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「キャラクターをどうやって三次元に連れてくるか」 BANDAI SPIRITSが挑む、次元を超えた“変態技術”(後編)(2/5 ページ)

「僕らはキャラクターを三次元に連れてくるために成形を使いたい。そこの差なんです」

新規スタッフだからこそできた、各部の質感表現

山上:水着の部分と髪の毛の部分のツヤの出方だとか、それも材質の違いで表現してます。

――このツヤや質感の違いというのは、最初から盛り込もうと考えていたんですか?

西村:ラボでフミナのキットを企画した際にキャラクターの水着の衣装の設定画を見た時から、こういう表現にしようとは思っていました。やはり完成品フィギュアを見ても、衣装と肌と髪の毛とかは質感が違いますので。そこの表現は大事だなと。

山上:それこそツヤの使い分けって最近のガンプラでも使っている技法ではあるんです。ガンプラのカテゴリーでRGというのがあるんですけど、そういった商品の中でも、フレームと外装とで見栄えを変えるために「外装は光沢をつけて、骨組みはマットにする」っていう手法は前から使ってます。

 それが進化して、外装でも光沢のあるものと半光沢の部分とを混ぜてみようとか、2人で作業している時によくやってたんですよ。「ここは光沢出してギラギラにしよう」とか「ここは半光沢にしてギャップをつけよう」みたいな。

――あ、確かにそういうキット見たことありますね。

山上:そういう仕事をしていたので、肌はツヤがない方が自然だよねとか、水着はやっぱりテラッとしてた方がいいよねとか、そこは勝手にそうなっていった感じです。それが自然に出てきたのも、僕らがこれまでのFigure-riseBustという商品に、そこまで深く関わってなかったからかもしれません。

――そうなんですか!?

西村:シリーズ担当ではなかったんです。ホビー事業部単位で見れば同じ部署でやっている商品ではあるんですけど、実際に手を動かして開発に参加したかというとそうじゃなくて。もちろん横でやってるのは見てましたけど。

山上:Figure-riseBustが、どういうお作法でできている商品かという枠組みの理解はあったんですけど。逆にだからこそ「変なことをしてもいいんじゃないか」という頭がありました。じゃあガンプラで使われている材質の違いを入れてみようとか。

西村:Figure-riseLABOは基本的にはFigure-riseBustから進歩してできたものなんですけど、中で使う技術のイメージソースの元ネタがRGのガンプラ、という感じです。

山上:RGの味付けがされているというか。今まではご飯にかけてたふりかけを、パンにかけてみたというか。

西村:肌の表面に関してもツヤの少ない樹脂を使うだけではなくて、表面に細かい荒しをつけたシボ加工を入れて、若干しっとりしたように見せてます。プラモとかでも番手の高いサンドペーパーでこするとツヤが消えるじゃないですか。あれくらいの感じで、シボ加工をかけるとよりしっとりした感じになるんです。

――型の表面が、目で見て分からないくらい荒れているわけですね……。

西村:そうですね。それもほかの商品で使ってた技術なので、肌の表現に合うように調整はかけてますけど、概念としては前からあったものです。

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