編集者との関係は? 現地の漫画家に聞くドイツ漫画家事情(2/2 ページ)
ドイツ初の女性漫画家クリスティーナ・プラカさんを訪ねてきました。
漫画家と編集者の関係は?
日本では漫画家と編集者が協力して作品を作り上げる場合がよく見られますが、ドイツではどうでしょう。プラカさんはあくまで自分の場合はと前置きしたうえで、編集者からサポートはあるが基本的に自由に描かせてもらっていると答えてくれました。
「まずキャラクターを考えてネームを作ります。日本だとネームの提出は複数回にわたることもあるようですが、ドイツだと1度きりです。編集者の意見が自分の作品に影響を及ぼすのは、あまりよくないと考えています。ただし、他の漫画家は編集者からコメントやアドバイスをもらっているケースもあるかもしれません」
編集者の知見は作品をヒットさせるためには一見役に立つように思えますが、描き手にとっては必ずしもプラスにならないようです。
漫画を学ぶ若者たち
プラカさんの漫画教室は月謝制で3つのレベルに分かれて授業を開講しています。生徒の年齢は10代前半から20代後半。好きな作品は「東京喰種トーキョーグール」「コードギアス」「セーラームーン」など。生徒たちに目標を聞いたところ、「ストーリー漫画を描くこと」「出版社に持ち込む前に教室で作品を3~4点完成させて経験を積みたい」「ドイツ国内を舞台にした漫画を描きたい」「3Dグラフィックの制作に生かしたい」「アニメを作りたい」などさまざま。皆さんの目が輝いていたのがとても印象的でした。ちなみにレベル1の初級とレベル2の中級はワークショップ形式で学びますが、上級のレベル3はアドバイスが中心となるそうです。
ドイツの漫画家の未来とは?
最後に、ドイツにおける漫画家の未来を聞いてみました。
「将来はどうなるか分からないが、願いはあります。それは、ストーリー漫画の普及です」
現在のドイツにはストーリーと漫画の描き方が十分に伝わってないのではとプラカさん。漫画という日本のメディアを利用しストーリーを語る楽しさを伝えていきたい、と未来への豊富を力強く語ってくれました。
ドイツ活躍する漫画家は、ストーリー漫画を制作する一方で漫画の先生としても活動していました。そして、そこには明日のデビューを目指す若者も。日本風のストーリー漫画という表現手法がドイツに根付き、ドイツ人によるドイツを舞台としたドイツ人向けの作品が今後は増えるかもしれません。
筆者紹介
Kataho:ドイツ、フランクフルト在住のアニメ・ボカロ好き。日本文化を通じたドイツと日本の交流に興味があり、ドイツ各地の日本イベントに参加(Twitter:@sakaikataho)
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