真偽論争に発展した「なんでも鑑定団」の茶碗を奈良大学が分析 偽物に使われる釉薬の成分は検出されず
釉薬(うわぐすり)などで再現した偽物ではないかと指摘されていました。
テレビ東京の番組「開運!なんでも鑑定団」で「曜変天目茶碗(日本に3点しか現存しておらず、いずれも国宝)」と鑑定されたものの、釉薬(うわぐすり)で再現した模倣品ではないかと指摘が相次いでいた茶碗。奈良大学がその調査を行い、「ニセモノだと言う人達が主張しているようなモノではない」と疑惑を否定しています。
該当の茶碗が登場したのは「開運!なんでも鑑定団」12月20日放送回。これまで3点しか存在しないとされてきた曜変天目茶碗の4点目と鑑定され、国宝になってもおかしくない一品と高く評価されました(関連記事)。しかし、専門家などから、その鑑定結果を疑問視する声が続出。父子で70年にわたって曜変天目茶碗の研究を行ってきたという長江惣吉さんは、釉薬などで発色を再現した偽物が中国で盛んに作られており、それによく似ていると指摘しています。この際には、近代に開発されたスピネル顔料が使用されるため、成分分析で判別できるのだそうです。
茶碗の所持者から依頼を受けた奈良大学は3月1日、対象物に含まれている元素を調べられる「蛍光X線分析装置」を使った調査結果を発表。疑われている釉薬の成分が検出されなかったことを明らかにし、「ニセモノだと言う人達が主張しているようなモノではないことは確実」と結論づけています。なお、本物の曜変天目茶碗かどうかについては、まだ証明できていないと慎重な姿勢を見せています。
長江さんによれば、該当の茶碗の高台(卓上に接する輪の部分)に「供御(くご)」の文字が刻まれていることも、偽物と疑われる理由のひとつとのこと。日本にはそのような風習がなく、同様の伝来品を見たことがないのだといいます。本当に4点目の曜変天目茶碗だったのか、真偽論争はまだまだ続くかもしれません。
茶碗の所有者が在住する徳島県も、文化財指定に向けた調査を計画。しかし、こちらは所有者の申し出により中止していたことが、2月に明らかになっています(関連記事)。
(マッハ・キショ松)
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