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美少女ローグライクRPG「オメガラビリンスZ」イギリスで販売禁止措置に 過激な表現による子どもへの影響を危惧

イギリスでは極めてまれな事例。

AUTOMATON
オメガラビリンスZ販売禁止

 Video Standards Council(以下、VSC)は3月12日、美少女ローグライクRPG「オメガラビリンスZ」について、イギリス(およびアイルランド)での販売を認めないと発表した。本作はMATRIXが開発し、D3 PUBLISHERから昨年(2017年)国内でPS4/Vita向けに発売。海外ではPQubeが販売を担当し、今春発売予定となっている。

 VSCは、主にヨーロッパをカバーするレーティング団体Pan European Game Information(PEGI)のメンバーで、PEGIによって年齢区分を与えられたゲームについて、イギリス国内で販売するのに妥当かどうかを審査している民間団体だ。イギリスにはBritish Board of Film Classification(BBFC)という団体があり、映画などメディアコンテンツの対象年齢審査をおこなっているが、ゲームに関しては2012年にPEGIに一本化。その代わり、VSCが一種の追加審査をおこなう形を取っている。

 問題の「オメガラビリンスZ」では、プレイヤーは女学園を舞台にダンジョンの探索やバトルをおこなう。メインのゲームプレイについては正統派のローグライクRPGといえる一方、モンスターを倒すと「ω(オメガ)パワー」がたまり、女性キャラクターの胸部が大きくなったり、効果の分からないアイテムを胸部で挟んで“ギンギンまで刺激”して鑑定するなど、オリジナリティーあふれるゲームシステムも擁している。また女の子の敏感な部分をタッチしたり、じらしたりして興奮させると、スキルの取得に必要な経験値を獲得できる、きわどいイラストを含むミニゲームなどもある。同作の欧州版は、PEGIの審査によってすでに「18歳以上対象」の年齢区分が与えられている。通常であればこれをもとに店頭やPS Storeに並ぶことになり、ほかの欧州各国では実際そうなるだろう。

 VSCは発表の中で、「オメガラビリンスZ」に含まれる上述したような強い性的・ヌード表現について指摘。また舞台を学校とし、登場キャラクターの大半が若い女の子(中には「1年生」という設定の子もいる)である点にも触れ、同作は明らかに子どもを性的対象化していると断じている。また同作のゲームスタイル(ローグライクRPGであることや、アニメ調の見た目の部分のことを指していると思われる)は、18歳以下の子どもをも引き付ける可能性があり、結果的に感受性の高い子どもが同作に触れて、ここで表現されている性的表現が一般的なものであると受け取ってしまうなど、子どもの社会的・道徳的な成長に影響を与え得る深刻な危険が存在するとしている。

 こういった理由により、VSCは同作について審査の承認を拒否するとした。VSCの承認がおりなければイギリス国内ではゲームを販売出来ないため、事実上の発売禁止措置である。販売元のPQubeは、他の欧州各国やアメリカなどでは問題なく発売されるので、同作をプレイしたいイギリスのゲーマーは輸入してほしいと案内している。

 実は「オメガラビリンスZ」は、オーストラリアやドイツでもレーティング審査を通過できず、発売が見送られている。具体的な理由は明らかにされていないが、おそらくVSCが指摘したことと似たような理由だろう。この両国では、これまでに暴力・ゴア表現の高いゲームのほか、例えばオーストラリアでは「ヴァルキリードライヴ ビクニ」が、ドイツでは「ぎゃる☆がん2」といった性的表現の高いタイトルが事実上の発売禁止になるなど、比較的厳しいレーティング審査をおこなっていることで知られ、弊誌(AUTOMATON)でも何度か扱ってきた(関連記事)。

 ただイギリスにおいては、今回のようなゲーム内表現を理由に発売を差し止めることは非常に珍しい。VSCは今回の決定についてプレスリリースを発行しているが、2010年にPEGIの枠組みに加わることを発表したプレスリリースから全て見返してみても、このような事例は今回が初めてである。BBFCがゲームのレーティング審査をおこなっていた時代までさかのぼると、Rockstar Gamesが2007年に発売した「Manhunt 2」を審査拒否した例はあるが、それくらいである(同作はのちに判断が覆され発売に至った)。

「Manhunt 2」

 ではなぜ今回のような判断が下されたのか。海外メディアOne Angry Gamerは、近年一般メディアの間で高まる、ゲーム内での性的表現への糾弾が影響しているのではとしている。「オメガラビリンスZ」のような表現は女性蔑視的であると捉えられる向きが強く、イギリスやフランスでは過去に、ゲームに含まれる注意すべきコンテンツを示すラベルに「Sexism(女性蔑視的・性差別的)」を追加しようという動きもあったという。先日には女性蔑視的だと批判されていたナンパシミュレーター「Super Seducer」のPS4版が、レーティング審査を通過しながら、ソニーの要請により発売中止に追い込まれるということもあった(関連記事)。

 今回のVSCの発表の中では「Sexism」という言葉は一切使われていないため、上の指摘はあくまで推測の域を出ないが、ゲームやそれを取り巻く環境は時代と共に変化している。今後もしVSCが同様の判断を繰り返すことになれば、その問題意識はイギリスのみならず、ほかの国・地域にも波及する可能性もなきにしもあらず。その動向には注目しておく必要がありそうだ。

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