コラム

「面倒でも手書きするべき」「ありきたりな趣味はNG」 履歴書の“ルール”が本当なのか専門家に聞いてみた(1/2 ページ)

まことしやかに主張されているけど、その通りにしないと落ちるの?

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 就職活動を始めると耳にする、履歴書の書き方にまつわるうわさ。「『読書』『映画鑑賞』のようなありきたりな趣味、特技は不利」「面倒でも手書きすると好印象」など、さまざまな話を聞きます。

 いまいち理由が分からない情報でも、内定が欲しい一心でとりあえず従っている人が多いのではないでしょうか。筆者も「履歴書って、何でこんなに決まりごとが多いんだろう……」と頭を悩ませた覚えがあります。

 しかし、こういった履歴書のノウハウは、どこまで本当なのでしょうか。就職活動に詳しい就職情報会社ディスコの松本あゆみさんに取材して、真偽を確かめてみました。

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松本あゆみ

株式会社ディスコ キャリタスリサーチ 研究員

新卒採用マーケットを中心に就職・採用に関する調査・分析を実施。新卒就職支援サイト「キャリタス就活」の会員から「就職活動モニター」を組成し、学生の就職活動状況や内定率などを定期調査。また、新卒採用を行う企業を対象とした調査も行う。

履歴書は手書きするのがベター? → ×

 履歴書はパソコンでも作成できますが、よく「手書きした方が良い」といわれます。筆者がネット上で調べた限りでは「新卒の場合は手書きが基本」と断言していたり、「手書き、パソコン作成のどちらを好むかは企業によって異なるから使い分けよう(ただし、そのための企業の見分け方はあいまい)」と書かれていたり、情報がマチマチ。……結局、どうすればいいんですか!

手書きだと、採用担当者からの評価を良くなるといわれていますが……

 この問題に散々悩んだ挙句、「採用してもらえる可能性が増すなら、手間がかかっても仕方ない」と履歴書を1枚1枚手書きした経験がある人も多いのでは? しかし、実際にはそこまでややこしく考える問題ではなく

  • 企業側が、履歴書のフォーマットを用意していればそれに従う
  • 手書き、パソコン作成に関する指示がない場合は、どちらでもよい

 この2点に気を付ければよいそうです。要するに、頭を悩ませずに、言われたことを言われた通りにやれば問題ないというわけです。

履歴書の「手書き至上主義」は、非効率を尊ぶ日本企業のせい? → △

 「履歴書を手書きする人が多い」という話が「日本企業は労力のかかっているものを尊ぶ傾向がある」と、労働文化のあり方にまで広がることがあります。特に何十社もエントリーするのが当たり前になっている新卒採用では、就職活動が学業の負担になっていると指摘されることも。

「就活が大変なのは、日本企業がブラックだから」と説明されることも

 しかし、「『手書き至上主義』の原因が全て企業側にあると考えるのは難しい」とのこと。

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 「書き文字の方が人となりが分かる」と考える企業は確かに存在。しかし、新卒に関して言えば、そもそも学校指定の履歴書自体が手書きを前提としています。就職支援をしてくれる学校から提供されるツールも、デジタル化が不十分なのです。

 最近では、履歴書の写真をネットでアップロードできるようにしている企業も増えており、さらにデジタル環境が普及すれば、データ処理の都合から履歴書のパソコン作成が一般化する可能性もあるとか。

学歴は新卒なら中学卒業から、転職なら高校卒業から書く? → ×

 うわさでは、学歴を書くときにはいくつかのルールがあり、新卒の場合は中学卒業から記入すべきで、転職の場合は高校卒業から、といわれています。また、実際にそのように記載している人も多いそうです。

 しかし、松本さんによれば「まだ大学を卒業しておらず業務経験がない新卒は、学歴・職歴欄に空白ができやすい。そこで『白いところは少ないほうがいいのではないか』という心理から、学歴を長く書いているだけではないか」とのこと。面接する側にとって重要なのはその人の経歴(この場合は通った学校、留年、浪人の有無など)のため、新卒が高校卒業から書いても問題ないそうです。

 ちなみに、履歴書には新卒用、転職用があり、校章などが入っている学校指定のものは新卒用。学歴・職歴欄が小さめにできており、そもそも空白ができにくいつくりになっているとか。

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2級以上の英検、漢検は書くと絶対にプラスになる? → ×

 一般的に「2級以上の英検、漢検は資格欄に書くと、プラスに評価される」といわれていますが、これはどこまで正しいのでしょうか。

 両資格とも2級は高校卒業以上の難易度で、松本さんによれば業務内容によっては不十分な能力とのこと。英語をバリバリ使う外資系企業を受ける際に、英検2級と書いてしまうと「その語学力では使えない」とかえって落とされる可能性があるそうです。

漢検2級は「常用漢字が全て読み書き活用できるレベル」。高校卒業でもこの水準に該当(Webサイトより)
英検2級の難易度も「高校卒業程度」。ちなみに、日本英語検定協会によれば、準1級まで行くと「実際に使える英語力」として評価されるそうです(Webサイトより)

資格はたくさん書いたほうがいい? → ×

 「資格はとにかく持っているだけ全て書いた方がいい」という意見と「絞ったほうがいい」という意見がありますが、この点についてはどうなのでしょうか。

 資格をいくつも書いていると、かえって「自分に自信がない」「数で面接を有利に進めようとしている」と見られ、マイナス評価になってしまう可能性があるとか。級の高いもの、業務に関係のあるものに絞るのが良いそうです。

 「資格マニアの場合はどうしたらいいんですか?」と質問してみたところ、趣味・特技欄でアピールするべきとのこと。「資格取得」と書き、面接の際に「雑学が好きで、資格を取得しました」など資格マニアになった理由を話すなどすれば、自分をアピールできるといいます。

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