巷を騒がすTwitterのカップル共有アカウント ユーザーに聞いてみたら筋の通った答えが返ってきた
カップル垢を使うカップルたちの主張。
最近、Twitterにおけるカップル共有アカウント、通称、「カップル垢(あか)」なるものをよく見かける。その名の通り、カップルがアカウントを共有し、彼氏・彼女、どちらからでもツイートできるというもの。ツーショットのプリクラをアップしたり、デート情報を公開したり。中には、“ファン”と名乗る人物から、カップルの写真を元に作成した2人の加工画像が贈られることもある。
いったいなぜ、彼らはカップルで共有のアカウントを持つのか? そこに何をツイートするのか? LINEなどの2人だけの連絡ツールじゃダメなのか? わざわざTwitterで人に見せるのはなぜ? なぜなの!?
……このように思っているのはきっと筆者だけではないだろう。この、一大ムーブメントの真相を解明すべく、カップル垢を所有する人に片っ端からアタック。その中で唯一、返信をくれた若者に、突撃インタビューを試みた。
インタビューに応じてくれたのは、「ゆーくん」さん。都内の大学に通う19歳だ。読者モデルとしても活動しており、フォロワー数は約6000人(2015年10月12日現在)。そんな彼は、付き合って半年になる彼女「さおり」さんと、カップルアカウント「@yusa0326cp」を共有しているという(非公開)。
まずは率直に、カップルアカウントを作った経緯について聞いてみた。
「作ろうと思ったきっかけは、単純に『安心するから』です。これに尽きます。僕と彼女は東京と大阪の遠距離恋愛なんです。だから、普段なかなか会えない。なので、なにか共有するものが欲しかったんです」(ゆーくんさん)
ちょうどそのとき流行っていたのがカップルアカウントだった。これいいじゃん、という気持ちでアカウントを作成。カップル垢は主に“のろけ専用”。プライベートでは恥ずかしくて言えないようなことも、カップル垢では素直に呟けるのがメリットだという。
「彼女とドコソコに行ったよー、みたいなデート報告だったり、2人で撮ったプリクラだったり。彼女のことを『かわいいね』とか、やたら褒めたりもします(笑)。個人のアカウントでのろけたらウザいかもしれませんが、カップル垢なら許されるんで(笑)」とゆーくんさんは言う。
とはいえ、カップル垢と縁遠い人たちからしたら、なぜわざわざ見せびらかす必要があるのか? という思いがぬぐえない。2人だけが見ることができるLINEなどのツールでも十分のような気がするのだが……。しかも、最近はカップルが連絡を取ることに特化した専用アプリも多数出ている。このような疑問をぶつけてみると、ゆーくんさんはこう答えた。
「僕は読者モデルをしているし、彼女も以前そういうことをしてる時期がありました。だから、お互いある程度、人に見られることには慣れてるんです。自分たちのファンだと言ってくれる方々もいます。カップル垢を作ったのは、そういう方々に、報告したいって意味もあったんです」(ゆーくんさん)
コソコソ付き合うくらいなら、いっそオープンにしたい、という思いがあったという。ところが、カップル垢を使い始めてわかったのは、2人の関係を歓迎するファンばかりではなかった。俗にいう“アンチ”による攻撃もときにはあったという。
「僕のファンが彼女に対して悪口を言うなど、お互いのファンが相方を攻撃してくることがよくありました。見られることに慣れているとはいっても、やっぱりそういうのは嫌です。何より彼女を傷つけたくない。なので、あらかじめ、カップルアカウントには鍵をつけて、相互フォローの人のみ見られるようにしています。悪意あるユーザーにはフォローは返しません。精査するのは難しいんですが、フォロワー1人とか明らかなサブアカウントとかは怪しいのでNGです」(ゆーくんさん)
「見られることに慣れている」、とゆーくんさんは言うが、今後2人が別れることになったなら、アカウントはどうするつもりなのか。というのも最近、「カップルアカウントの末路」という画像が話題になった。そこでは、カップル垢を作ったはいいものの、「別れました」と報告をし、それがネットユーザーたちに笑い者にされていた。そういったことに対する恥ずかしさはないのだろうか。失礼だと思いつつもおそるおそる聞いてみると、「『カップルアカウントの末路』が話題になっていたことは知っています。あれ見ての感想ですか? うーん……分からない(笑)。というより考えられないです。すぐ別れちゃって、無駄になっちゃうカップルもそりゃあいるでしょうから」とゆーくんさんは明るく言い放った。現状ラブラブな2人には、「別れるかもしれない」「別れて、そのことをカップル垢に晒さなければならないかもしれない」などの心配は小さなこと、そもそもそんな起こるかわからない先のことは考えていない、ということか。
さて、話は少し戻るが、ゆーくんさんのカップルが、カップル垢を使う理由は「ファンに対してオープンにしたかったから」と納得はいくものだった。カップルとしての生活をファンに見せることは、読者モデルとしての活動の一環ということなのだろう。とはいえ、カップル垢ブームの今、ゆーくんさんのように読者モデルをやっていないような、普通の人もカップル垢を使っているのを見かける。この現象はいったいどういうことなのか。ゆーくんさんは、このように分析してくれた。
「まず一つには、円満な関係を築けるツール、というメリットがあるんです。喧嘩しても、カップル垢のおかげで仲直りしたことも何度もありました。ツイート振り返って、この前は楽しかったなって振り返ると、素直に謝れるんですよ。Twitter上に、おもしろ画像載っけて勢いで謝ったりとかもありました(笑)。そしてもう一つ。イマドキの若者にとって、スマホのアプリを使って自分を表現するのって普通のことなんですよ。『恥ずかしくないの?』って言ってくる人もいますけど、まったく恥ずかしくないです。昔からみんな、芸能人の髪型が流行ればそれを真似しますよね。その髪型にあたるのが今の若者にとってのアプリなんです。芸能人もみんなアプリを使って表現をしている。だから一般の人たちも、アプリを使って自己表現をしているってことだと思います」(ゆーくんさん)
正直な話をすると、筆者はゆーくんさんに話を聞くまで、カップル垢を使っている若者たちのことを、失礼ながらどこかバカにしているところがあった。そこには、「ネット上でのろけやがって」とイラ立つ気持ちもあり、別れるかもしれないのに後先考えていなさすぎるという気持ちもあり。だが、カップル垢ユーザーには、想像していた以上に筋の通った主張があった。ネットはネット、プライベートはプライベート、といった感覚は時代遅れになりつつある……のかもしれない。
(中村未来/清談社)
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ちょっとでっかくなった。
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