決勝戦のバトルロワイヤルがキレッキレ! Imagine Cup 2014、ワールドチャンピオンはオーストラリアの「Eyenaemia」
来年のImagine Cupは何かが変わるかも?
音楽隊がお尻をフリフリさせながら演奏したかと思えば、シンバル奏者たちがぴょんぴょん飛びながらハイタッチを始める。テッキィラーー!
実はこのイベント、シアトルのWashington State Convention Centerで米国時間8月1日に開催されたマイクロソフト主催の学生向けITコンテスト「Imagine Cup 2014」のワールドファイナル。ワールドファイナルでは、Imagine Cup 2014での入賞者が発表されるとともに、世界チャンピオンを決める決勝戦が行われた。
この動画は、その入場シーンである。会場はもうお祭り状態なのだ!
Imagine Cup 2014、ワールドチャンピオンはオーストラリアの「Eyenaemia」
今回のImagine Cupでは、「GAMES(ゲーム部門)」「INNOVATION(イノベーション部門)」「WORLD CITIZENSHIP(世の中に役立つものを開発する部門)」の3部門に分かれてプレゼンテーションが行われ、その各部門の1~3位までがここで発表された。さらに各部門の優勝者の中から1チーム、ワールドチャンピオンが決定した。ワールドチャンピオンには5万ドル(=約510万円)の賞金と、マイクロソフト創業者でありテクノロジーアドバイザーのビル・ゲイツ氏とのプライベートミーティングの機会が与えられる。
チャンピオンは、下まぶたの裏側(結膜)の写真を撮るだけで結膜の分析と貧血の検査・リスク計算ができるアプリ「Eyenaemia」を作ったオーストラリアのチーム。決勝戦の審査員には、2014年2月に就任したマイクロソフトの最高経営責任者(CEO)Satya Nadella(サティア・ナデラ)氏、掲示板の機能を持ち合わせたソーシャルニュースサイト「reddit」のゼネラルマネージャーErik Martin(エリック・マーティン)氏、起業家であり投資家でありプログラミング教育促進非営利団体「Code.org」の共同創設者でもあるHadi Partovi(ハディ・パルトビ)氏が参加。各部門の優勝者が壇上でバトルロワイヤルを行い3人の審査員によってチャンピオンが決定したのだが、これがすごかった!
バトルロワイヤルは、審査員からの1つの質問に対しプレゼンターが1分30秒で答えるというもの。優勝したオーストラリアチームは、「なぜクラウド技術を活用したのか」という審査員マーティン氏からの質問に対し、「モバイルファースト・クラウドファーストの世界では、これまでできなかったことがクラウドの力を使うことで可能になる(会場から拍手)。例えば、このアプリケーションはアフリカでも使えるし、写真が撮れるデバイスがあれば全てのプラットフォームで使える。もちろんPCでも使えるように作っている」と回答。マイクロソフトの戦略の中でもたびたび使用される言葉「Mobile First, Cloud First」を巧みに用い、全ての質問にキレッキレの完璧な受け答えをしていた。
会場からは幾度となく拍手が沸き起こり、全質問に対し持ち時間の1分30秒ギリギリまで使ってアピールしたことも印象的だった。このバトルロワイヤルでは、彼らオーストラリアチームの頭の良さがひときわ際立っていたように思う。
この見事な質疑応答を見て「何か特別なトレーニングをしたのか」と筆者が尋ねると、「特に何もしていない。医学部専攻なので、病院では毎日新しい人や患者さんと話をするし、学校でもプレゼンの機会がある。だから慣れているのかもしれない」と話していた。
彼らがこの貧血の検査アプリのアイデアを思い付いたのは2013年6月ごろ。その後9月ごろからコーディングをはじめ、2014年2月からはいくつかの病院で実証実験を行った。実はこのアプリで採用されている検査方法自体は新しい方法ではなく、彼らが学校で習ったものだそうだ。しかし、「古い教えと新しい技術を一緒にしたら面白いのではないか」と考え、さらに今世界中で流行っているセルフィー(自撮り)を取り入れて検査をできないかと考えた。ここが彼らのオリジナルの部分だ。
彼らはもともと医学が専門分野だが、趣味でプログラミングを始めてここまできたという。――「我が国のような先進国であっても、病院から遠くに住んでいて治療を受けられない人がおり、そのような人にも役立ててほしいとこのプロジェクトを始めた」(オーストラリアチーム)。今後は使い勝手や効果などをさらに調査し、半年~1年後にはリリースしたいとしている。
マイクロソフトCEOのナデラ氏はセレモニーの最後に、「今後Imagine Cupがより若い世代にも拡張される」と発表。現在Imagine Cupの出場資格は16歳以上の学生だが、来年度以降その枠が少し変更されそうだ。――「テクノロジーと全くかかわりのないビジネスや産業、人々はもはや地球上に存在しない。学生開発者の皆さんは、この『モバイルファースト、クラウドファースト』の世界に新たなテクノロジをもたらしてくれる、大変重要な役割を担っている」(ナデラ氏)。
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