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「面倒でも手書きするべき」「ありきたりな趣味はNG」 履歴書の“ルール”が本当なのか専門家に聞いてみた(2/2 ページ)

まことしやかに主張されているけど、その通りにしないと落ちるの?

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趣味・特技欄に「読書」「映画鑑賞」のようなありきたりなことを書くのはNG? → ×

 学歴や職歴、志望動機とは異なり、仕事との関連性が弱い趣味・特技欄。余暇をどう過ごすかというプライベートな問題ですが、「読書」「映画鑑賞」「音楽鑑賞」などありきたりなことを書くと、採用担当者からの印象が悪くなると言われています。本当にこれらが好きな人は、何を書いたらいいんだろう……。


履歴書にまつわる就職活動のうわさって本当? 仕事を見つけようとした結果、趣味に悩んでしまう人は多いようです(Google検索より)

 松本さんに伺ったところ、「よくある趣味=面接に通らない」という話にはならないとのこと。履歴書は、書類選考から一次面接、二次面接……と繰り返し使用され、さまざまな価値観を持った人が目を通します。それを意識して「嫌がられることがないように、無難なものを書く」という意味では理にかなっているそうです。

 そもそも趣味・特技欄は合否を大きく左右するポイントではなく、面接官によってはまったく触れられないことも。しかし、面接開始時に「あ、君は○○が趣味なんだ」とアイスブレイクに使われる場合があるといいます。

 つまり、「初対面である面接官と志望者の会話を、スムーズに始めるきっかけ作り」のような意味合いがあるというわけです。そのため、面接官が質問しやすいように、単に「読書」とするだけでなく、カッコ書きで好きなジャンルなどを記載すると良いとのこと。

「鉄道好き」と書くと、鉄道会社に入れない? → ×

 「鉄道会社は、基本的に鉄道オタクを採用しない」といわれており、このうわさに触れた記事がいくつも出てきます。好きになってしまうと働かせてもらえないとは厳しい話ですが……本当なんですか?


履歴書にまつわる就職活動のうわさって本当? 厳しい世界(Google検索より)

 「本当の原因は、趣味・特技欄に鉄道好きと書くことではなく、『趣味としての鉄道』『仕事としての鉄道』が噛み合わないことなのではないか」と松本さん。例えば、「電車にたくさん乗りたい」「美しいから写真を撮りたい」といった気持ちは、「正確、安全に運行する」という鉄道会社の業務とは無関係。もし、それを志望動機にしてしまうと、企業側の意図とマッチングしないため、内定が出ないというわけです。

 もちろん、趣味を仕事にしようとすると絶対に採用されないというわけではなく、IT企業のプログラマ採用枠に「趣味:プログラミング」とした履歴書を提出すると「趣味として好きなこと」「仕事で大事なこと」が合致してうまくいく場合も。

 ただし、その企業が「プログラマとして経験を積んだ後、マネージャーになってもらいたい」と考えている場合は、プログラミングに加え、コミュニケーション能力がある人材が求められるため、話が別。企業が求めている人材像をしっかりと把握する必要があるようです。

ギャンブル、アニメ、漫画好きはマイナス評価? → △

 アニメ関連の企業を受ける際に、アニメ好きであることをアピールするのは自然なことですが、これは極端な例。一般的には「万人受けしないギャンブルや、マニアックなアニメや漫画のようないわゆるオタク的な趣味は書くべきではない」と言われています。

 しかし、そういった趣味に理解のある社風の企業もあり、「一概には言えない」というのが実際のところで、「空気を読む能力も必要」だそうです。新卒の場合、履歴書を提出する前に、会社説明会などで社風、業務内容を知る機会が得ることが可能。そこで得た情報をヒントに、履歴書の書き方を考えるのが良いのでは、とのこと。

多趣味だと「遊び人だから仕事しない」と思われる? → ×

 ネット上には「趣味がたくさんある人は『遊び好きで、仕事しない』と思われるから、履歴書に書いてはいけない」といううわさが。これについても質問してみましたが、「多趣味=就職に不利」と直結させるのは誤りとのこと。むしろ、視野が広く、アクティブな人と好印象を与える可能性もあるといいます。


履歴書にまつわる就職活動のうわさって本当?

 ただし、面接官は「履歴書に書かれているからには、その趣味に精通していて、きっと自分の知らないようなことを知っているだろう」と考えるもの。広く浅く楽しんでいる多趣味な人がこのような期待に応えるのは困難ですが、履歴書にはあえてそのまま「多趣味でいろいろなことをしています」と書く手があるそうです。なお、「飽き性」と思われるリスクを回避したい場合、新卒なら「今後は一つを深めます」などのフォローを入れたほうがいいとのこと。


 履歴書にまつわるうわさについて伺ったところ、「企業による」「どうせ書くならこうした方がいい」のような条件付きのものもありますが、9項目中7つが「×」という結果になりました。よく考えてみれば、世の中にはたくさんの企業があり、それぞれに異なる価値観を持っています。「履歴書はこう書かないと落とされる」という画一的なノウハウが、明確に存在すると思う方がおかしいのかもしれません。

 就職活動は、その後の人生を決定する大きなイベント。まことしやかにささやかれている“ルール”に従えば比較的簡単に自分なりの指針を持つことができますが、「周囲と同じことしか言えない人」になってしまうのも事実。なぜ“ルール”があるのか、どうしてそうしなければならないのか、ちゃんと理由を理解したうえで企業と対話できる環境が整ってほしいものです。

マッハ・キショ松

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