基礎研究費は削られているか? 河野太郎議員、大学の研究費に関する諸問題にブログで回答 研究者に意見求める
「基礎研究への研究費が削られている」といった指摘に対し、データを明示して説明した。
11月10日、自民党の河野太郎議員が「研究者の皆様へ」と題した記事をブログに投稿し、大学の研究費にまつわる問題について見解を示した。研究者から寄せられたさまざまな意見に対し、データを明示しながら答えている。
「近年、基礎研究への研究費が削られている」との指摘に対しては、総務省統計局の科学技術研究調査をもとに、2001~2014年度の国公私立大学における開発研究・応用研究・基礎研究の各費用の金額を明示。この14年で基礎研究費が全体に占める割合は横ばいながら、2001年の約1.1兆円から2014年の約1.3兆円へと、金額は増えていると説明した。
また、政府の一般会計予算の各項目について、1989年度を100として2016年度の数値を示すと、科学技術振興費は302.1、社会保障経費は293.2となり、科学技術振興費は社会保障費以上に伸びていると指摘。「研究費が削られている」根拠は? と、疑問を唱えている。
「2004年度以降、国立大学法人への運営費交付金の減額が厳しく研究費に影響を及ぼしている」との指摘には、同年度には1兆2415億円だった交付金が2016年度では1兆945億円と、1470億円減額されていることを認めた。しかし内訳を見ると、減額対象の大部分が付属病院の赤字補填や退職手当であり、一般運営費交付金の減額は割合にして3.6%とも説明している。
「国立大学法人運営費交付金に大学改革等推進等補助金、研究拠点形成費補助金、科学研究費補助金の個人補助を加えた金額」「国立大学研究者1人あたりの研究経費」については増加しているとも説明。運営費交付金の減額分が科研費で補われている状況をふまえ、「運営費交付金から研究費に回るものは、ある程度均等に配賦されていたのに対して、競争的資金では勝ち組と負け組の間で格差が大きくなった」と分析している。
事務職員の雇止め問題については、各国立大学が法人化して人事権を持つようになった2004年度以降の学生数・教員数・職員数を提示。13年間で学生が約1万4000人減少したのに対し、教員は4000人弱、職員は2万4000人近く増加していることを指摘した。これについて大学側の人事管理が計画的なものであったのか、企業がポスドクを雇用しないため行き場がなくなり、職員を希望する研究者が増えたのかなど、現場に問いかけている。
ほかにも、「大学で特許の申請料の予算が限られ、優れた研究があっても包括的に特許を申請できない」との話題をとりあげ、予算の実情や事例といった情報を求めている。
こうして諸問題を説明しつつ意見を求めた結果、多くのコメントが寄せられたらしく、河野議員は当日中すぐに「続研究者の皆様へ」と題した補足記事を公開した。「研究費の削減は国立大学の問題なので、国立大学のみのデータが必要」とのコメントに対し、要求されたデータを提示。引き続き記事上で意見を求めている。
(沓澤真二)
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