海外でも広がるボカロ ドイツのボカロ事情を探る(1/2 ページ)
ポップカルチャーとして受け入られるAHS、ハイカルチャー分野で注目される初音ミク。ドイツのボカロ事情を紹介します。
ドイツでは今年に入り、ベルリンで2度ボーカロイド(ボカロ)イベントが開催され、また複数の主要な新聞がボーカロイドを取り上げるということがありました。日本国内ではボカロのライブコンサートに加え、ニコニコ超会議で実施された「超歌舞伎」のような伝統文化との実験的なコラボも進んでいますが、そうしたボカロの広がりは実はドイツでも起きています。
本稿ではAHSのライブコンサートの模様と初音ミクに関連する動向をまとめ、ドイツにおけるボカロ事情を紹介してみたいと思います。
「知名度が格段に上がった」
ベルリンで6月3日に、「結月ゆかり」などのボーカロイドを開発販売するAHSによるコンサート「AHSボーカロイドコンサート そんらぶ! -Songs Love-」(以下「そんらぶ」)が開催されました。会場はアニメファン向けイベント「Anime Messe Berlin (アニメメッセ・ベルリン)」(主催:アニメ文化協会、6月3〜5日)、ホールには500人のファンが訪れ満員になりました。
「そんらぶ」は初音ミクのコンサート同様、透過スクリーンにプロジェクターで3D映像を映し出す形式で行われました。結月ゆかりや「東北ずん子」などのキャラクターがそれぞれ歌を披露し、日本から招待ゲストとして参加した声優の石黒千尋さんが「caged girl」などを歌いました。石黒さんは結月ゆかりの声を担当した人でもあります。
コンサート後半は、結月ゆかりと石黒千尋さんとのデュエットが実現。さらに、歌い終わった後に2人が掛け合いするパートがあり、ステージを去る石黒千尋さんを惜しむ結月ゆかりの「演技」では会場からも大きなため息が漏れるなど、ハイライトのひとつとなりました。
コンサートの印象は
AHSは昨年の夏、同じドイツ語圏であるオーストリアのウィーンでコンサートを行っています(関連記事)。その時に続いて、今回も尾形友秀代表に話を聞くことができました。
コンサートの印象について尾形代表は「会場のノリがとてもよかったです」とコメント。歌愛ユキの「かわいい」ダンスには、予想を上回る反応があったそうです。今回のコンサートは、セットリストは2月に日本で行ったライブと半分は同じで、構成はほぼ同じ。後半の石黒さんと結月ゆかりのコラボパートは、日本では泣いたり感動したりといった反応があり、ドイツでも同じだったとしています。「日本もドイツも関係ないですね」
AHSがドイツのイベントでボカロを紹介したのは2011年が最初。その後、およそ毎年一度のペースで各地のイベントに参加しています。ドイツでの参加が続いていることについて、尾形代表は「声を掛けてもらっているからです。呼ばれたら行くというスタンスで、たまたまそれが続いているだけです。ただ、ドイツは好きな国でもあるので、個人的にもうれしいです」と話しました。「ボカロの知名度に関しては、例えば2年前(※)と比較すると格段に上がりました」(※2014年にAHSが参加したフランクフルトの日本映画祭ニッポンコネクションのことと思われます)
また、会場でAHSボーカロイドのコスプレをしていた2人の女性にも話を聞いてみました。ベルリンから遠く離れたハンブルクとザクセン・アンハルト州から来たという2人は、コンサートの印象について、心に響くとても素晴らしいものだったと興奮も冷めやらぬテンションで答えてくれました。ボカロ曲は2人とも5〜6年前から聞いているそう。ボカロを知るきっかけは初音ミクでしたが、新しい曲を動画サイトで探しているうちにAHSのボーカロイドにたどり着いたと話しました。
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