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檻に見えたのは「通気口」 岩手・高校野球部員いじめ疑惑、校長が状況を説明

校長と県教育委員会が学校で記者会見を開きました。

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 Twitterへの動画投稿をきっかけに持ち上がった、岩手・花巻南高校野球部員いじめ疑惑について、11月2日、同校の校長らが会見を開き、状況の説明といじめの有無に関する調査結果を報告。

会見冒頭謝罪した校長

 動画に写っていた生徒(以降A君とする)が「先輩にいじめられたわけではない」と話していることを受け、「いじめには該当しない」との判断を下したと発表した。また動画のタイトルが「思い出のA君」と題されていたことからも、悪意のあるいじめではないとしている。

会見を行った校長

 動画がネットに出回った経緯について遠藤可奈子校長は、6月下旬に校内で野球部がノック練習をしていたところ、部室棟の床下通気口に野球ボールが入ってしまったことがきっかけだったと話した。

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 具体的にはボールを取りに行ったA君に野球部員数人がついていき、通気口に入ったA君に3年生部員3人が中心となって「出られなくなるよ。幽霊が出るよ」などとはやし立て、A君が怖がる様子を撮影したものがネットに出回ったと説明。

動画内で「檻では?」と物議を醸していた床下通気口、ここからA君はボールを取りに入った(現在は柵が取り付けられている)
中は狭くて暗く、A君が怖がるのも無理はない。現在はネットがあるが当時はなかったとのこと

 スマートフォンを返してというA君に発せられた「警察に電話するからダメ!」という発言などについても調査を行ったが、関与した生徒らは動画の撮影時期が4カ月以上も前であることなどから、細かい発言内容は覚えていないと話しているという。

 動画について、野球部員らはもともと部内だけで楽しむための「思い出の動画」として撮影したものであり、動画の投稿を行った生徒は「鍵のかかったアカウントで投稿したつもりだった」と外部流出についての過失を認め、責任を感じているという。

 また拡散した動画には続きがあり、「これに向かって一言」などと言われたA君が笑顔で応じる様子も収録されていたという。これらの動画については野球部の生徒から「これを見ればいじめではないとわかるはずだ」と申し出があり、校長本人が確認した。

通気口は部室棟の真下にある
ここがA君が通気口を伝ってたどりついた別の通気口。動画を撮影した場所だという

 動画の撮影には3年生の部員3人が中心となって、17人の生徒が関与しており、A君を含むすべての生徒が「いじめではない」との認識を持っているという。また校長によるとA君は明るくて面白い生徒という印象であるといい、本人やその保護者は「事態の収束を願っている」と話しているという。

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 以上のことから、校長は動画の撮影については「いじめには該当しない」という認識を持っていると説明しつつ、「餌をやる」「明日迎えにくるから」などの発言については、問題がある発言との認識を示した。

 また野球部の自主練習中に動画が撮影されたということに関しては「学校内では原則スマートフォンの電源を切るように」と指導しているといい、「指導が行き届かなかった」と話した。

 また同校では事態の発覚から現在までに保護者説明会を開いており、保護者らからは「事態についての理解を得られた」とした。一方で「花巻南高校の学校名が入ったユニフォームを着た生徒(保護者の子供)が対外試合に出かけた際に、一般人から写真を撮影されてしまったが、ネットなどに掲載された場合どうすればよいのか」という相談も寄せられているという。

 このほかにも動画に関係のない同校の生徒が、ネット上で特定されるなどの2次被害も発生しているといい、対応を協議している。

県教育委員会・生徒指導部長

 また会見に同席した県教育委員会の生徒指導課長は、本件に関して「動画を投稿した生徒の悪意のない過失はあるが、どの学校でも起きうる問題であると考えている」と話したほか、スクールカウンセラーの派遣などで生徒たちの心のケアに努めているとした。

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 疑惑の発端となったのは、10月24日にTwitterに投稿された動画(現在は削除済み)。元動画はすぐに削除されたものの、野球部員の男子生徒が檻のようなところに閉じ込められて泣いているような姿が撮影されていたことから、別のユーザーらが動画を保存してTwitterに再投稿。結果的に動画は爆発的に拡散し、「いじめではないか」と物議を醸していた。

 県内に住む男性は「せっかく野球部が最近活躍していたので、動画で有名になってしまい残念。また一から頑張ってほしい」と話し、他校の女子高生は「動画の問題自体が、(岩手では)そこまで話題になっていないと思う」と、加熱する報道に首をかしげた。

 今回の「いじめではない」とする判断はあくまで学校側の結論とのことだが、A君および、動画を過失から流出させてしまった生徒など全ての学生に1日も早く平穏な日常が戻ることを祈るばかりだ。

(Kikka)

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