「モバマス」が僕らに与えてくれたもの ~かーずSPのソシャゲ狂想曲~:かーずSPのインターネット回顧録(2/3 ページ)
「モバマス」に18万円突っ込んで得たものとは。……え、15万円じゃなかったっけ?
[だらだら妖精]双葉杏でガチャ沼に落ちる
そこからは、スタミナ回復時間に合わせて真夜中に目覚ましをセットして、スタミナを使い切ってまた寝る生活が続き、ズブズブにハマっていきます。ダメ押しで登場したのが、[だらだら妖精]双葉杏というSRカードがもらえるガチャでした。
ロリ属性ではないんですが(歯切れの悪い言い訳)、不真面目なアイドルという斬新さとユニークなキャラ性に転んで、ついに初課金に踏み込んだのです。しかし、引いても引いてもコンプガチャがなかなかそろわない! メアリー・コクランが鬼か悪魔に見えた瞬間でした(※)。
こうして「モバコインを買う→ガチャを引く」を繰り返し、見事ガチャ沼にハマっていった経緯がこちらです。
趣味に使うお金の是非論、ガチャの問題点はどこにあるのか
このガチャでうっかり生活費を越えてしまったので、白米にうなぎのタレを掛けて食べる貧乏飯で過ごしたのも苦い思い出。今考えたら生卵にしておけば栄養バランスも取れたかなって反省してます(そこじゃない)。
このガチャを回している時の心境は、グルグルの目玉になって一種のハイテンションになっている、ギャンブルでなっちゃいけないメンタリティでした。
いや~アホですね! でも趣味というのは往々にして、他人から見れば理解できない、バカバカしいものです。車やバイクを毎年買い換える人や何台も所有する人、頻繁に海外旅行に行く人、レトロ時計を集める人。絵画や庭園、観劇、芸術も、他人には理解できない独特の価値観によって大金をはたいて購入します。趣味を金額で測るのもヤボな話なんですよね。
その上でソシャゲのガチャに問題があるとすれば、熱が入った時の自制心のコントロール(ユーザー側の問題)と、歯止めをかける仕組み(ゲーム運営側の問題)の2つが大きな課題だと思っています。
自制心のコントロールが弱い人は世の中一定数いるわけで、「グランブルーファンタジー」の“9万円分ガチャを回せば好きなキャラがもらえる”という補完措置は、全てのソシャゲに取り入れてほしいところです(9万円が妥当な金額なのかは別の議論として)。
ゲーム内回復アイテムが仮想通貨になっているソシャゲ経済圏
この[だらだら妖精]SR双葉杏は、当時他のユーザーとトレードするときは、スタミナドリンク(ゲーム内で体力回復するアイテム)300~400ほどで取引されていたと記憶しています。それが1年後だか2年後だか覚えてないんですが、ある日、スタドリ30にまで下落していて悲しくなりました。ビットコインかよ~。
まあスタドリも仮想通貨みたいなものですが。と言いますのも、このスタミナドリンクとエナジードリンク(攻撃ポイントを回復させるアイテム)が、他のユーザーとカードを交換する時の通貨代わりになっているんです。例えば島村卯月のレアカード1枚:スタドリ3個を交換するといった具合です(関連記事)。
さらに、他のソーシャルゲームの回復アイテムとの取引もありました。2ちゃんねるの掲示板に「異種間トレードスレ」という情報交換のスレッドが立っていて、例えば「神撃のバハムート」のキュアウォーター3:「モバマス」のスタドリ3、みたいな交換レートが成り立っていました。
人気ゲームほどアイテムの需要が多くて、交換レートは高くなり、買い手もつきやすくなります。つまりゲームを国家に見立てると、回復アイテムは通貨。為替市場と同じ仕組みが成り立っていました。
当時「クラナドは人生、Fateは文学、モバマスは経済」と呼ばれていたゆえんです。
「モバマス」がソシャゲに対する偏見を変化させていった
当時は私に限らず、オタクやSNSを使いこなすネットユーザーであるほど、ソシャゲをバカにして、低俗なものだという認識があったと記憶しています。そのためソシャゲへの課金には、「プギャー情弱w」ってさげすみがデフォルトだったんですね。
でも遊んでみると、キャラクターに愛着が湧きます。渋谷凛はいまだに大好きで、オフィシャルグッズ、フィギュアを購入するオタク活動がずっと続いています。「アイドルマスターシンデレラガールズ」はその後も人気沸騰。CDは全部2枚買いましたし、アニメにもなって一大ブームを築きます。
これは今まで愛してきたマンガ、ライトノベル、アニメやゲームと同じ精神構造で楽しんでるんですね。ソシャゲであろうと貴賎はなくて、私の中でのソシャゲへの偏見は皆無になりました。
これは私だけではなく、「モバマス」はオタクがソシャゲをさげすむ風潮に対して、風向きを変えた大きなきっかけになったと感じています。そして一般層に対しては、その後に登場するスマホゲーム「パズル&ドラゴンズ」が、ソシャゲのイメージを大きく向上させた立役者なのではないかとも思っています。
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