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深い無意識の喜びに満ちた世界へご招待、シンボルとサウンドだけで意思疎通するオープンワールドのMMO雰囲気ゲー「Meadow」週末珍ゲー紀行

認識の木の実を貪った者の末裔にとっては神になるより困難な世界。

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 世の中にあふれる“変なゲーム(珍ゲー)”を紹介する「週末珍ゲー紀行」。第6回はオープンワールドで野生動物になって走り回るだけのゲーム「Meadow」を紹介します。本作は、感情表現やシンボルだけで他のプレイヤーとコミュニケーションを図るというワイルドなゲーム性が脚光を浴びた昨年(2016年)のゲームですが、SNSで話題が再沸騰しているこの機会に、あらためてユルくてふわっと癒される魅力を伝えたいと思います。

ライター:Ritsuko Kawai

カナダ育ちの脳筋女子ゲーマー。塾講師、ホステス、ニュースサイト編集者を経て、現在はフリーライター。下ネタと社会問題に光を当てるのが仕事です。洋ゲーならジャンルを問わず何でもプレイしますが、ヒゲとマッチョが出てくる作品にくびったけ。Steamでカワイイ絵文字を集めるのにハマっています。趣味は葉巻とウォッカと映画鑑賞。ネコ好き。

 ゲーム開始時、あなたは子どものアナグマです。ストーリーも目的もありません。最大50匹のプレイヤーが野生動物として放り込まれた箱庭の中で、野山を駆け回ったり、お花をつんだり、木の実を食べたり、お昼寝したり。自我を持たない神の領域に浸るだけ。個体名すら持たない動物なので、他のプレイヤーの名前も表示されなければ、もちろん言語で意思疎通を図ることもできません。使えるのは数種類の感情表現と、行動目的をやんわり示唆するシンボルのみです。あとは動物に応じた鳴き声を発するくらい。

 はじめはアナグマしか選べませんが、フィールドのあちこちに点在するお花や木の実、アーティファクトに触れるたびに得られるエッセンスを集めれば、カエルやウサギ、ヤギといった他の動物がアンロックされていきます。同様にエッセンスの量に応じて感情表現やスキンのバリエーションも豊富になります。アーティファクトの中には一定数以上の群れを成していないと入手できないものが多く、こうしたアーティファクトは通常より多くのエッセンスが得られます。他の動物たちと群れれば群れるほど、必然的にできることが増えるというわけです。

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初めて別の個体と出会った時の感動
いつのまにか仲間が増えていく

 特筆すべきは、コミュニケーションにシンボルやサウンドしか使えなくても、私たちはかなり正確に意思疎通できるという点です。他の個体に出会った時には誰に教わっただけでもなく飛び跳ねたり鳴いたりして喜びを分かち合い、群れで移動する際には誰かが遅れないようにアイコンで確認をとり、そしてアーティファクトを視認するたびに進行方向を群れで共有するプレイヤーたち。そこにはあらかじめ定められたルールなどなく、それぞれのシンボルの意味すら暗黙のうちに理解し、いつの間にか使いこなしているのです。

 種族も自我も脱ぎ捨てて共に野山を駆け回るうちに、動物たちの間に言葉にできない親近感が生まれていることに気が付くでしょう。それこそが、私たち人間が現代社会で到底味わうことのできない原始への回帰であり、ペットが心理的に与える影響にも似た大自然の癒やしです。もちろん食物連鎖も縄張り争いも天敵の存在もないという条件下ではありますが、非言語的なコミュニケーションツールだからこそ実現できる平和とも言えます。もしチャット欄を備えていたら、行き先を巡って必ず中の人がケンカを始めるでしょうから。

みんなで仲良くお昼寝の時間
群れで協力して大きなご褒美

 この「Meadow」はもともと、オオヤマネコやアナグマになって大自然を生き延びるサバイバルゲーム「Shelter」シリーズや、ネコになりきるアクションゲーム「Paws: A Shelter 2 Game」の世界観を、開発元のMight and DelightがMMOとして再構築した作品です。そういう意味で298円という価格の本作は、同社の別製品をカジュアルに宣伝するためのツールといえるかもしれません。ちなみに、既に他のタイトルを所有しているプレイヤーは過去作品に登場したユニークな動物も使用できます。また、ゲームのサントラを購入すると特別な音響能力が利用できるようになります。

 発売から1年が経過したタイトルとはいえ、時間帯やサーバによってはいまだに200人近いプレイヤーが同時にアクセスしています。デートスポットに必ず動物園を選ぶくらい生き物が大好きな人はもちろん、仕事や恋愛で人生に疲れ果てた人、言葉ですらうまく伝わらない人間のコミュニケーションに嫌気が差した人、真面目に人間を辞めたいと考えている人にはぜひおすすめです。何も考えずに鳴きながら飛び跳ねているだけで必ず癒されること間違いなし。あなたも自己意識の強い生物が決して感じることのできない、深い無意識の喜びに浸ってみてはいかがでしょうか。

Ritsuko Kawai

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