レビュー

「名探偵コナン」劇場作品で一番面白いのってどれなの? 気合いの全21作レビュー&オススメベスト3!(1/4 ページ)

とりあえず爆破させておこう。

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 毎年GW時期の恒例となっている「劇場版 名探偵コナン」作品。2017年で21作目を数え、最新作「から紅の恋歌」は興行収入50億円突破の大ヒットとなっています。

 でも、こんなにたくさんの劇場版コナン作品、結局どれがいちばん面白いの? っていうかそれぞれどんな話だったっけ?

 ここはファンに聞くしかない! ……というわけで、物心ついてからというもの「劇場版コナンは必ず公開初日に映画館で見る」というルールを己に課しているコナンファン・赤いシャムネコさんに、全21作の見どころとオススメを語ってもらいました!

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時計じかけの摩天楼


記念すべき第1作

 次々に発生する爆弾事件と放火事件。コナンは犯人の狙いを突き止め、爆破を止めることができるのか――!? 劇場版1作目にしてコナン=爆発というイメージを作り上げた、オーソドックスな連続爆破事件です。コナンの映画版の犯人は、意味不明な動機で倫理観のかけらもなく豪快に建物とか壊しまくる人が多いんですけど、「時計じかけ」の犯人もトップクラスに狂っている動機です。「美意識系」と呼んでいるんですが、「お前の美意識でどんだけ爆破する気なんだよ!?」と聞きたくなりますね。

14番目の標的(ターゲット)

 名前に数字がついている人物が次々と狙われる。ついに標的は、コナンの身近な人物にも……という話。殺人事件の演出が素晴らしく、胸にナイフを刺された死体が海中に漂っているシーンには「かっこいい! 漂いたい!」と思いました。コナンのトリックは現実的に実現不可能なものが多いのですが、本作に出てくる目薬のトリックはあまりにも実現が簡単そうなので、「良い子は絶対に試しちゃいけないぞ!」と震えました。1作目に引き続き、犯人の性格はそこそこ悪いです。

 とはいえ、実はこの話、視聴者には論理的に犯人が分からない仕組みになっています。ミステリとしてはアンフェアだなーと思った記憶があります。

世紀末の魔術師

 怪盗キッドとロマノフ王朝の財宝をモチーフに、豪華客船に謎の古城と舞台が次々と移り変わる、エンタメ性のある作品です。ミステリとしてはそんなにハデなところはありませんが、劇場版ではオミットされがちな「少年探偵団の冒険もの」要素がふんだんに取り入れられています。

 好きなシーンはキッドが大量の鳩に包まれて消えるところ。めっちゃやりたい。あの鳩がどこから出てきたのかが本作一番の謎。

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瞳の中の暗殺者

 警視庁内部で連続殺人事件が発生。ついに佐藤刑事が撃たれ、その現場を目撃した蘭が記憶喪失に。執拗に狙われるようになった蘭をコナンは助けることはできるのか!? とにかくトーンが暗い! コナンの身近な人物がガチで命を狙われるし、警察の偉そうなおじさんたちが画面に出る率が高いので、徹底的に暗いお話になっています。

 でもミステリとしてはシリーズ中で一、二を争うほどよくできていて、「映像でしかできないトリックと伏線回収」が素晴らしいです。蘭の記憶がよみがえるシーンは、たとえていうなら「DEATH NOTE」における「計 画 通 り」に匹敵する名場面になっています。トリック単体だと大したことないんだけど、ストーリーにかみ合っているのが奇跡的ですね。

天国へのカウントダウン

 黒の組織が劇場版に初登場。ツインタワービルで殺人事件が起こり、ビルが爆破され、犯人は黒の組織なのか?――という、黒の組織が登場してくることがミステリ的に意味がある唯一の作品じゃないでしょうか。最高傑作の1つです。

 犯人の動機はやっぱり美学系ですが、手掛かりの出し方がレベルが上がっていて、完成度がぐっと高くなっています。そして最後の爆破シーンがものすごく盛り上がりますね。

――ずっと気になっていたんですが、なんでコナンの劇場作品ってよく建物が爆破されるんですか?

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 …………(3分間の沈黙)。基本爆破しますよね。倫理的にやばい殺人犯は出せないから、犯人のすごさを爆発の規模で示してるんじゃないですかね……。本作は哀ちゃんの「重力加速度9.80665メーターパーセックの二乗」というセリフがコナン史上に残る名言。「実際はそんな言い方しねーよ!」と突っ込みたくもなるんですが、みんな必死になって覚えてマネしてましたよね!

――みんなって、誰ですか?

 コナンファンみんなだよ!(怒)

ベイカー街(ストリート)の亡霊

 仮想世界に入り込める次世代ゲーム機「コクーン」。その試遊会に集められた50人の子どもたち。ところがAI「ノアズアーク」によってコクーンが乗っ取られ、人々はゲーム内での死=現実の死になってしまう……。19世紀末のロンドンに飛ばされたコナンがジャックザリッパー発見のために奔走する一方で、現実世界では開発者が殺された事件の謎を工藤優作が解く、というやや複雑な構成。世間的には評価が高い作品です。

――次世代ゲーム機に閉じ込められるという話は、最近だと「ソードアート・オンライン」のイメージが強そうです。2002年公開時点ではかなり新しい発想だったと思うんですが、この作品のイメージ元ってどこなんでしょう?

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 なんだろう……。「クリス・クロス 混沌の魔王」なんかもそういう話ですけどね。でも脚本の野沢尚さんはミステリも書いているけど、普段の作風とは違うので、確かに不思議です。本作はミステリ作家が書いたにしてはひどいところがあって、犯人の特定プロセスがないんです。ただ、本作は犯人が誰だか視聴者には最初から分かっているいわゆる「倒叙もの」なので、「視聴者には自明だし」とはしょったんだと思います。ジャックザリッパーの特定についてもけっこう雑です。ミステリというより冒険ものですね。

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