連載

「分裂」する現代クイズ番組と、『高校生クイズ』35年目への挑戦 ~『国民クイズ2.01』としての現代クイズ概論~(6/9 ページ)

2度優勝の筆者が分析。

advertisement

第37回は「融合への挑戦」だ

 さて、ようやく本題に入るぞ。

 今年の第37回は、視聴率的には失敗の領域に入るだろう。9%、歴代でもワースト3に入る成績だ。

 一回戦では多くの高校がほとんど画面に映らず。海外進出チームでは、新潟高校の男女ペアをやれカップルだと何度もイジりつつ、同じく男女ペアの栄東高校などは勝ち残っていたにもかかわらずほぼ全スルー。決勝も白熱の様相ではあったが、開成高校の不自然な誤答など、ツッコミどころがあったことも否めない。

advertisement

 放送後の各所における意見などを見ていても、「どこかかみ合っていない」「不自然さの残る」番組だったといえるのではないだろうか。

 そしてこれらの要因の背景には、「エンタメ」と「スポーツ」の混線があると僕は考える。

 高校生たちの青春模様を映す、移動を伴うバラエティ感のある企画で進めるという「バラエティ」要素と、明らかにレベルの高い問題をスラスラ解いていく高校生という超人ショー的な「スポーツ」要素が、番組内には混在していた。ウォータースライダーを滑り降りた先の早押しボタンを押す形式で、出題される問題が「ピトフーイ」である。毒を持つ珍しい鳥類の名前……なのだが、明らかに一般的ではないだろう。

 つまり、「エンタメ型」クイズにおける「正解する」「教養を蓄える」「会話する」という喜びが中途半端に殺されてしまった状態のように思えた。

 もちろん、形式の面白さは過去の『高校生クイズ』の人気ルールを使ったこともあり、エンターテインメントとして成立していただろう。しかし、ガチンコな問題や高学歴高校生集団といった「スポーツ型」の要素が混線していることによって、視聴者にはその形式の遊びが雑味に感じられてしまう(先に紹介したような否定的な意見はこれに起因しているといえる)。

advertisement

 結果として、どちらの立場にも立てぬまま、番組が流れていってしまったように思えた。

 ここまで、一方的に『第37回高校生クイズ』の気になる点を挙げてきた。良い点も多くあったが、そうでないところを集中的に挙げた。

 しかし、こう視点を変えてみてはどうだろうか。

 すなわち、この番組は「『World Quiz Classic』などで以前から行われていた、エンタメ/スポーツ両者の統合の試みであった」と。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

記事ランキング

  1. 互いの「素顔を知ったのは交際1ケ月後」 “聖飢魔IIの熱狂的ファン夫婦”の妻の悩み→「総額396万円分の……」
  2. ドクダミを手で抜かず、ハサミで切ると…… 目からウロコの検証結果が435万再生「凄い事が起こった」「逆効果だったとは」
  3. 人生初の彼女は58歳で「両親より年上」 “33歳差カップル”が強烈なインパクトで話題 “古風を極めた”新居も公開
  4. 妻が“13歳下&身長137センチ”で「警察から職質」 年齢差&身長差がすごい夫婦、苦悩を明かす
  5. 「明らかに……」 大谷翔平の妻・真美子さんの“手腕”を米メディアが称賛 「大谷は野球に専念すべき」
  6. 高2のとき、留学先のクラスで出会った2人が結婚し…… 米国人夫から日本人妻への「最高すぎる」サプライズが70万再生 「いいね100回くらい押したい」
  7. 「腹筋捩じ切れましたwww」 夫が塗った“ピカチュウの絵”が……? 大爆笑の違和感に「うちの子も同じ事してたw」
  8. “膝まで伸びた草ボーボーの庭”をプロが手入れしたら…… 現れた“まさかの光景”に「誰が想像しただろう」「草刈機の魔法使いだ」と称賛の声
  9. 「ごめん母さん。塩20キロ届く」LINEで謝罪 → お母さんからの返信が「最高」「まじで好きw」と話題に
  10. 「2度とライブ来るな」とファン激怒 星街すいせい、“コンサート演出の紙吹雪”が「3万円で売買されてる」 高値転売が物議