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会田誠さん作品の撤去要請問題 美術館側は「あくまで相談段階」 今後は「作者との話し合いで決定」

撤去を要請したのではなく、中学生にもっと親しみある内容にならないか相談した程度のものだとの見解。

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 現代美術家の会田誠さんが、東京都現代美術館の企画展に出している作品が館側から「撤去要請」を受けたと主張し、不当だと異を唱えている問題(関連記事)。7月28日に美術館へ確認をとったところ、「撤去を要請したのではなく、中学生を対象に内容をもっと親しみのあるものに改変できないか話をもちかけた、あくまで相談段階のもの」と答えました。

 作品は、7月18日から10月12日まで開催の「おとなもこどもも考える ここはだれの場所?」展で公開されている2点。うち1つの「檄」は、会田家の食卓における日常会話で出た文部科学省に対する不平不満を、6メートルもの白い布に墨文字で書き記した作品になっています。

 7月25日会田さんはTumblrで、これら2点へ東京都現代美術館側から「撤去要請がありました」と公表。「内容が子供展に相応しくない」という撤去の理由に対し、日本の教育事情に関する“大人の事情”が主な内容だとしても、「そのようなものを子供たちの目から意図的に遠ざけ隠す行為は、基本的に良くない」と反論をつづりました。館側の「観客からのクレームがあり、東京都庁のしかるべき部署からも要請がきたので、美術館としても協議し、撤去の要請を決定しました」という経緯についても、クレームが1人からしか来ていなかったことを取り上げ疑問を投げかけています。

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 同館は、「美術館側がもちかけたのは“撤去の要請”ではなく、『中学生を対象にもっと内容を親しみのあるものにできないか』という“相談”だった」と回答。「ただし『作品の内容を変える』ことを会田さんが撤去と受け止めてしまえばブログのような表現になる」と、会田さんの主張を否定するのではなく、両者のニュアンスに食い違いがあるとの見解でした。

 作品へ「(美術館)友の会会員1名」からクレームがあったのは事実とのこと。しかし今回の相談をもちかけたのはクレームがきっかけではなく、「もともと作品を展示する段階から、内容が企画にふさわしいか疑問の声が開催側から上がっていた」そうです。また作品について要請したという「東京都庁の部署」については、同館は都営で、都庁の人間も館内で働いていることを挙げ、「部署も美術館と同じ立場にあるものと思っていただきたい」とコメントしました。

 作品は今も公開当時のまま展示中。今後については「会田さんとの話がついてから。改変・撤去するかまだ何も決まっていない段階です。強制的に作品を撤去するようなことはしません」と、会田さんの意見も尊重しながら話し合いを進めていくそうです。

 なお会田さんはTwitterで、撤去を要請したという同館のチーフキュレーター・長谷川祐子さんが近日中に文章を書くだろうとツイートしていました。これについては「美術館側では把握していません。会田さんが個人で言っているのか、両者で進んでいる話なのかわからない」との回答でした。

記事初出時、東京都現代美術館の取材の対応者を「同館担当者」と表記しておりました。こちらが「おとなもこどもも考える ここはだれの場所?」展の企画担当者だと誤解を招いてしまうため、「美術館」「同館」に表記を訂正させていただきます。

黒木貴啓

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