音楽教室からの著作権料徴収の方針を示し、物議を醸している日本音楽著作権協会(JASRAC)(関連記事)。現在も批判が続出する中、「電車の発車メロディを作る際、著作権料をJASRACに支払っても、著作権者にお金が分配されない」というウワサがTwitterで流れています。
このツイートは電車の発車メロディ制作に関わった人がつぶやいたもの。編曲の際に原曲の著作権料をJASRACへ支払ったものとみられ、「発車メロディを作ったときに著作権者に確認した上でJASRACに使用料を払った」としていますが「(JASRACに払った著作権料は)作曲者には支払われていない」としっかり分配が行われていなかったことを明かしています。作曲者に支払われなかった理由は「1(もしくは4)小節なら支払わない」ためだとか。
これは著作権者との雑談のなかで判明したもののようで、「(お金が入ったかどうか聞いたが)『それがね……』という話だったので、そうなんでしょう」と判断した経緯を語っています。現在2万5000RTを突破するなど広く拡散されているこのウワサは本当なのでしょうか。真偽をJASRACに聞いてみました。
JASRACの担当者によると「分配は間違いなくある」と明言。JASRACが管理していない楽曲も当然あるが、“何小節だから”という理由で分配を行わないということはないとしています。また、権利者への分配の際には明細を出して内訳を明確に提示するほか、内訳に関する個別の問い合わせなどにも対応しているとのこと。ただし、この場合の著作権者への料金分配は年に1度となっているため、場合によっては“著作権料が分配されていない”と勘違いする可能性があるそうです。
JASRACが音楽教室からの著作権料徴収の方針を示したことについては、、宇多田ヒカルさんが「自分の曲は無料で使って欲しい」とツイート。また、「4分33秒黙っていると著作権料が発生する」(関連記事)など、著作権料をに関する真偽不明のウワサがSNSで今も複数流れています。
2023年5月19日追記:本記事に対して、「発車メロディは施設でのBGMとして扱われており、その地域での割合に応じて分配されるため、作曲家には必ずしも支払われない」とする情報を見たと読者から問い合わせがありました。JASRACに確認したところ、当時は「有線放送などの分配データに基づき分配していた」との回答が得られました。2020年から運用を変更しており、現在は鉄道会社など契約者から利用楽曲の報告を受け、この報告に基づき使用料を分配しているとのことです。
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2009年から7年にわたり争われていましたが、これでJASRACに対する排除措置命令が確定した形となります。