歌詞引用をめぐり「JASRACが京大に請求」の報道 JASRAC「請求した事実はない」と反論
言い分が微妙に食い違ってます。
「京都大学入学式の式辞で米歌手ボブ・ディランさんの歌詞一節が引用されたことに対し、日本音楽著作権協会(JASRAC)が利用料を請求している」――5月19日付けの京都新聞の報道が波紋を呼んでいます。
京大の山極壽一総長は入学式でボブ・ディランさんの歌詞を引用。式辞全文が同大学公式Webサイトに掲載中です。京都新聞は記事内でJASRACの主張について、「一般論として、ウェブ上にある音楽著作物には利用手続きが必要となる」「商用目的でなくても、歌詞を印刷できる仕様でウェブ上に掲載すると、1回の閲覧につき数十円が必要になる場合がある」として紹介。京大広報課が請求された事実を認めたと報じています。
一方で、ねとらぼの取材に対しJASRACの広報担当者は「京大とは話し合いの入り口段階で、『請求をした』という事実はない」と説明。さらに、京都新聞から受けた取材について「『JASRACが請求している』という結論ありきの質問内容だった」と不信感をあらわにしました。また、京大広報課に問い合わせたところ「JASRAC関係者から連絡があったのは事実。予備知識がなかったため、その場では対応できなかった。今後は資料などを見て対応を検討したい」とコメントしました。
式辞で引用された歌詞部分は、全体の10分の1以下。報道を受けWeb上では「引用の範囲なのでは」「これで請求するのはやりすぎ」と、JASRACへの批判が続出していました。この点についてJASRAC担当者に聞いたところ、「請求した事実がない以上、『引用なのに徴収するのか?』という質問は今回のケースには当てはまらない」としつつ、「『引用だから徴収できない』という理屈だと、権利者の権利が完全に制限されてしまう。どこまでを引用とするかについては曖昧なケースもあるため、その場合は司法の判断に委ねることもある」と説明しました。
なお、式辞に引用された歌詞は、式辞全体の10分の1以下の分量でしたが、歌詞単体で見ると、歌詞全体の3分の1以上が引用されており、引用としてはグレーゾーンだったのではないか? とする指摘も見られました。いずれにせよ請求の有無や金額などについてはまだ決定されておらず、今後の展開に注目が集まりそうです。
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