コラム

自転車への異常な愛情 または私はいかにして「ロードバイク大好きオジサン」となったか?(前編)(1/2 ページ)

自転車沼にハマった人からの告白。

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 分かる人には分かるけど、分からない人にはチンプンカンプン。それが趣味の世界。

 ロードバイクというスポーツ自転車の魅力に取りつかれ、自転車沼にハマって出られなくなってしまう人間がどのようにして生まれるかのメカニズムを前後編の2回でお届けする。

 本記事を読み終わる頃には、あなたもロードバイクが欲しくな~る、欲しくな~る……。

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好きすぎて、寝室でも漕いでます

自転車=人類最強エンターテインメント説

 筆者は、プライベートのほぼ100%をつぎ込む「超」のつく自転車バカである。ヒマさえあればサドルにまたがる。年間走行距離は8000キロ。毎週150キロペースで乗っている計算になる。クルマの年間走行距離が1万キロなので、もうすぐ抜くと思う。

 「サイクリングって何が楽しいの? 疲れるだけじゃないの?」

 といわれることが多い。自転車に興味のない人にはただの苦行に見えるようだが、とんでもない誤解。苦行どころか、楽しさしかないスポーツだ。個人的には人類最強のエンターテインメント説を唱えているくらい。

 サイクリングの楽しさは、その「多様性」にある。ドライブ、登山、スキー、食べ歩き、観光旅行の要素が全てオールインワンで入っている。例えば家から50キロ離れた山に登って帰ってくる……という100キロツーリングを例に取ると、

  • 家→山(ドライブ)
  • 山を登る(登山)
  • 山を下る(スキー)
  • ランチやオヤツ(食べ歩き)
  • きれいな景色を眺めたり、神社仏閣に立ち寄る(観光)
  • 山→家(ドライブ)

 となる。

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 オールインワンになっているゆえ、総合力で単体のエンタメに勝る。家から出発した瞬間から帰宅するまで、ずっと楽しい。楽しさの密度が100%。スキーや登山等は移動時間から逃げられないし交通費もかかる。サイクリングにはそれがない。電車やバスに揺られている間や、渋滞で足止めを食らっている間にも、サイクリストはエンジョイしているのだ。しかも道路の使用料は無料。この差は果てしなくでかい。

 お菓子のトッポに置き換えると、途中までしかチョコが入っていないのが(少なくない移動を伴う)登山やスキーや観光旅行その他。一方、端から端までチョコがみっちり詰まったのがサイクリング。どこから食べてもおいしい。常にチョコが待ち構えている喜び。うまさの密度がヤバい。


あ、もちろん、ポッキーの部分もおいしいのですが、あくまで「モノのたとえ」です

 サイクリングは、移動さえもがエンタメ。いや、移動そのものがエンタメなのだ。出発から帰宅まで、楽しみが途切れない……これこそがサイクリングの醍醐味。北斗の拳のケンシロウ風に言わせてもらうならば、

 「お前はもう、楽しんでいる……!」

 サイクリングは人類最強エンタメ。幸いにして、サイクリングは一子相伝ではなく、誰もが楽しめる。さあ、今週末に自転車ショップをのぞいてみよう。

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通勤さえもめっちゃホリデー

 移動そのものが楽しいと、次に何が起きるか。「通勤に使い始める」という現象が起きる。

 筆者は、天気の良い日は川口市の自宅から五反田(職場)まで片道27キロを自転車通勤する。往復54キロ。54キロという距離がイメージにしくいだろうから、東京駅から半径50キロの円を描いてみた。

 直線で、東京駅から横須賀市をちょっと越えたくらい。つくば市にはやや届かない。成田市はぴったり50キロほど。


半径50キロの円です

 「仕事の前に自転車に乗るなんて狂ってない? 汗だくになるし、疲れるじゃん。仕事に影響するんじゃね?」

 ……と思うかもしれないが逆だ。満員電車に揺られて立ちっぱなしのほうがむしろつらい。都内に通勤する人は容易に想像がつくだろう、通勤ラッシュ時の各線の殺人的な混み具合を。赤の他人と押し合いへし合いし、カバンを胸に抱え、たまに脚を踏まれ、しかし相手が誰か分からないしおたがいさまなので文句もいえず、ただ一刻も早く解放されることのみを祈るつらさを。

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既に憂鬱

 朝、赤羽駅のプラットフォームで埼京線を待ち、既にパンパンに人が詰まっている車両がやってくるのを「うわ、この中に入るのかよ……」とうんざりしながら眺めるほうがよほど疲れる。


朝からゲンナリ

 いいですか、自転車通勤ならドアツードアで座れるのです。ちょっとばかりペダルを漕ぐ必要はあるけど――なーに大したことはない。適度な有酸素運動になるので気分はリフレッシュされ、朝飯はうまく、仕事ははかどる。いいことづくめ。

 朝、早起きしてサーフィンしてから通勤……なんてスタイルがあるが、それに似ている。違うのは、サーフィンしても職場には近づかないが、自転車通勤ならアハハハハハと楽しんでいるうちに、気付いたら「あ、もうオフィスか」となる。

 仕事が終われば自宅まで約1時間半。憂鬱な電車とバスではなく、気持ちよく走って帰ることができるので、じつは自転車通勤は帰宅さえもが楽しみ。通勤が楽しみになるなんて、むっちゃ一挙両得ではないか。「通勤をこんなに楽しんでしまっていいのだろうか……」という背徳感さえ覚えてしまう。

 サーファーの方に想像してほしいのだが、サーフィンで通勤できたら最高じゃないですか? 波に乗って職場に行き、波に乗って帰宅できたら……めっちゃパラダイス。自転車通勤がそれである。

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 夏場は確かに汗だくにはなる。タオルと着替えは必須。あとは汗拭きシートがあればOK。スーツ着用がマストだと長距離運転は厳しいし、そもそも自転車通勤を禁止している職場もあるので自由意志で始められない難しさはあるけど、規定されていなければ、総務に掛け合ってみてもいいと思う。


※今の勤務先は自転車バカが多いので、非常に助かっている

体力に自信ない人にこそ自転車はオススメ

 ここまで読んで、「やれやれ……自転車ってのはつくづく体力バカどもの趣味だな。非力なオレ(ワタシ)には関係ない……」と思ったかもしれないが、待ってほしい。自転車は体力に自信のない人にこそ始めてほしいスポーツなのだ。

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