唯一無二の和風RPG「俺の屍を越えてゆけ」を3倍楽しくプレイする方法:芸人ヤマクエの「俺のゲーム愛を笑うな」(2/2 ページ)
「子供たちよ… 俺の屍を 越えてゆけッ」
僕の場合は当時僕をいじめていたやつの名前を付けて、イケメン、美人ぞろいの神様キャラクターの中から、なるべく人の形をしていないキャラクターと交神させるプチ嫌がらせをしたり、無駄に奥義を使わせまくって健康度を損なうようにしたり、常に前衛に立たせてみんなの盾にしたりして楽しんでいましたが、そのうちに「自分は一体何をしているんだろう……。彼(彼女)だって立派な一族の一員じゃないか……」と惨めな気持ちを感じることができました。遠回りではありますが、僕はそうすることで全てを許せる博愛の精神、四海兄弟の心を養い、器の大きな人間へと成長したのです。戦いの中で成長するのは、ゲーム内のデータだけではないんです。
その2「交神の儀を行う神様の決め方」
「俺屍」では、交神するときに神様の持っている遺伝情報と一族の持つ遺伝情報から子どものパラメータが決定されます。しかし、いくら能力が高いからといって似たような特徴の神様と交神してもあまり意味はなく、一族の弱点を補うような神様を選ぶようにするととても効率よくプレイできるようになっています。が、それではただの「ゲーム」にすぎません。大事なのはここから。
僕はこのゲームに自分や他者の「人生」を投影しているので、データの数値を高めていくことをキモにしていません。育ててきた一族は、いわば自分の子どもたち。そんな子どもたちが人生で交神ができるのは、プレイスタイルにもよりますが、せいぜい1回か2回。交神は結婚相手にも等しい重要なパートナーなのに、数少ない交神相手を「能力が高いから」「効率が良いから」などという理由で、明らかに人外なモンスターと交神させるのはあまりにも酷(いじめっ子のキャラにはやったけど)ではないでしょうか。彼らにも好みのタイプとか絶対あるはずなんですよ。絶対。次に生まれてくる子どもの親になる人ですから、ときには「顔がタイプだから」くらいの大胆さで決めるのもアリです。かわいい神様も多いので。
交神のときにもう1つ重要なことがあります。それは、誰がどの神様と交神したのかを忘れないこと。これは同じ神様の能力を受け継いでしまうことを防ぐことにもつながりますが、そんなことはどうでもよく、「自分のパートナーは実は祖母にあたる人(神)だった」といった交神相手が近親者だったという悲しい事故をなんとしても防いでほしいからです。
その3「遺言をかみしめて保存すべし」
一族の誰かが死を迎えると、その子が生前に挙げた戦果が年表のようにスクロールで流れ、「遺言」を遺して(声優さんによる読み上げあり)天国へ旅立って逝きます。この遺言のパターンは数百種類あり、全てを網羅するには相当な時間を要します。それだけこだわり抜かれた遺言の数々を、そのまま流し読むだけなんてもったいないし、この遺言は自分の家族が遺したもの。しっかりと心に刻まなければいけません。
ちなみに僕のプレイ時には、自分の母親(の名前をつけた女の子のキャラクター)の遺言で「私は役に立ったかい?」と聞かれて本当に涙が出ましたし、その足で母親に「ありがとう」と言いに行きました。「はぁ?」と言われただけでしたが。
また、遺言を保存しておけば、物語を進めたときに「そういうことか!」と納得できる部分も出てきます。遺言や細かな会話の中にも実は伏線がちりばめられているのです。
以上3点に留意しながらプレイすれば、より深く「俺屍」を味わえるかと思います。このゲームは感情移入すればするほど楽しめる上に、人生観がグッと変わりますので、未プレイの人も既プレイの人も、上記3点を踏まえた上で朱点童子を討伐してください。
現在はプレイステーション版のリメイクとしてPSP版が出ており、こちらではグラフィックの向上、ロード時間の短縮、さらに遺言の種類もプレイステーション版のほぼ倍近くまで増量しています。ゲームとしての粗かった部分が改善されているので、今からやるのであればできればPSP版でのプレイをおすすめしております。
皆さまぜひこの機会にプレイして、僕の屍を越えていただければと思います。
(C)1999-2011 Sony Interactive Entertainment Inc.
(ヤマグチクエスト)
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