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傘に袋をかぶせる装置「傘ぽん」、実は欧州のあちこちで活躍中 海外累計1万台販売の理由は

日本で雨の日におなじみのあの装置が、海外でもよく見かけると話題に。メーカーの新倉計量器に取材しました。

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 雨の日に建物の入口によく設置されている、ぬれた傘を差し込んで手前に引くだけで傘袋をかぶせることができる装置。東京・神田の新倉計量器が開発した「傘ぽん」という機器なのですが、こちらがスペインの博物館やロンドンの天文台などヨーロッパのあちこちに進出しているという写真がTwitterで注目を集めています。日本でおなじみの「傘ぽん」がいつの間に世界デビューを……? 新倉計量器に取材しました。

スペインのバスク博物館に設置された傘ぽん。まさか海外でこれを見るとは……(写真提供:@mohzeki222さん)

 「傘ぽん」は新倉計量器が1993年から製造・販売している特許登録済商品。手や服をぬらすこと無く、片手で傘に傘袋をかぶせられる利便性から、全国の百貨店やホテル、スーパーなど多くの店に導入されているヒット商品です。国内の販売台数は累計約10万台。

「傘ぽん」
話題のきっかけとなったツイート

 3月下旬、この傘ぽんをスペインのバスク博物館で見かけたという写真がTwitterで2万回以上リツイートされるなど話題に。すると他のユーザーから「ロンドンのグリニッジ天文台にも出没してましたよ」「フランスのロダン美術館にもいた」「マドリード王宮にもあった」と欧州各地での目撃写真が続々と寄せられました。

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 さらに写真の傘ぽんにはどれもこれも「傘ぽん」と書かれたステッカーが貼られたまんま。日本でなじみ深い存在が日本語を掲げたまま海外の日常に佇んでいる姿が何だか笑いを誘います。ネットでは「途端にあふれる日本感w」「日本語のまま出荷されててかわいい」とその様子を楽しむ声、「これ便利だからなあ」「世界に通じる便利さだとわかってなんかうれしい」と日本の商品が世界で活躍するのを喜ぶ声があがっていました。

 いやしかし、なぜそんなところに傘ぽんが? 新倉計量器の傘ぽん事業部担当者によると、同社では2002年頃からスペインにある販売代理店より欧州各地へ向けて傘ぽんの販売を開始したとのこと。

 当初は欧州各地の展示会に出展したり有名施設で設置デモンストレーションを行ったり、施設によっては無償提供をするなど宣伝広告に注力して知名度をあげていきました。現在、海外での販売台数は累計約1万台。欧州を中心、特にスペインで普及しているといいます。

バスク博物館で傘ぽんを発見したツイート主さん、なんと宿泊先のホテルでも発見したそう(写真提供:@mohzeki222さん)

――海外でも「傘ぽん」が売れたのはなぜだったのでしょうか。

担当者: 販売増のきっかけは、各地の有名な観光施設やホテルなどで来客用、観光客用として傘ぽんを設置したところ評判が非常に良かったことです。設置場所の増加に伴い、それまで欧州になかった非常にユニークで便利な製品ということで徐々に製品認知度が向上し、浸透していきました。

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――現地での反応はどうでしたか? 

担当者: 海外の方が考える、いかにも「日本らしい」製品でありそのアイデアが喜ばれています。初めて使用される方にはまだ驚かれることも多いですが、「とても便利」との声を多く耳にします。

――「傘ぽん」の日本語表記名のシールをそのまま残して使っているところもあるようですが。

担当者: 日本製の品質をアピールする目的もあって、基本的にシールはあえて貼ったまま販売をしています。欧州では漢字のデザイン性にひかれる方も多くいらっしゃいますので、意味がわからなくとも表記自体がかっこいいというご意見をいただくこともあります。海外へ旅行やビジネスで行かれる日本の方にとっては、母国語である漢字やひらがなを街中で見かけること、また日本で使用している傘ぽんが海外でも同じように使用できることが新鮮に映っているのではないかと思います。

――Twitterでは日本製の「傘ぽん」が海外に浸透していることに喜びの声があがっています。

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担当者: 非常にありがたいです。日本では「おもてなしの精神」が文化の一部であり、当たり前となっています。このサービス精神やおもてなし文化が海外においても受け入れられていることにうれしく思われる方も多いのではないでしょうか。メーカーとしては、これからも「傘ぽん」の普及を通じて、日本の文化を発信することに少しでも貢献ができたらと考えています。

傘ぽんに込めた思い(カタログより)

 そろそろ日本は全国的に梅雨入り、傘ぽんがますます活躍する季節。傘に袋をかぶせてもらうとき、実は欧州でも人気のすごいやつなんだ、ということをたまには思い出してもいいかもしれません。

黒木貴啓

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