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これはきつい…… 「統合失調症体験VR」が症状への理解を深めてくれると話題に

ちょっと閲覧注意です。

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 精神障害の1つである「統合失調症」患者の見ている世界を体験できるVRが話題になっています。心や脳の働きに関する病気の情報サイトメンタルナビではVRで流れる映像が動画で公開されており、その世界をある程度体験できます。結構きつめな内容なので、精神的に元気があるときに見てください。

浪人生「あきら」さんのケース(画像はメンタルナビの動画より)

 このVRでは、統合失調症にかかってしまった人たちが実際に体験した症状を疑似体験します。最初は大学受験がうまくいかず、予備校に通いながら浪人生活を送っているという「あきら」さんのケースから。コンビニにお昼ごはんを買いに来たシーンです。

おにぎりを買おうとしますが……

 「親に迷惑を掛けられない」と昼食をおにぎり1つで済ませようとする「あきら」さん。しかしその時、「お前はお金持ってないからおにぎりだけだ」「大学受験失敗したしね」という声が。大学受験がうまくいかなかったことを秘密にしていた「あきら」さんは動揺します。さらに、「おにぎりを食べろ!」という声がいろんな方向から複数聞こえてきたかと思うと、おにぎりがぐにゃぁっとゆがんで見えます。

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「おにぎりを食べろ!」という声、ゆがむおにぎり

 幻聴と幻覚で身の危険を感じてしまった「あきら」さんは、店から出ようとします。しかし、ヘッドフォンを着けた他の客さんが目に入り「あのヘッドフォンで自分の携帯を盗聴しているからバレたんだ」と考えてしまい、携帯を止めようとバッテリーを外しだします。

盗聴されていると思い込み、バッテリーを外す「あきら」さん

 さらに、「かわいそう」「ああはなりたくないよねぇ」「センスなさすぎだよね」などの幻聴が聞こえだした「あきら」さんは、ついに店内で「うるさい、僕を監視するな!」と叫んでしまう……というところで「あきら」さんの話は終わります。

叫んでしまった「あきら」さん。店内の視線が集まります

 続いて、思うように仕事が続けられず転職を繰り返しているという「あけみ」さん。新しい職場で1週間が経過したところです。

思うように仕事が続けられず転職を繰り返している「あけみ」さん

 朝から調子が悪く、何か変な失敗をしないかと不安な気持ちに押しつぶされそうになりながら出社する「あけみ」さん。聞こえてくる音がどこか遠く、視界も少しゆがんだりぼやけたりと不安定です。そんななか、アンケートのデータをPCで入力するよう頼まれた「あけみ」さんでしたが……。

ワンケート用紙を渡される「あけみ」さん。視界がぼやけている

 「簡単な作業だけど、君の場合入力ミスとかするんだろうね」「前の職場もクビになったんだろう」「役立たずだし」と幻聴が。入力ミスをしたらまた怒鳴られる、クビになるかもしれない……とどんどん不安になっていく「あけみ」さん。「あなたはミスをする」「あなたはクビになる」と複数の声が、さまざまな方向から聞こえてきます。さらに、目の前のPCはグニャグニャとゆがみ、紫色に。

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幻聴が止まらず視界もゆがんでいく

 どうにか気を取り直し入力を始めますが、1行目で本当に間違えてしまった「あけみ」さん。ついに大きな声をあげてしまう……というところで終わります。

声を上げてしまった「あけみ」さん。周囲が驚いています

 他にも「生活音が幻聴に聞こえる」という人や、「過度におだててくる幻聴が聞こえる」(「君は米国大統領の親友だ」などと聞こえてきて信じてしまい、生活に支障を来す)といった例を体験できます。また、動画の最後には「ヘッドフォンを外す前にスイッチを押してください」と指示が出るのですが、「早くスイッチ!」「こんなこともできないのか」と幻聴が聞こえてくる演出付き。こちらも怖い……。

「スイッチ! 早くスイッチ!」と聞こえてくるシーン

制作会社のシー・エヌ・エスに話を聞いてみた

 このVRは10月22日に行われた楽天テクノロジーカンファレンス2016というテック系のイベントに出展したもので、統合失調症ナビを運営するヤンセンファーマから依頼されて作製したものです。ハコスコと専用スマホアプリで動作します。

 幻聴をリアルに再現するため立体音響にはかなりこだわっており、ヘッドフォンで聞くと幻聴が左右や後ろなどから聞こえてきたり、声がする方向を向くとちゃんと前から聞こえるようになったりします。Webの動画でも、ヘッドフォンで聞くと音の方向はリアルに感じられるはず。

 また、ここまで話題になると思っていなかったとのことですが、悪い反響もなく、大真面目に作ったものなので正しく理解してもらえて良かったと語っていました。

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 さらに、動画は1もう1本公開されています。こちらはもっと以前から公開されていたもので、シー・エヌ・エスとは別の制作会社によるもの。動画はVR装置を装着するところから始まるのですが、「スイッチを押してください」というアナウンス音声と同時に「怖いくせに」「グズグズしないでよ」「早く早く!」と恐ろしい声が聞こえてきます。この時点でちょっと怖い。

装着シーン。ここから既に幻聴が聞こえてくる
最初は普通に始まるのですが……

 本編は数日前に仕事をリストラされてしまった自分が、飲食店を訪れるところから始まります。最初は普通に始まるのですが、お冷やを出してもらったところでヘッドフォンの左側から「居場所がないからそこに座ってるんだよぉっ!」という罵声が。他にも、さまざまな罵声や笑い声が聞こえ、なぜ自分のことを知っているのかと追い詰められていきます。

映像にもゆがみが

 映像もたまに色がおかしくなったりゆがんで見えるときがあったり、ハエの羽音がブンブンと耳の周りで鳴り続けたり、「この店は危ないぞ」「水が汚いぞ」「何かいるぞ」「弱虫」といった声が聞こえてきたりします。幻聴はどんどん大きくなり、最後は自分が「黙れぇ!」と大声を張り上げてしまうところで終わり。


 どちらも本来はVRで体験するものですが、ヘッドフォン+動画でも精神的にかなりきついものがあります。しかし、統合失調症の人が普段こういった世界を見ているのかと思うと、症状に対する理解も進みそうです。

 およそ100人に1人弱がかかる頻度の高い病気ともいわれる「統合失調症」。周囲の人がかかる可能性もあることを考えると、知っておいて損はないかもしれません。

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