを中心にお届けしていく。

→“敵”が“先生”になる日――コンピュータ将棋ソフト開発者 一丸貴則さん・山本一成さん(後編)

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