しゃぶしゃぶ温野菜“ブラックバイト”問題で第三者機関の調査結果発表 ブラックバイトユニオンは反論
レインズインターナショナルは自腹購入の強制は確認できなかったなどとする調査結果を発表し、ブラックバイトユニオンは事実誤認があると反論している。
労働組合「ブラックバイトユニオン」(以下「ユニオン」)がしゃぶしゃぶ温野菜の運営会社に対し、アルバイト従業員が長時間勤務や自腹購入を強いられたとして団体交渉を申し入れている件で、フランチャイズ本部であるレインズインターナショナル(以下「レインズ」)が第三者調査機関の調査結果を発表した。
ユニオンは、フランチャイズ加盟企業DWE JAPAN(DJ)が運営する北習志野店の大学生アルバイトが4カ月間休みなしで働かされ、十数万円の自腹購入を強いられたと主張。大学生は店長から「家に行くからな。殺してやる」との暴言も受けたという。
レインズは、大学生と直接の雇用関係にないため、団体交渉に応じる義務はないとしつつも、「チェーン全体としてより安心して働ける環境づくりを進めていく」ために、第三者調査機関を設けて事実関係を調査したとしている。調査は関係者のヒアリングや資料に基づいて行ったが、当該の大学生のヒアリングは行っていない。ユニオンが、調査についてユニオンの面前で説明しないと調査に協力できないとしたため断念したと説明している。
ユニオンは、大学生が数千万円の損害賠償を店長から示唆されたり、店の商品の自腹購入を強制され十数万円を支払ったと主張している。レインズは、そうした事実は調査では確認できていないと否定。大学生が「4カ月間休みなしで働かされた」とする主張に対しては、大学生からシフト外勤務の申し入れがあったと説明している。
また店長が大学生を脅迫したとの主張については、店長が「脅迫的言動に及んだことが関係者供述により確認された」と一部を認めたが、大学生の勤務態度が悪化し悩んでいた店長が、極度の興奮状態に至ったためとしている。
レインズは、大学生からのシフト外出勤の申し出を明確に断れなかったことや、感情的になり脅迫的言動に及んだことは、DJと店長が労働関係法令を十分に理解していなかったことなどが原因とし、加盟企業オーナーの研修強化などの取り組みを行うとしている。
ブラックバイトユニオンは反論
ユニオンはこの発表を受け、調査発表の内容は不正確な部分があり、重大な事実を見逃していると反論。会社側や従業員の一部のみへのヒアリングであり、当該の大学生やユニオンへのヒアリングはなかったと批判し、またDJから売り上げの一部を受け取っているレインズが委託した調査が中立公平かという点に疑問を呈している。
大学生やユニオンにヒアリングがなかったことについては、大学生が会社側に不信感を持っていたことから、一度直接顔を合わせて話をしたいとレインズに要請したが、レインズから回答がないまま調査結果が発表されたと説明している。
また調査結果の内容については事実誤認があり、問題のごく一部を説明しただけと指摘。特に店長の脅迫的言動については、突発的な行為のように説明されているが、何度も暴力行為や暴言があったと反論している。
ユニオンはDJと団体交渉を行っていたが、10月19日の団体交渉で、DJが一方的に交渉を打ち切ったという。交渉の中でDJは大学生について「店には来ていたが、働いていない」「店長の制止を振り切って出勤した」「彼はそこまで(自腹購入のこと)をしてまでも店に来たかった」と主張していたとユニオンは報告している。
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