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カラクリが手書きで時を刻む「書き時計」の進化形が完成 小型化・改良に成功した作者の苦心とは

数字が書き替えられるとともに、「チーン」と鳴る鐘の音が心地よい。

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 2016年初頭、1分ごとにカラクリが動いて時刻を書き記す「書き時計」がTwitterで話題を呼び、ついには東京都美術館で展示されるほどの好評を得ました(関連記事)。それから約1年を経て、作者の鈴木完吾さん(@BellTreeNursing)が進化形の「time castle」を完成。小型化や各種改良に成功し再び注目を集めています。

カラクリの構造は理解できないまでも、とにかく「すごいことをやっている」のはわかる
こちらは前作「書き時計」。当時当時東北芸術工科大学の学生であった鈴木さんが、卒業制作として手掛けました

 多数の木製歯車が複雑にからみ合ってペンを動かし、毎分磁気ボードの数字を書き替える3分計のタイマー。そのたびに鐘が「チーン」とかすかに鳴る風流な仕掛けも施されています。サイズも前作よりひとまわり小さく、コンパクトな仕上がりに。

1分おきに上のアームが文字を消していき……
下の筆記ユニットが新たに数字を書き込む
部品の一部。非円形の歯車が複雑に組み合わさっている

 編集部は鈴木さんに製作時の苦労などをうかがいました。書き時計は動作にさまざまな問題があったそうで、作者として納得できていなかった様子。そこで完成度で前作を超えられるものを作りたいと思い、第2弾の製作に着手したそうです。

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 今回はコンセプトが「タイマー」となり、書かれる数字は0~3までで、動作も3分のみに抑えられています。そのため、数字が変わるときにもう少しアクションが欲しいと考え、鐘の音を盛り込むことにしたそうです。

 前作から大きく変わった仕掛けは、カラクリが「字を消す動作」。前作では磁気ボードの裏側から磁石を“当てて”数字を消していましたが、今回は“こすって”消しています。このおかげで確実に字を消せるうえ、動作も面白いものにできたとのこと。

斜めの視点から見ると、消して書くまでの動作がわかりやすい

 小型化については、前作をそのまま縮小したわけでなく、全体を新設計し直したとのこと。筆記ユニットを1本にし、内部のデッドスペースを限りなく減らすことでコンパクトにできたそうです。サイズ感は、底の脚部がA4用紙に収まる程度なのだとか。

歯車の試運転。計算された設計のうえ、ぎっちりと詰め込まれている
チーズのボトルとの比較。案外小さい

 製作においては、部品の加工時にNCフライスと呼ばれる工作機械を導入。糸ノコギリを使用していた前作よりも、高精度を実現しています。ただ、慣れぬ機械相手に苦労し、何度も刃を折ってしまったそうです。

NCフライスを使った部品の切り出し。何度も刃を折るなど苦労がうかがえます
切り出されたパーツ群。美しいっ
回転させつつ余分な機械油を飛ばす様子が小気味よい

 製作期間は設計から4カ月ほど、製作費は4~5万円とのこと。最後に完成しての感想を聞くと、鈴木さんは前作のノウハウを生かせたため「率直に言うと前よりは簡単でした」と語りました。なお、「time castle」を「書き時計」のように、どこかへ展示するかについては未定で、今後の動向を見て決めていきたいそうです。

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画像提供:鈴木完吾さん(@BellTreeNursing

(沓澤真二)

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