本の取り寄せ用フォーマットを漫画家が設計・配布 注文の負担を軽減することで本を欲しい人に行き渡りやすく
フォーマットに沿って作家が自著の注文用情報を作ってネットに公開すれば、読者はそれを書店員にスマホで見せるだけで取り寄せができます。
書店で欲しい本が見つからないときは、店員に取り寄せを頼む手もありますが、注文にかかる手間は互いに煩わしいものです。その問題を解決できる、本の予約・取り寄せ用フォーマットがTwitterで公開されました。設計したのは、ねとらぼでも『四十七大戦』を出張連載している漫画家の一二三(@hifumix_0123)さん。
一二三さんはまず漫画形式で、読者は書店で欲しい本が手に入らず、作家は著書の発行部数が少なくて一部の書店にしか行き渡らせられないといった出版界の状況を説明。「店頭で買えなかった読者が通販を利用することで書店が減少し、欲しい人が本をさらに買えなくなる」といった事象を、出版不況の原因の1つである「流通ミスマッチ」として問題提起しています。
そこで設計し、無償で公開したのがこのフォーマット。作家が自著のISBNコードなどを書き込んでネットで配布すれば、読者はそれをスマートフォンで店員に見せるだけで、スムーズに注文できます。タイトルや作者名等が正確に伝えられるので、店員が混乱することもありません。
「読者の負担を減らすために、作家さんに使ってほしい」と一二三さん。なお、通販を悪として捉えているわけではなく、予約や読者の開拓を担う役割として書店が機能しにくい状況で、告知の不備で熱心な読者すら取りこぼすことを防ぐのが主な目的だと述べています。
ツイートには、書店員や出版関係者から好評のリプライが多数。書店ではアバウトな注文をする人も少なくないようで、「ISBNコードだけでも伝えてもらえると助かる」といった声が目立ちます。
ツイートが拡散されたのち、フォーマットを利用して自著の告知を行う作家や漫画家が少しずつ現れてきています。一二三さん自身も新刊の告知で実践。さらに、フォーマットに沿った告知を容易に生成できるWebツールまで、有志により開発されました。こうして本の取り寄せが広まって流通が活性化すれば、読者にも作家にも有益になるのではないでしょうか。
(沓澤真二)
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