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「美味しんぼ」の“福島で鼻血”描写、編集部が最新号についてあらためて見解を掲載
「因果関係について断定するものではない」とコメント。
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5月12日、ビッグコミックスピリッツ(小学館)編集部は、最新24号において描写された鼻血や疲労感が放射線の影響によるとした「美味しんぼ」の描写に対して改めて、「因果関係について断定するものではありません」と見解を発表した(関連記事)。
「美味しんぼ」では前回、福島第1原発の見学から帰ってきた主人公らが原因不明の鼻血を出したとする描写が風評被害を招くとして批判が集まっており、福島県や環境省などからも抗議が寄せられていた。また、今号では災害廃棄物処理を受け入れた大阪の焼却場近くの住人が眼や呼吸器系の症状が出ているとの記述を受け、大阪府と大阪市が抗議している。
こうした状況で編集部は「スピリッツ24号掲載の『美味しんぼ』に関しまして」とする文章を公式サイトで公開。「実在の作中人物の意見を受けた表現は、事故直後に盛んになされた低線量放射線の影響についての検証や、現地の様々な声を伝える機会が大きく減っている中、行政や報道のありかたについて、議論をいま一度深める一助となることを願って作者が採用したものであり、編集部もこれを重視して掲載させていただきました」とコメントした。
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また誤解を招いたとして「作中に2013年の取材当時、騎西高校へ避難されていた方々が登場いたしますが、鼻血や体調に関わるエピソードは、この方々への取材とは無関係です」とも。
編集部では5月19日発売の25号と公式サイトにおいて、識者や専門家の見解や批判を含む意見を集約した特集記事を掲載する予定があることを明らかにしている。
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「綿密な取材に基づき、作者の表現を尊重して掲載させていただきました」と編集部。
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